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3話
「なら、それでいいじゃないか。むつは、むつのしたいようにしたら」
むつが顔を上げると、西原はいつの間にか背中を向けるようにして座り込んでいた。
「…したいように、か。1番難しいやつ」
「何をそんなに悩むんだよ?むつさぁ…」
「うん?」
「…山上さんが、まだ風呂から出ないって心配してたぞ?だから、様子見に来たんだけど」
「あ…ごめん。そろそろ出るよ。社長にも入らせようかな。雪の中、外で待っててくれたし」
ざばっとお湯から出たむつは、西原が立ち上がらないで居るから、脱衣場に行く事が出来ずに、少し悩んだ。
「…出てってよ」
「何を今更…」
「あたしも女の子なの。今更でも…やだ。何?先輩こそ…どうしたの?」
「…お前の話聞いてて、何か…な」
「変なの」