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3話
「あぢぢぢ…」
カフェオレも飲んだし、シャワーも浴びた後なのに意外と身体は冷えていたのか、お湯が痛いくらいに熱い。だが、我慢する化のように入っていると、慣れてきたのか平気になってきた。
「…はぁ…」
ちゃぷんっと肩までつかると、むつは溜め息を漏らした。妖と一緒に居たのが人間で、その人間は妖を連れて逃げていくように見えた。妖が倒れるような事をしたのはむつではないが、あの射るような強い視線は、敵意のように感じられた。
妖だと分かった上で一緒に居て、何をしているのだろうか。むつも妖の知り合いが居る。その者たちに仕事で協力をあおる時もあれば、ただ食事に行くだけの時もある。人を襲わせる為に、妖を使役しているのだろうか。それならば止めなくてはならないのかもしれない。
「でも…」
ちかげ達が動くのであれば、邪魔はするなと言われてしまっている。依頼があるわけでもないのだから、むつが動く事は出来ないだろう。