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1話
特に仕事もない3人は珍しく、むつを真ん中に挟んで座っている。寒いからと、むつが無理矢理にも颯介と祐斗の間に割り込んだのだった。だが、特に何の問題もない。
従業員は今日は公休日の社長である山上聖、アルバイトの祐斗を入れても4人しかいない。それなのに、机は3席ずつ向かい合わせに6人分ある。山上の席は独立してあるから、計7人分だ。だが、そんなに従業員が多かったという時期を誰も知らない。というよりも、多かった事などない。
「…で、どうしますか?」
話を戻すように祐斗が言うと、むつはそのまま颯介の方を向いた。だが、颯介はマグカップを両手で包むように持ったまま、またしてもぼーっとしているようだった。
むつは祐斗の方をちらっと見てから、颯介の脇腹を人差し指でつついた。少し伸ばしている爪が、ずぶっと突き刺さり、颯介はびくっと肩を揺らした。そんな反応に、むつはくすくすと笑った。
「颯介さん?聞いてる?祐斗がどうしますかって言ってるのに…」
「あ、えっと…何だっけ?聞いてなかった」
あははと笑って、颯介は祐斗の方を見た。間に入っているむつは、2人が、顔を見て話が出来るようにと椅子を引いて隙間を作った。




