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3話
祐斗はむつに言われた通りに、遠慮なくお茶菓子を出してきてテーブルに置いた。あるだけ出してきたようで、今はその遠慮ない祐斗に、むつはほっと出来ていた。
「それで…何から聞けばいいんだろうな」
タバコを吸いながら山上は、むつと西原の顔を見た。むつが自ら迎えを頼んだだけとは思っていない山上の視線は、どことなく厳しい。だが、むつも西原も慣れているのか、平然としている。それに、話す目的があって集まっているのだ。話さないという選択肢はない。
「順番的には先輩の話じゃないかな?何で昨日は何も言ってくれなかったの?」
しれっとした様子で西原がコーヒーを飲んでいると、むつが嫌味のような言い方をした。
「言うわけないだろ?何も知らない感じだったんだからな。だから、宮前さんも何も言わなかっただろ?湯野さんの事…守秘義務ってのがあるんだ」
「あっそ。で、いつの話なの?」
「ん、まぁ…順を追って話すから待てって」