133/1090
3話
嫌だとは言わず、西原は山上を手伝って颯介の肩に手を回した。祐斗が颯介の荷物を持ち、むつはドアを開けて置いたりとしていた。
むつは玄関の鍵を開けて先に入ると、颯介の靴を脱がせた。そして、寝室に入っていき暖房と加湿器をつけた。山上と西原の2人がかりで颯介をベッドに寝かせると、布団をかぶせて、ふぅと息をついた。
「湯野さんは背が高い分…大変ですね」
「そうだな…西原が居て助かった」
「颯介さんは、前に先輩を1人で担いで行った事あったけどね」
そんな事を言いながら、むつは颯介の顔を見た。額に触れてみても、熱があるようには思えないが、顔色は悪い。こんなに体調が悪そうなのは、今までに見た事がなく、むつの顔は不安そうだった。だが、今は寝ているし、そっとしておいてやるしかない。山上に促されると、むつは静かに部屋を出た。