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3話
山上は滑らないようにと、むつのマンションの近くのコインパーキングに車を停めた。
「…何で鞄置いてきたんだ?」
「だって、戻るつもりだったもん。ごめんなさい…鍵は祐斗と一緒に来ます」
「まぁ仕方ねぇな。待ってりゃ来るだろ。マンションから1番近いパーキングってここだしな」
「うん…」
「…何だ?何でそんなに元気ねぇんだ?」
「ううん…管狐に噛まれたでしょ?」
「…まぁな。初めて噛まれたけど、すっげぇ痛かった。歯が小さいから余計か?」
「かもね」
むつはそっと後ろを向いた。管狐は相変わらずです颯介の肩の上に居る。いつもと様子が違うと思ったら、どうやら怒っているようだった。管狐を怒らせ、噛まれるような事を山上がするとは思えない。色々聞きたいが、祐斗が来てからにしようと思い、むつはシートに身体を預けて目を閉じていた。