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3話
「電話代わったぞ。何だ?」
『うん、あー…ちょっとね。説明は後でするから、うちに来れないかしら?先輩仕事中?』
「むつの家にか?行けなくはないけど…今日は非番だしな。祐斗君はどうする?」
『勿論、連れてきて。で、祐斗と代わって』
「はいはい…祐斗君、むつが代われって」
「もしもし?むつさん、何が…」
『うん、説明は後でするよ。とりあえず、祐斗はあたしの鞄持って、先輩と一緒にあたしの部屋に来てくれる?』
「…分かりました。すぐに行きます」
『うん、ごめんね。お願いします』
ぷつんっと通話は終わったが、何となくむつが元気無さそうな気がした祐斗は、西原の方を見た。
「あいつが、ごめんって言うのとお願いしますって言う時はちょっと落ち込んでる時だな。早く支度しろ?置いてくぞ」
聞こえていたのか、西原はさっさとコートを羽織って、キッチンでマグカップを洗い灰皿の片付けまでしていた。祐斗は片付けを西原に任せて、自分の荷物を持ち、むつの鞄を持つと西原と一緒に事務所を出た。