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3話
むつの山上の帰りが遅いと、心配で落ち着きなく立ったり座ったりをしていた祐斗は、窓の外を眺めながら溜め息を漏らした。いつの間にか、風も雪も止んでいる。
「…落ち着いて、座ってろよ」
少し前にやってきた西原は、祐斗の様子を見ながら苦笑いを浮かべるしかなかった。むつと山上が、体調の悪い颯介を送りに出ていったと聞いているからか、西原も心配な様子だった。
「落ち着けませんよ。こんなに雪があって…それに、まだ帰って来ないですし…」
「流石のむつもとろとろ運転だろうからな。こんな雪道で、飛ばしてたらあいつは本物の馬鹿だ。それに、むつは人を乗せてる時はかなり丁寧な運転のはずだぞ?こんな天気で湯野さんが体調悪いってなれば、尚更にな」
「…そうですよね。でも、何か気になっちゃって…むつさんが、電話で俺に向かって気を付けろなんて言うから…」
「そう言えば、あのむつが雪なのにあんまり喜んでなかったからな。何かありそうなのか?」
「たぶん…俺には分からないですけど」