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3話
「………」
首まですっぽりと上着で隠したむつは、街路樹に手を当ててそっと顔を出した。だが、すぐに顔面を掴むようにして押し返された。それと同時に、街路樹の横をびゅんっと飛んでいった物があった。それは、むつとちかが居る所を通り過ぎて、どこかに刺さったようで、がつんっと遠くから音がした。
「安易に動くな‼いつもそんななのか‼」
「だって、気になるもん」
「…ばか。考えて動け」
「…なら、ここは専門家に従うわよ。あたしは、どうしたらいい?」
「むつも専門家だろうが。まぁ、いい…ちょっと待ってろ。もうすぐ来るからな」
何が来るのかは言わないが、一緒に居ても問題はないという事だろう。待っていろと言われたむつは、大人しく待っている事にした。