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2-57.変わった日常

気まぐれトォオオオカァアア↑↑↑


就職試験 終了後 一発目更新( ̄▽ ̄)

あれから一週間。


アイリスやランバート、ロイスと仲直りして、二度目の停学期間が明けた。


何時もの四人組で学食を食べ、いつもの日常に戻った———はずだった。


教室の雰囲気はいつも通りだが、一つだけ違うことがあった。


それはアレクに対するクラスメイトの態度の変化だ。


アイリスやランバートには普段通りに対応しているが、アレクに話しかける人がいなくなった。あのよく絡んできたロベールでさえも、アレクに話しかけることはしなくなった。クラスメイトから完全に無視されているという訳ではなく、話しかければ答えてくれるが、必要最低限の会話くらいしかせず、すぐにアレクから離れていくのだ。


こうなってしまった原因は、アレク自身にあることだとアレクは考えていた。


しかし、実際には違ったのだ。


もちろん、アレクがジョナ先生を怒らせて二度目の停学を食らったことに関してクラスメイトたちが呆れたのは事実なのだが、それでもアレクには人望があったのだ。この学園は『実力至上主義』でアレクは間違いなく強い…それも魔剣を使った第二位のトールを無傷で完封しきるほど圧倒的な実力を見せつけたまごうことなく強者だ。だからこそ呆れはすれど、アレクの強さに対する憧れが人望を生んでいた。


しかし、それはトールの一言で辛くも崩壊する。



「————アイツは兇賊だ! 僕たちを騙し、愉悦に浸っている溢者だ!」



トールは一切のその言葉の真意と詳細を話そうとしなかった。


クラスメイト達は、はじめはただのトールのアレクに対する嫉妬からくる言い訳だと思っていた。しかし、トールは四大公爵家筆頭《ヴァーミリアン家》次期当主候補であり、平民や貧民といった身分に対して寛大、そして何より自身の身分を鼻に持って権力を振りかざすような人ではないのだ。それに人を見下すようなことは一切しない、むしろ毛嫌いするような出来たお方なのだ。


自分の弱さを認め、只管努力するその姿は誰もが知っていたし、認めていた。公爵家の次期当主だと鼻に持つようなことはせず、身分を超えた友人を数多く持ち、貧民層にも足を運び、未来の王国繁栄の為に幼いながらも考え、尽くしてきた。実に王国貴族らしい貴族の嫡男として民衆に認知されていた。



そんな人徳溢れるトールが初めて人を見下す発言をしたのだ。


しかも、トールの発言を後押すようにミルベリアも同じことを口出し始めた。


教室内はちょっとした混乱に陥った。


信じる者

信じない者

真実を知ろうとする者

真実に興味を示さない者


僅か数人のクラス内は圧倒言う間に変わっていった。


『集団心理』——人が流されるように…


「アイツは本当に悪い奴なのか?」

「いやいや… 敗北者の言い訳でしょ」

「トールは人を見下す人じゃない!」

「まさか… そんなことがあるのか?」


疑心に憶測、確証のない証言が渦巻く教室————今の状況が完成した。



三人を除いて。


二人は当然の様にアレクと楽しむ姿を見せるアイリスとランバート。

入学当初からずっとアレクと共にパーティを組んできた仲良しだ。二人はトールの偽言に惑わされることなく、アレクと共に楽しみ、互いに切磋琢磨し、励みあって居る。


そしてもう一人はアクアリアだった。


アレクを除いて唯一、クラスメイトの中でトールの偽言を聞いていない人物だった。故に彼女は何も知らない。いまでもアレクに普通に接している、つもりなのだが、トールとミルベリアがさりげなくアレクとの会話を避けるように行動しているため、アクアリアは停学明けのアレクとまだ一度も話すことが出来ていないようだった。


アレクは教室内でこんなことが起きているなんて微塵も考えていなかったが、今の状況はアレクにとっては好都合でもなければ、マイナスでもなかったので、これで構わないと考えていた。


始めの一週間は疑心暗鬼からくるギクシャクする雰囲気が漂っていたが、それも一か月、二か月、三か月と過ぎていくと、ある程度クラス内の雰囲気が決まっていく。


本来なら、ハブられた人物が何かしらの行動を起こすため、こんなに早くギクシャクした雰囲気が収まることがないが、当の本人であるアレクがクラスの雰囲気に反発や行動を起こさない為、クラス内が今まで以上にギクシャクすることなく、平和で仲良しとは程遠い状況だが、それなりの平穏な雰囲気に落ち着いたのだった。




(よし! もっとアイリスたちを鍛えてやるぞ! いずれ一緒に魔界で狩りできるように鍛えて鍛えて鍛えまくってやるぜぇえ!!)



………気にしないと言うより、気にすら留めていないというべきだった。

さて…結果が待ち遠しいものですなぁ☆彡

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