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2-46.停学処分

更新遅れて申し訳ないです!

就職活動の準備やら試験対策やらバイトやらで

忙しくて更新遅くなりました。


気まぐれトーカ!( *´艸`)

訓練場はアレクとトールの死闘に湧き上がってそれぞれ戦った相手に称賛の声や労う声を掛けていた中、ジョナ先生だけはアレクとトールの姿を睨みつけていた。


(トールのあの魔剣の力は危険すぎる…っ‼ いや、それよりももっとヤバいのが紛れ込んでいたな)


ジョナ先生は先ほどのトールとアレクの戦いが終わってからもずっと険しい顔つきで何か考え込んでいた。


(たしか…あの魔剣はヴァーミリアン家に伝わる当主のみに渡される伝説の魔剣の一振だったな。 ……さすがは勇者パーティの魔剣士の一振ってところか。 それよりも―――――――――)


(未完成とはいえ魔剣の力を開放したトールと互角… いや、そもそもあれはおそらく能力すら使っていないだろう。 能力を使わずしてトールを完封しきったあのアレクという平民は……)



いや…今はいいか。と思考を一旦保留にして頭の片隅に追いやる。

それよりも、この戦いに煽られて他の生徒たちに影響が出ることだけは避けなければ…っ‼



◇◇◇


「序列2位トール=フォン=ヴァーミリアンおよび、序列7位アレク! 両名を学園規則第三条:模擬戦規定違反より――――――――――――――2週間の停学処分とする!」


ジョナ先生の激昂した声が訓練場に響いた。


突然の先生の怒号にも似た声に生徒全員がビクッとなる。


「ちょ、ちょっとジョナ先生!横暴が過ぎませんか? 確かにジョナ先生の静止を無視して模擬戦を続行したことに関しては悪いと思いますが… なにも停学処分にすることはないでしょう!?」


「そ、そーですわ! 何が何でも停学処分は重すぎますわ! 厳重注意が妥当なのではなくて!?」


ジョナ先生の声で委縮した生徒の中でいち早く回復したアクアリアが横暴だとばかりにジョナ先生に詰め寄る。それをみたミルベリアもアクアリアと共にジョナ先生の発言は重過ぎるのでは、と疑問の声を上げる。


二人の声に同調した生徒たちが口々にジョナ先生に言い寄るが、ジョナ先生は生徒たちの声に一向に耳を貸そうとしない。


「——————————これは決定事項だ。トール、アレク!二人とも寮謹慎を命ずる。 以上!本日の授業はこれにて終わりにする」


そう言い残し、ジョナ先生が室内訓練場を後にする。


残された生徒たちは停学処分になってしまった二人の生徒に「おい…大丈夫だからな!」「ジョナ先生のあの態度はなに?」「さすがに横暴がすぎるだろ」とジョナ先生の悪口を言いながら二人を慰める。


Sクラスの生徒たちが必死にトールやアレクを慰める中、アクアリアにアレクが話しかける。


「アクアリア殿下、少しお願いしてもいいですか?」


「ん?…あ、はい。なんですか?」


「実は俺…生徒会長のセシリア会長に今日呼ばれていましてね… それで――――――」


「あ…わ、わかりました。 セシリア姉さんには伝えておきますね」


「よろしくお願いします」


アクアリア殿下に伝言を任せて、俺は訓練場を出る。その後に続いてランバートとアイリスも訓練場を出る。


寮謹慎を言い渡されたアレクは、とりあえず自分の寮に戻ることにして、自分の部屋に入る。アレクの部屋は机と椅子、そしてベットしかない殺風景な部屋だ。この部屋で二週間謹慎してろというのか、もっといろんなもの買っておけばよかった…。


この世界にも娯楽品は存在している。過去にこの世界に送り込まれた転生者たちが様々な娯楽品をこの世界で発明し、一躍発明王となって、豪商となった転生者がざらにいる。リバーシ、将棋、チェス、トランプなど簡易な娯楽品はほとんど存在している。さすがにゲーム機などはないが…


アレクは自分の部屋に着くと、ベットに横になる。


(はぁ… この学園に来て本当に良かった… 目的は十分果たされた―――――――――)


アクアリアと共に並んで戦える友人、一緒に悩んで悲しめる仲間、信頼しあえる親友。


今のアクアリアの周りには全て揃っていた。


(―—————————————もう俺の()()は終わった、な。)


俺の役目、それはアクアリアの幸せを護ること、そして()()()()。過去の遺物(トラウマ)である俺には決して出来ないことを、他人にやってもらう。


アクアリアと同等の戦士を作ること。

アクアリアと一緒に悩んで悲しんで、一緒に笑いあえる友人を作ること。

アクアリアをいざというときに守ってくれる男を作ること。

アクアリアに信頼できる仲間、親友が出来るようにすること。


―——————————全て叶った。


いや、すでにアクアリアは全て持っていた。


脳裏にはアクアリアを囲むようにSクラス生徒の面々が思い浮かぶ。しかし、そこにはアレクの姿はない。俺がこのまま消えれ(退学すれ)ば、ランバートもアイリスもアクアリア派に移るだろう。ランバートともアイリスも十分強くなった。このまま順調にいけばアクアリアと同等の戦士に育つだろう。それに既にアクアリアの同等の戦士は居た。そのままいざという時にアクアリアを守ってくれる男に育ってくれればいいかな、と思う。


感傷的なことばかり言って…

他人をたぶらかして… 

利用して…


ほんと最低な男だな…!



「……このまま退学してメルキドに戻るのも悪くはないか、な…」



「何が退学してメルキドに戻る、だ?」

「僕たちのこと忘れてないか、アレク?」

「ずっと何か悩んでぼーっとしてますよ、アレクくん」


突然、声を掛けられてびっくりして起き上がる。そこにはランバートにトール、アイリスの姿があった。

なぜ?いつの間に入ったんだ?


「ずっと一緒に居ましたよ? 訓練場を後にした後… あ、トールさんだけは、さっき来ましたけど」


「それいいますか、アイリスさん 私だって寮謹慎を受けた停学生ですよ。当然の様に寮に来るに決まってるじゃないですか」


「いや…トールは自宅謹慎じゃなかったっけ? 王都にある屋敷から登校してんだろ?」


「こ、細かいことは気にしないでくれ… きょ、今日から寮生活をすることになったんだよ!」


俺を置いて勝手に話をする三人。というか、ここは俺の部屋なんだけど…!


「それより、ここ殺風景過ぎね?」


「寝るだけの場所って感じですね。 アレクくんって物欲ないんですね」


「僕の寮部屋より殺風景ですね。 僕の使っていない部屋でももっと家具くらい置いてますよ」


オイコラッ!俺の部屋を急にディスり始めたぞ、コイツラ…


「それよりも…」

「そうですね…」

「そうだな…」


「退学してメルキドに戻るってどういうことだ?」

「退学してメルキドに戻ってもいいってどういうことでしょうか?」

「退学してメルキドに戻ろうってどういうことなんだ?」


「なんかそれぞれ意味違ってなくないか?」


アレクのつっこみに誰も乗ってこないで、三人からの「早く話せ」の無言のオーラが襲い掛かる。


「はぁ… 学園で過ごすより冒険者家業に戻って自由に過ごす方が俺には向いている気がしてな。 それで、どうせ停学になったのなら、このまま退学になってメルキドに戻ろうかなって思っただけさ」


「えぇー! アレクがいなくなったら俺の稽古相手減るじゃないか!」


「えぇー! アレクが退学になったら僕の相手… 誰がしてくれるんですか!?」


「お前ら二人は、俺を何だと思ってんだ!?」


俺の心配すらしてくれねぇよ。いや、そもそもこの二人の頭の中の俺は、一体何者なんだろうか?と疑問に思えてくるんだが… 


二人の余りにも酷い反応にアレクが言葉を失っている中、アイリスだけは何か考えて混んでいた。そして、何かを決心したように、アレクに話しかけた。



「……アレクくん 嘘ついてるでしょ?」


「「……ッッ‼‼」」


「……ぇ!?」



アイリスの突然の言葉に部屋が一瞬で静寂と化した。

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