2-43.序列7位vs序列2位
気まぐれトーカ
※次回こそは…長くなると思います!
今回キリが良かったのでここで切りました。
トールが右手に俺の渡した木剣を持ち、腰を沈め、重心を落とした姿勢をとる。姿勢から察するに突進系の斬撃かな、と考えアレクは木剣を上段垂直に構え迎撃の姿勢を見せる。
お互いが構えを取ったところで審判を買って出てくれたランバートが声を掛ける。
「両者ともに、準備はいいな。 それでは――――――――――― 始めっ‼」
ランバートの開始の合図にトールが地面を蹴り、アレクに突っ込む。アレクとの距離を一瞬でゼロにし、アレクの間合いにあっという間に足を踏み入れる。
(思ってたより…速いっ‼)
突進系の斬撃で来ることは読んでいたが、ここまでの敏捷性があるとは思わなかった。凄い脚力だ。おそらく最高速度は敏捷性に優れたアイリスと同じくらいだろうか、とトールを分析する。
トールの斬撃は俺の懐に入ってからの下段からの斬り上げで来る。
アレクは読み通り、とばかりに上段からの斬り下ろしでトールの斬撃に対抗しようとするが、次の瞬間トールの斬撃が消えた。それも文字通り、パッと消えたのだ。
「—————あぶっ…ねっ‼」
アレクは瞬時にトールから距離を取る。アレクの先ほどまで居た場所に空間が抉れたような跡があった。その後は数秒で元に戻ったが、もしあの場所にあのままいたら、おそらく俺の身体は持っていかれてたかもしれない。
一撃を躱されたトールがゆらっと立ち上がり、アレクを見る。
トールの顔は必殺の一撃を躱されたことによる驚きの表情や悪態を吐くといったことはせず、まるで子供が新しいおもちゃを買ってもらった時に見せるような無邪気な笑みを浮かべていた。
その表情にゾクっとし、背中に冷汗が流れる。こいつ…なんかヤバそうな奴だな。
「…思ってた通り… 君なら絶対躱してくれると思ってたよ」
「かなり危なかったぞ… 今の一撃は【贈与】だな?」
「正解。僕のギフト《空間歪曲》だよ。 任意で空間を捩じったり、歪めたりできる能力さ。これがとても使い勝手いい能力でもあって、とっても危険な能力でもあるんだ」
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【贈与】空間歪曲
故意に空間を歪めることが出来る能力。
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魔眼でトールのギフトを確認する。
説明文は短いが、これは色々と応用が利く能力だ。そしてどれも殺傷力が高く危険な技となる。
さっきの一撃はただ空間を斬って捩じっただけ、のようだ。
空間の捩じれはどんなに小さくとも、空間ごと対象を捩じり切ってしまうので、どんなに強固であっても魔力を纏って防御しようとも無駄だっただろう。マジで避けなかったら今頃腕の一本は持っていかれてたかもな。
「やっぱり君は思ってた通りの人物だよ!」
「……そりゃどうも」
「普段は絶対に模擬戦では使えない一撃なんだけど、それを易々と躱してくれる… やっとこの力を思う存分使うことが出来る! こっからが僕の――――――――――――本気だ‼」
その言葉と共にトールが目の前に現れる。
「……っ‼」
(コイツ… 空間を捻じ曲げて、俺とトールの間の空間を繋げやがったっ‼)
一瞬で間合いを潰したトールが木剣に雷魔法を付与する。
「——————【瞬雷】雷鳴斬ッ‼」
雷を纏った一撃をトールが放つ。いくら木剣であっても、この一撃を受け止めることはできない。雷魔法が高周波振動を起こして貫通力と斬撃力を上げた斬撃だ。一斬必殺の一撃と化した斬撃がアレクに迫る。
(僕の――――――――――勝利だっ!)
空間を捻じ曲げ、一瞬で間合いを潰す。突然目の前に現れたことにより相手は一瞬隙が生じる。そこに回避不可能な距離で放つ。回避・防御不可能の一斬必殺の斬撃で確実に相手を斬り裂く。
かつてこの技を破ったものは同世代合わせて誰一人としていない、初見殺しの必殺必中技。
勝利を確信したトールが頬笑を浮かべる。
いつの間にか他の闘技場で訓練をしていたSクラスの生徒たちや実技とSクラスの担当教諭であるジョナ先生たちがアレクとトールの模擬戦を見るために観客席に訪れていた。
(お得意の初見殺しですわね。 あの平民も素晴らしい実力を持っていると思いますが、初見でどうにか出来る一撃じゃないですわ)
トールの必殺技を知っているミルベリアはトールの勝利を確信していた。
ミルベリアはトールと何度も手合わせをしている。そのため、あの技の強さを誰よりも一番理解しているつもりなのだ。
あの一撃を放ったトールの勝率は驚くことに九割の勝率をたたき出している。あの技を初見で破った者はいまだに一人しかいないのだ。その一人はミルベリアの実の姉である【剣聖】ただ一人だけだった。しかし、剣聖でさえもギリギリだったのだ。それほどまでに鋭くキレのある斬撃だった。だからこそ、ミルベリアはあの平民がトールの必殺技『雷鳴斬』をどうにかできるとは考えられなかった。
「おぉ!あれがトールの初見殺しの技か! 初めて見た!」
「アレクくんもさすがに、あの一撃はどうにもできないね」
「…さすがは【瞬雷】のトールだわ。 早すぎて見えなかった」
いつの間にか集まっていた観客席に座る生徒たちの中にはトールのこの一撃を知らない人もいたが、突然姿が掻き消えて、気が付いたら一瞬でアレクの目の前に現れ、回避不可能のゼロ距離で放たれた一撃にこの模擬戦はトールの勝ちだと思っていた。
しかし、誰もがトールの勝利を疑わなかったが… 三人だけはアレクの勝利を疑わなかった。
そして、それは現実となる。
「——————【瞬雷】雷鳴斬ッ‼」
初見殺しで有名であるトールの固有技。
勝利を確信したトールが頬笑を浮かべ、アレクの胴目掛けて剣を振り抜く。
あと数ミリでアレクの身体に届いて、そして一瞬で両断して模擬戦は終了。そう誰もが疑わなかった。
しかし、次の瞬間。目を疑うような光景が訪れる。
———————————————ガシッ‼
トールの必殺の一撃【瞬速】雷鳴斬をアレクが素手で受け止めたのであった。
「………はぇ…?」
自分の必殺技を素手で受け止められた衝撃の事実に吃驚し、素っ頓狂な声を上げてアレクの顔を見上げる。そこにはつまらなそうな顔をしたアレクの表情が見えた。
「…これが本気なのか?」
「…あ、ありえ……ない……」
トールのとっておきといっても差し支えない、トールの二つ名【瞬雷】の代名詞ともなった空間歪曲からの防御不可能の雷魔法を乗せた全力の一撃。それを軽々と素手で受け止めたアレクに驚きを隠しきれなかった。
「…確かに鋭くキレのある斬撃だったけど、まだまだ練度が足りない。 初見の相手には有効かもしれないが、本物の実力者相手には使わない方がいいかもね」
就職活動が始まり、そしてバイトも忙しくなる。
ハッハッハ! やってらんねぇ!
とも言ってられず、とりあえず頑張って執筆していきます!
これからも暇つぶし程度に読んで下さい!
■現在の評価
●総合評価:700pt突破 (´▽`*)ヤッタァ――――‼
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本当にありがとうございます!これを励みに頑張って執筆します!
これからも暇つぶし程度に読んで下さい!明日も更新できると思います(´▽`*)




