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2-40.生徒会からの誘い

( *´艸`)書き上げ気まぐれトーカ!

(;゜Д゜)なんか字数増えてるゥー!?

「おはようー」

「おはよう!」

「おはようございます」

「お、おはようございますっ!」


毎朝、必ず一番初めに起きるのは俺で、次にアイリスときてランバート、そして最後にロイスが一番最後に食堂にやってくる。もう今では日課の一つになっているパーティメンバー全員そろっての食堂で朝食をとる光景だ。


「ロイス、昨日はちゃんと眠れたか?」


「あ、はい!ぐっすりと眠れました!」


アレクの質問に元気よく答えるロイス。どうやら本当にぐっすり眠れたようで、昨日の疲れは残っていないようだった。昨日はロイスの初魔物討伐した日の翌日なので、肉体的疲労よりも精神的疲労の心配が大きかったが、どうやら杞憂だったようだ。


「そりゃよかった。じゃ、今日もダンジョン攻略するか… とりあえず今日は二階層到達を目標に潜るか? そろそろアイリスもランバートもダンジョンでの戦闘したいだろうし…」


「おー! やっと俺もダンジョンデビュー果たせそうだな!」


「楽しみですね!」


「ダンジョンでの戦闘は授業で習った通りで行けると思うから、とりあえず今日の放課後に潜ろうか」


朝食を取りながら、今日の予定を決める。昨日のダンジョン攻略ではほとんどがロイスの実践訓練が目的で潜っていたので、今日はアイリスとランバートのダンジョン戦闘の経験を積ませることを目的に潜ることに決まった。


四人とも朝食を食べ終えた後、それぞれの教室を向かう。

ロイス以外はSクラス所属なので、早々にロイスと分かれ教室に入る。いつも通り誰もいない静かな教室だ。寮組である俺たち三人が当然のように教室に一番乗りだ。そしていつものように雑談を始める。話題はダンジョン攻略から今日の授業内容と様々だ。


Sクラスの教室で仲良く三人で喋っていると、ガラガラガラ…と扉が開く。


まだ俺たちが教室について五分ほどしかたっていない。授業開始まで三十分以上もある。普段学園のすぐ近くに別荘を持っているロベールでもこんなに早く登校してくることはない。じゃ一体誰が来たのかと気になり空いた扉の方を見ると、そこには制服姿の女子生徒が立っていた。


胸元にあるリボンの色は… 赤色。


今年の一年生は「緑色」のネクタイかリボンのはずだ。

赤色は確か三年生のカラーだ。


一年生が緑色

二年生が青色

三年生が赤色


と決められており、一年生の緑色は新米という意味を込められており、二年生の青色は成長の色、三年生は熟成の色だと学園が決められている。


突然教室に現れた三年生が教室に一歩踏み込む。

陽の光で顔までははっきり見えなかったが、教室に一歩踏み込んだことにより影が入り、相手の顔が見えた。金髪の髪の毛を後ろで束ねている女子生徒、制服の胸元には三年生を表す赤色のリボンに序列を示す『S2』の金色バッジ、そして何より…その女性の顔には見覚えがあった。確か…生徒会長で!アクアリアの実の姉で…えぇっと名前は…



「…セシリア=フォン=アスラエル第二王女殿下」


ランバートがボソっといった。

そうそうセシリア生徒会長だ!っていうかなんで生徒会長がこんな朝早くにこの教室に来てるんだ?


「はじめまして、と言うべきですね。アレクくん」


「はぁ… はじめましてセシリア会長」


教室に入ってきたセシリア会長が挨拶をしてきたので、呆気に取られて素っ頓狂な返事を返してしまった。わざわざ挨拶をするためだけに教室に来たのかな? 挨拶を酌み交わした後も、一向にしゃべろうとせず何かこちらを観察するような眼で見つめてくるセシリアにいたたまれなくなってアレクの方から声を掛けた。


「随分と早い登校なんですね。まだ授業開始の鐘が鳴るまで時間があると思いますが? それに何の用でしょうか?ここは一年生の教室ですよ」


生徒会長にして第二王女であるセシリアに対してまったく動じることなく言葉を話すアレクの姿にアイリスとランバートが言葉を失っている。


まったく物動じずに普通にしゃべりかけてきたアレクに対して少し驚いた感じだったが、すぐに表情を戻し、セシリアはニコっとした笑みを浮かべる。


「…リアの言った通り底知れぬ方ですね。 この私を前に初対面でそこまで堂々と喋る方は珍しいですよ、それに聞いてた通り何事にも物動じしない強靭な精神に、身分の違いなど気にしない普通に喋りかけてくれるその堂々とした姿。 選民思想を持ち、平民を下に見る非道な言動で散々侮辱したサザーンを許すその優しさに、サザーンの魔法に拳一発で粉砕し、生徒たちを一瞬で魅了した圧倒的実力。 そしてその実力を鼻にかけることなく誰に対しても身分の違いをものともしない大いなる器量。 さすがリアが認めた男だということでしょうね」


…偉くべた褒めしてくれるじゃないか。なんだか照れ臭くなってくるぞ。まぁいくつか間違った解釈をされているみたいだな。まずサザーンに関して俺は怒ってないし、赦す赦さない以前に気にも留めてないぞ? 仕組まれた決闘戦をやらされたけど、別に怒るようなことでもないしな。


「……そんなことを言いに来たわけではないでしょうに。 何か用事があって来たのではないですか?」


いい加減、人を観察するような眼で見つめられるのに少しイラ付き始めたアレクがセシリアに「早く要件言え」とばかりに遠回しで伝える。


「…そうですね。では要件だけを伝えて私は戻ることにします」


ニコニコした笑みを崩さずにセシリアが言う。早く要件を伝えて出ていってほしいと願うアレクの姿にアイリスとランバートが冷や冷やとしている。


「今日の放課後、第一校舎にある生徒会執行部の研究会室に来てもらえないかしら?」


生徒会の研究室に来てくれ…だと?

なんか面倒なことに巻き込まれそうな予感…


返事を返さないアレクにセシリアが不安げな表情で「忙しいかしら?」と尋ねてくる。


「ダンジョンに潜ろうと思っているので、そんなに時間は取れないですけど… それでもいいなら別に構いませんよ」


「ええ、では今日の放課後に生徒会研究室で待ってますね。 では失礼します」


セシリアが教室から出ていく。

時間にしてものの五分ほどしかたってないだろうけど、なんかどっと疲れた気がするよ…。



◇◇◇


学園の主な時間割構成は午前中が座学・二時限、午後から実技・一時限の計三時限の時間割なのだ。午前中の座学の時間を終わると昼食休憩を挟み、午後の最後の授業である実技、戦闘訓練の時間になった。戦闘訓練という名の科目名だが、俺たちSクラスの生徒の主な授業内容は自主練か模擬戦のどっちかだ。


第七校舎の四階層まるまる屋内訓練場になっている場所が俺たちの主な訓練場所だ。さすが階層まるまる訓練場だけあって、一つ一つのコートが広い。だが、広い代わりに数が少なく全部で四コートしかないのだ。と、いってもSクラスは十名しかいないので、十分すぎるのだが。


Sクラス生徒は、それぞれ自由に過ごしている。

他人の模擬戦を観察したり、自主練をしたりしてこの時間を過ごしている、と言ってもほとんどの生徒がアクアリア第三王女殿下の近くに集まってアクアリアの模擬戦風景を観察・解析している。彼女の戦闘スタイルは剣聖と同じだそうで、剣士にとっては憧れのフォームだそうだ。


それに彼女自身、強すぎるのだ。序列一位と二位の間に大きな差があり、必然的にその序列一位の彼女に集まるのだ。常に彼女はクラスメイトに囲まれている状態といっても過言ではない。


その彼女に比べ、俺の周りにはいつもの三人組で競い合っている。たまにロベールが遊びに来るが、基本的に俺たち三人で切磋琢磨と鍛え合っているのだ。今もアレクの目の前ではアイリスとランバートの二人が模擬戦をしている。


始めは圧倒していたアイリスだが、一か月もずっと模擬戦をしていると流石と言うべきか…

ランバートはあっという間にアイリスの動きについていけるようになり、今ではアイリスとランバートはなかなかいい勝負をするようになった。俺はその模擬戦風景を観察するのがこの時間での日課となっている。それにしてもランバートも随分強くなったな…。


「やぁ! 確かアレクさん…だったよね」


突然後ろから声を掛けられる。実技の時間で声を掛けてくる奴としたらロベールくらいなものなのだが、ロベールではなかった。後ろを振り向くとそこには、黒髪をセミロングカットして、落ち着きのある髪型に俺よりも若干背が高く細身な爽やかイケメンが話しかけてきた。


「…たしかトール=フォン=ヴァーミリアンさんだったっけ… どうかしましたか?」


序列一位のアクアリアは別格の強さなので、彼女を除ければおそらくこのクラスで一番強い。序列二位にして四大公爵家のヴァーミリアン家次期当主候補の爽やかイケメンのトールが俺に話しかけてきた。一体何の用だよ…


「今朝、セシリア生徒会長から生徒会に入るように勧誘されたそうだね」


「…勧誘はされてませんよ? 生徒会室に来るようには言われましたけど」


「…どうやらセシリア会長は、生徒会室で勧誘するようだね。 まぁそれはいいさ…」


「…?」

一体何を言いに来たんだろう…? 

まったく分からん。さっきから薄ら笑いを浮かべてなんか気持ち悪いんだが…。


「確かBクラス主席の問題児(サザーン)を倒したのも、確かアレクさんだよね」


「はぁそうですけど… それがどうかしましたか?」


「…別にどうもないさ… ただアレクさん……」


トールが薄ら笑みを浮かべたまま、異空間収納を開く。そこから一本の豪華に装飾された剣を取り出した。金色の鞘にダイヤや宝石で装飾された一見して高価だと分かるほどの豪華な両手剣だ。


その両手剣をトールが、スラッと鞘からゆっくりと引き抜く。

豪華に装飾されたから抜き出された両手剣の刀身は、中央に黒い魔力を帯びた太い溝のような線が(きっさき)まで続いている。しかし、あの刀身の黒く太い溝から何か気持ち悪いオーラのようなものを感じる。


いや…この感じは、何度も味わったことがある… 


いや、味わってきたオーラだ。それも人間界ではなく、もっと恐ろしいところで何度も味わって、剣を交え、死ぬ思いを何度もしてきた。あの両手剣の正体… まさかな。



そんなアレクの気を知ってか知らずか、トールはスラッと抜き放った刀身をアレクに着きつける。

反射的にアレクが居空間収納から魔刀を取り出して構える。



「なんのつもりだ? こんなところで、そんな物騒なモノを引き抜いて…なんのつもりなんだ?」



アレクの問いに薄ら笑みを崩さずトールが答える。






「―——————————もしよかったら僕と戦ってくれないか?」





「………は?」

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