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31.新たな門出

気まぐれトトトトットーットカ!


※29. ⇨ 30. にタイトル変えました。間違えって投稿しておりました。後色々と編集加えました。


「ちくしょ… してやられたっ!!」


一瞬の気の油断。その油断で今回の魔物暴走(スタンピート)の首魁であった魔族の男『ジャッガローズ・ロックスター』を取り逃がしてしまう結果となった。


両断されて尚、喋るだけの元気があるのなら、貴重な情報源となっただろう。それを取り逃げがしてしまった責任は大きい、それに奴は様々な貴重な情報を持っている可能性が高い。話してもらわなければいけないことが多かったのに、転移の《スクロール》で見事に逃げられてしまった。


辺りを見渡すと、ビビ割れてボコボコになってしまった街道に大量の魔物の遺骸、見る人が見れば失神してしまうほど地獄絵図に見えるだろう。


魔族の男の斬り落とされた右腕と下半身は転移で一緒に消えてしまっていた。辺りには飛び散った血痕に、男の切断された断面から溢れた出した血が水溜まりほどの大きさとなって残っているだけだった。


周りには人っ子一人どころか、生き物の気配すら感じない。そんな状況で一人この悲惨な状況を見ながらうなだれるしかなかった。





◇◇◇




一人うなだれていて数分後、ふいに脳内地図に人の反応が出てきた。それもかなりの量だ。逃げ出した騎士たちが無事リルクヴィスト領に入り応援でも読んで来てくれたのか、と思ったがその集団が見える距離まで来たときに、その想いは消えた。


統一された皮鎧を着た武装集団。その皮鎧には決まった紋章が彫られていた。あれは狼だろうか?遠吠えしている狼のシンボルが刻まれている。まず、冒険者ではない。明かに誰かに統率された部隊だと分かる。間違いない、あれは私兵団だ、そう理解するのに数秒も掛からなかった。


私兵団とは貴族が独自に持っている兵団であり、表向きは貴族の護衛団となっているが、実際には貴族の裏仕事を行う集団だ。


今回の一件、何者かによって仕込まれた可能性があった。その現場に国の兵団ではなく、貴族の私兵団がやってくる。明らかに何かがおかしい。普通なら冒険者ギルドと街の治安維持を行う憲兵団がやってくるはずなのに、やってきたのは貴族の私兵団ときたもんだ。それに完全武装している。


嫌な予感しかしない。


俺は即座に近くの茂みに身を隠す。かくして数分後に私兵団らしき武装集団が現着した。

現着した私兵団の人たちが辺りを見渡した。その光景に顔がみるみる青白く変わっていく。中には吐き出し始める者までいた。その中で、二人だけ明らかに辺りとは違う反応をする人がいた。


雰囲気(オーラ)から察するに間違いなく、この私兵団の団長か幹部クラスの奴だ。その二人が話し合っている。


「これは… 凄まじい光景だな」

「魔物同士の同士討ちでしょうか?」

「いや、邪香木を嗅いだ魔物は酩酊状態になる。暴れはすれど、同士討ちすることはない。その線は薄いな…」

「では、何者かによって殲滅されたとお考えで?」

「その線が有効のようだな… 見ろ、この魔物の綺麗な切り口を」


団長のような無精ひげを生やした四十くらいの貫禄のある男が足元に転がっている小鬼を指さしている。それを横に居た好青年風の若者がしゃがみこんでみている。


「…明らかに切断された跡ですね。では、これをやったのは腕利きの冒険者でしょうか?」

「あぁ… その可能性が一番高いだろうな。しかし、これだけの数の魔物を殲滅しきる冒険者なんぞ今王都にしかいないはずなんだがな…」

「メルキドの冒険者でしょうか?」

「いや、あそこの冒険者は口先だけの半端者だ。こんな芸当はできる奴はいない。」


二人の団長とおつきの二人がこの光景を見ながら考えている。どうやら、俺の考えは杞憂に過ぎなかったようかな、と思い始め出ていこうかなと思った時、次の言葉で雰囲気が変わった。




「どっちにしろ、計画を狂わされたんだ。そいつには死んでもらわなければならないな。」




やばい、やばい、ヤバすぎるぞ… 

もしかして嫌な予感的中かよ。いくつか考えていた中でも最悪のシナリオが頭をよぎった。

間違いない。こいつらは本物の首魁の一味で始末部隊の奴らだ。


狙いは恐らく俺が助けに入った豪華な馬車を狙ったと見て間違いないだろう。どんな理由と目的があって襲ったかは分からないが、間違いなく魔物に襲わせることが作戦だったんだろう。魔族の男はそれをたまたま、偶然発見して利用しようと考えただけに過ぎない。本物の首魁は、こいつらを飼っている貴族だ。


どうする?飛び出して一戦交えるか? 嫌、魔物に魔族と連戦後にこの集団はキツい。そもそもなんで戦う必要がある。ここは逃げるしかないな。


ゆっくりと匍匐前進で茂みを後にする。

森に入り、少し遠回りをしながらメルキドを目指すことにする。


例え見つかって追手が襲ってきたとしても、森の中なら逃げ切れる可能性が高い。森の中で馬を全力で走らせることはできない、障害物が多すぎるためだ。奴らは全員馬でここまでやってきている。当然のように誰が追手になったとしても馬を使うはずだ。そう思ったからこそ森の中で遠回りにメルキドに向かうことにしたのだ。



◇◇◇


森を走って数分後、どうやら私兵団の奴らに見つかることなく逃げ切れたようだ。

もう少しでメルキドという所でまさかの人物に遭遇する。


「オッス!意外と大丈夫みたいなようで安心したスわ!」


師匠こと、ヴェル・レコンビンさんだった…。


相変わらず飄々とした雰囲気を纏っている。見た目や雰囲気からはとても強そうな感じは全くと言っていいほどしない。しかし実際はめちゃめちゃ強い。人外クラスの実力所持者だ。


元王族御用達の近衛騎士団の団長を務めていたほどの実力者で、無実の罪を着せられ王都からの逃げ出してきたらしい。そのさいに、逃亡用に口調変えよう!とか言い出して語尾に「~ッス!」を入れようと努力しているらしいが、まったくといっていいほど合っていないし、雰囲気ブチ壊しレベルだ。まぁ口には出さないけど。


そんな師匠が森の中で偶然ばったり遭遇、そんなミラクルが起こるはずもない。


「どうして師匠がここにいるんです? 今日はてっきり魔の森奥地の依頼受けてると思ってたんですけど?」

「いやぁ~ かわいい弟子が危ない目にあっている!と思ったスから助けにきたんスよ?」

「あぁ… さいですか。できればもっと早く助けに来てほしかったですね。」

「まぁ俺の弟子なら心配ないなぁ~とは思ってたッスけど!ハッハッハ!」


コイツ… 俺があんな死にかけの想いしたのに… このテンションにうっすら殺意を覚えるぜ。キャラ作りに必死なのはわかるが、そろそろマジで辞めてほしいと思うんだが。


「ハァ… もういいです。それよりも師匠、少しお話したいことがあるんですが。」


急に雰囲気を変えて話した俺に、師匠が何かを察したように飄々とした態度を辞めて話を聞いてくれた。

馬車が襲われていたこと、魔物暴走を指導していた魔族がいたこと、魔王が復活しそうなこと、そして魔物暴走を裏で操っていた貴族がいたこと、それの後始末に私兵団をよこしてきたこと。


俺はすべて師匠に話した。それを聞いて師匠は何を察したように考え始めた。さすがは元近衛騎士団団長を務めた男、考える姿にどこか凄みを感じる。


「アレク… しばらくメルキドに帰らない方がいい。確か魔引きの調査依頼で出てきたんだよな。おそらくその首魁である貴族は自分の粗が出ないように痕跡を一切消し去りにくるだろう。それも当日依頼に出ていた冒険者を全員皆殺しにするくらいにな」


そ、そこまでやるか…? そう思うが、確かにありえないことではない。少なくとも冒険者はほとんどが根無し草だ、一人二人殺害されても魔物に襲われ死亡と書き換えられるし、調査もされない。


「それに、その私兵団の特徴から察するに、おそらくそいつら『群狼(ぐんろう)』の奴らだな」


「『群狼』?なんですか、それ?」


「『群狼』ってのは、リルクヴィスト侯爵が持っている私兵団の裏部隊だ。現当主であるバーデン=リルクヴィスト侯爵が組織した裏舞台でな、強盗から殺人、邪魔者始末までなんでもやらせる私兵団だ。皮鎧に“狼のシンボル”が刻まれているのが特徴だ。」

「俺が騎士団員時代に違法奴隷を扱う奴隷商会を潰すために動いた事件があったが、様々な妨害工作があって結局捕縛まではできなかった事件だったんだがな、その裏で手引きしていたのがリルクヴィスト侯爵で、妨害工作をしてきたのが『群狼部隊』だったのを覚えている。」

「バーデン=フォン=キース=リルクヴィスト侯爵は裏社会で違法奴隷から裏商会、他国との密貿易など、裏社会のボスで有名な男だ。第一級危険人物でもあり、王国要注意人物でもある危険な男だが、中々尻尾をつかめずに証拠不十分で野放しにされている奴だ」


“リルクヴィスト”それは、俺の元性だ。当時七歳だったアレクを追放したあたりから、どーせろくでもない奴だろうとは思っていたが、そこまで大物だったとは思いもしなかった。まだ身バレしていないとはいえ、バレるのは時間の問題だろう。


「師匠… 俺どうすれいいかな…?」


師匠は暫く考えた後、一つの結論、いや提案を持ちかけてきた。


「アレク… 修行の旅に出てみないか?見たところ、確かに君は強くなっているが… まだまだ弱い。今回魔族に勝てたのは魔力枯渇状態に加え、突然のパワーアップによる油断など様々な状況が重なって勝てたに過ぎない結果だ。素の実力では間違えなく負けていた。次は、魔力が完全回復した状態で襲ってくるぞ? 次もまた勝てる保証はない、なら今のうちにその力を使いこなせるようになるのが一番いいと思うんだが…」


確かに師匠に言っていることはごもっともだ。魔族の男は一度も俺に対して魔力攻撃をしてこなかった。純粋な剣の勝負だったからこそ、俺は勝てたに過ぎない。それに、俺はまだこの魔剣の能力を知らない。持っているだけで力が湧き出てくるくらいだ。


「決めるのはお前次第だ。お前の目的達成のためにもいい話だと思うだがな」


俺の…目的か…。 フッ 答えはもうすでに出ているな。帰る家も場所も人もいない。





「よろしくお願いします! 師匠!!」




「よし!思いっきり鍛えてやるからな! 覚悟しておけよ!小僧ォ!」



こうして俺の修行の旅が決まった。

俺がまたメルキドの街に戻ってくるのはこれから五年後のことだった。





※※※



「ちなみに師匠… どこで修行するんですか?」


「魔界だ!高濃度の魔素地帯に荒れ狂う天候、素晴らしい修行場所だと思わないか!」


高濃度の魔素って確か、人体に有害じゃなかったっけ…?過剰摂取しすぎると体調に影響を及ぼしたり、下手したら死んじゃうって聞いたことあるんだけど。っていうか魔界って魔族の住処だよね!人が生きていける環境なんですか?


「……やっぱり撤回してもいいですか?」


「ハッハッハー!そんなの無理に決まっているだろ!さぁいくぞぉ!」


師匠のキャラがだんだんおかしくなっていく気がする。まぁそれは置いといて… 地獄に行きたくはないなんだが、どうやら拒否権は俺には無かったようだった…。果たして俺は生きて帰れるのかな…?



これにて第一章終了になります。

【地球未練編→異世界転生編→修行開始編】が主な流れになります。

ここまで読んで下さりありがとうございました。この後、後日談と閑話を数話挟んで第二章に入ります。

逃げ切った馬車編と精神世界の続き編をかけたらなと思います。(一話で纏めれたらいいんだけど)


なんだかんだとグダグダな感じになってしまい申し訳ないです。後日、色々と教えてくださった誤字訂正や文章編集を行う予定です。本当にここまで読んで下さりありがとうございました!これからも頑張って執筆していきますので、暇つぶし程度に読んで下さると嬉しいです!


気になった点や質問などあれば感想にお気軽にお書きください。できる限り早く返信させていただきたいと思います!本当にありがとうございました!これからも頑張って執筆していきます(´▽`*)



◇第一章終了時点での評価(2019/03/23)

総合評価:168pt ブックマーク登録:53件 総合PV数アクセス:10,747pv


ブックマーク登録50件突破!総合PV数一万PV突破! ほんとうに色々と評価していただき、ありがとうございます!これを励みに頑張っていきたいと思いますのでよろしくお願いします!( *´艸`)

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