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24.殿(しんがり)

気まぐれトーカ。


※次話でアレクくんには死の淵に旅立ってもらおうかなwって考えてます。先長いです。

書き方少し変えました。説明文長くするより手短に書いてみました。やっぱり難しい。

もう俺が戦い始めて何時間たっただろう…


いやまだそんなに時間はたってない。おそらく数十分くらいだ。それほどまでに濃密な時間を俺は戦っていた。いや、まだ戦いは続いている。


既に俺の周りを取り囲む魔物の姿はない。影狼や小鬼といった小型の魔物はすでに逃げ出している。

残っているのは小鬼の上位種を始めたとしたホブゴブリンやオークといった大型の魔物だけだ。


オークやトロールは図体はデカイが、鈍間で比較的戦いやすい。しかしオーガやレッドグリズリーといったAランク以上に指定されている魔物相手に戦って倒せる気がしない。ましてはそんな化物が群れを作って襲い掛かってくる。


今の俺では絶対に勝てない。間違っても討伐できるなんて考えられない。隙をついて攻撃をしてみるが、奴らの皮膚は硬く、俺の持つショートソードでは精々擦り傷くらいの被害(ダメージ)しか与えられない。

少しでも攻撃に転じて回避を疎かにすれば、攻撃を躱しきれずに一撃で殺される。一撃一撃が即死級だ。


今は回避と妨害をひたすら繰り返してなんとか時間を稼いでいる状況だ。



なぜこのような状況になったのかは少し時を遡る。




小型の魔物の群れが逃げ出した時点で俺は、騎士たちに一方的に指示を出しておいたのだ。


「俺が逃げる時間を稼ぐから、今のうちに逃げろ」と。しかし騎士たちにもプライドがある。「少年一人見捨てて逃げるか!」と騎士精神で反発してきた。想定内ではあったが、状況を考えて欲しかった。このまま話し合っても時間が無駄にすぎるだけだと思い、気が進まなかったが正論を叩きつけて黙らせた。


曰く、戦いにも参加してこなかった奴が口を出すな!

曰く、てめぇらじゃ足手纏いだ!とっとと逃げろ!


と。言葉は笑いが、こうでも言わないと騎士たちは下がらないと思った。


騎士たちもわかっていたはずだ。

自分たちの実力では邪魔になるだけだと、確かに見た目が十歳前後にしか見えない少年を危険な場所に置いていくのは俺が逆の立場だったなら、邪魔になると分かり切ってても残ったかもしれない。


しかし、仮にも騎士だ。自分の責務を考えてくれと思った。騎士たちの目的は馬車の護衛だ。その護衛を成功させるためには何でも利用してでもやり遂げなければならない。例え己がプライドを汚してでも。


俺はその騎士たちの責任感に掛けた。

掛けは俺の勝ち。騎士たちは、聡明だった。


自分たちは守られている存在だと自覚し、言葉を飲み込み、黙って逃げる準備を始めてくれた。馬車から切り離しておいた馬を馬車にもう一度繋ぎ、負傷者を荷台に運ぶ。流石は騎士だ。各々が自分の役割を真っ当する。


しかし騎士たちの隊長が一人残ると言い出した。本当に嬉しくない善意だ。ともに一緒に戦う!と言い出して今にもこちらに駆けだそうとしている。仲間の騎士が必死に抑えているが、あれは振り切ってでもこっちに加勢しに来る勢いだ。


そんな奴を説得する暇もない。ましては、あの隊長らしき人はきっと自分が納得するまで勢いは止まらない人だろう。本当にめんどくさい奴だ。とっとと逃げ出してくれれば俺も時間稼ぐだけ稼いで逃げるれるのに。


俺は今にでも逃げ出したいと考えている。

すでに棚ぼた同然で偶然入った極限の集中状態からも出てしまっている。


体中の筋肉が筋肉痛になったように痛い。唯一恐怖心だけがなく、冷静な判断能力だけが未だに働いていることが助かった。


そして動き回れているのは、身体強化魔法の影響だ。まだ俺は魔力を纏った状態をギリギリの所で維持できているので、躰を操り人形の様に動かしている状況だ。


それに、脳内地図で残りの魔物の数を検索する。残り三十匹と出た。始めは検索する気も起らないほど赤点で埋め尽くされていたが、今では所々穴が見られる。一目でわかるほど数が減っているのが分かった。


それは、なんとか数えられる状態まで減らすことが出来たからこそ検索できたものだ。


といってもまだ三十匹もいる。

しかも、そのほとんどが大型の魔物に上位種という絶望的な状況だ。


俺は魔物たちの攻撃を躱しながら隊長に話しかける。言葉を交わす余裕はない。一方的に話しかける。

できるだけ短い言葉で、相手が反論できないような言葉をかける。


「あんたの使命はなんだ!?」

「そこにいる馬車の中の人を守るのが使命だろ!」

「なら何が何でも護れよ!護り通せよ!」


隊長の勢いが止まってその場で動きが止まる。何が考えているように見えるが、言葉が返ってくる暇すら与えさせるわけにはいかない。ここで畳みかけて逃げ(撤退)させる!


「てめぇの使命を全うしろ!」

「使えるもの全部使え!全部使ってでも、何が何でも護りきれ!」

「たとえ、それで犠牲が出たとしても!それが護衛のためなら切り捨てろ!」

「どんな手段を使ってでも護り抜く!それが騎士であり“護る”ってことじゃねぇーのか!」


言葉を受けて、とても悔しいそうな顔をしながら即座に騎士たちに支持を出し始めた。

本当は言い返したいんだろうが、言葉を飲み込んでグッと堪えてくれた。さすがは隊長に抜擢される人だ。自分を抑えて考えてくれた。


あとは騎士たちが無事に逃げ出し、時間を稼ぐだけ稼げば俺の役目は終わりだ。

今の俺なら十分あれば、この戦線から離脱できる。きっと振り切れる。それに、メルキドは冒険者の街だ。メルキドまで逃げ切ればなんとかなるかもしれない。


それに師匠もいる!師匠の実力は人類最強(クラス)だ。きっと何とかしてくれる!

さて、騎士たちも撤退を始めた。こっちはこっちのやるべきことを為すか!

と、いっても回避と妨害、隙があれば視覚封じ(眼潰し)だ。


確実に時間を稼ぐために回避に集中しつつ、撤退した騎士たちを魔物が追いかけないように適度な攻撃(ヘイトコントロール)

ココが踏ん張りどころだ!


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