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22.その眼に映す光景は虚無

気まぐれトーカ。

※今回の視点は分隊長キース視点から見た主人公の姿を書いてみました。

難しいッスね・・・。


✴︎編集して分かりにくい文章を変えました。後色々と加筆しましたので、ご注意下さい。同日19:48編集

今、目の前で行われている戦いは、きっと誰かに話しても信じてくれる人はおそらくいないだろう。それおほどまでに凄まじいモノだった。

護衛と戦闘のプロである騎士団部隊長の俺でさえ、目の前に行われているモノは信じられないものだ。


◇◇◇


俺は名は【アップショー】平民出身のため家名はない。

王都の学園を卒業後、王都守護騎士団に入隊して現在では部隊長にまで剣一本で登り上がった実力者だ。


そんな俺に上司である騎士団長様から第三王女の街道を通る際の護衛の任務を与えられた。

第三王女様はこの国始まって以来の天才児と有名だったが、その性格は心根から優しく、まったく戦闘に向かないお人柄だとお聞きしていた。


初めてお会いした時には本当に天才で王族なのかというくらい覇気が無く年相応の育ちを感じさせない雰囲気のお方だった。


俺が馬車に乗っておられた第三王女のアクアリア様にご挨拶をした後、今まで数々の貴族の護衛をしてきた俺ですら体験した事ないことが起こった。


アクアリア様が何と、馬車から突然降りて私の前まで来て優しく微笑みながら「今度の護衛、引き受けてくれてありがとうございます。道中のほどよろしくお願いしますね」と私のような平民出身の人に頭を下げたのだ。例え平民であっても礼節を忘れてはいけない、そんな素晴らしいお考えを持ったお方だった。


私はこのお方の護衛に選ばれた事、心より上司にお礼申し上げ、そしてなりよりアクアリア様を何としても御守りしたいと思った。


今回の目的は城塞都市メルキドで行われる貴族交流パーティーに出席するための移動だ。その道中の守護が我々騎士団の護衛任務となる。


初日は王都を出発して目的地のサンタナ領に向けて進み一晩休む。サンタナ領で一晩を越したら次はリルクヴィスト領に向けての進行を行う。リルクヴィスト領でも一晩休息の予定だ。


道中は至って安全だった。

魔物がちらほらと襲ってきたが、戦闘の訓練を受け、部隊長まで成り上がった俺の敵ではない。


時間を遅らせまいと、魔物を即座に葬って進行を続けた。そん時でさえもアクアリア様はわざわざ馬車からお降りになって「ありがとうございます。お怪我などは大丈夫でしたか?」と我々護衛に就いている騎士団員にお気遣いをしてくださった。


本当にお優しいお心の持ち主だと感服させられます。

そう思っていたが、リルクヴィスト領をお昼ごろに出発して最終目的地であるメルキドまで後数時間というところで事件が起こった。


先行に出ていたはずの騎士団員二名が大慌てで戻ってきた。俺は何事かと思い、斥候の騎士団員二名に事情を聴くと信じられない言葉が返ってきた。



「前方より、魔物の大群が押し寄せてきます!」

「その数、百を超えております。至急撤退を!」



その言葉はまるで必死そのものだった。

この二人の実力は我々護衛としてついてきた団員の中でも腕利きの二名なので馬車護衛としてついてきた騎士団員全員が驚愕させられた。


今までの道中も何体かの魔物の群れと遭遇したが、先行している二名の騎士団員のみで殲滅できるレベルの雑魚魔物だ。


今回の護衛形態は護衛騎士団員六名を先行2と後衛馬車守護4に分けての形態をとっていた。


先行として先に二名の騎士団員を進ませ、敵を発見することを目的としてたが、二名で殲滅できる場合は即座に殲滅させることを目的としていた。


事実これまでの道中では、ほとんどの魔物襲撃をこの先行二名の騎士団員によって殲滅されていた。


この二人は部隊長である私に匹敵する実力を持っている確かな実力者だった。その二人が、撤退を進言してきたのだ。


これは只事ではない。俺はすぐにリルクヴィスト領まで撤退させようと考えたが、その考えはすぐに仲間の騎士団員の声でかき消された。


「アップショー隊長!前方より、複数の高魔力反応です。それも多数… すさまじい速度で進軍しております!接触まで残り数分もございません!」


馬車の荷台に座り、受動探知を担っていた騎士団員からの報告だ。


受動探知とは生物が発する魔力を感知するためのスキルだ。この騎士団員は魔力操作が護衛としてついてきた中でズバ抜けて高かったため、馬車の荷台で常に受動探知を行ってもらっていた。


その探知距離は一キロほど、つまりこの団員が感知した時点で敵はすでに我々の一キロ圏内に来ているということになる。


もはや撤退は無理だ。たとえ逃げたとしても荷台を引いた馬の速さではとても逃げ切れないだろう。すぐに追いつかれ戦闘に入るだろう。そうなれば護衛対象であるアクアリア様まで被害が及ぶ可能性がある。


それならいっそ、殿として誰か残して撤退時間を稼ぐか? いや、敵が大群で本能むき出しの魔物相手にわずか六人しかいない護衛で一人ずつ殿として残していっても大して時間稼ぎはできないだろう。


何より、最優先護衛対象はアクアリア様のお命だ。我々護衛の命はここで失ったとしても守り抜かねばならない。それが騎士として、護衛としての責務だ。


まだ遠くて小さいが確かに小さな地響きが聞こえてくる。もう時間がない。そうなれば、ここで我々がとれる最善の作戦は一つしかない。


魔物の大群発生の原因はまだはっきりと解明されていないが、起こる原因の一つとして挙げられるのが「獲物不足」だ。要するに食糧不足だと考えられている。

増えすぎた魔物に対して食料となる動物が少なくなると起きやすくなると考えられている。


我々の肉体を… 餌にして時間稼ぎをする事。それが我々のとれる最善の策だった。


大して頭の回らない俺にできるのはこれしかなかった。こんなバカな部隊長についてきた仲間たちには悪いが、ここで一緒に餌となって死んでもらうしかない。


馬車には馬が付いているが、その馬を外せばただの車輪のついた箱で障害物だ。それに我々の血の臭いが馬車の中から漂う人の臭いを消すだろう。


馬車の中にはマリアというアクアリア様専属の侍女もいらっしゃる。あの方は元冒険者で優秀な人だとお聞きしたことがある。きっと一人でもアクアリア様を無事にメルキドまでお送りしてくださるだろう。


俺は覚悟を決めた。周りの騎士団員たちも既に覚悟は決まっているようだった。


その旨をアクアリア様に伝えにいく。アクアリア様は聡明だが、まだ年も十過ぎたばかりの若いお方だ。

きっと真意には気づかまいと思い、マリア様のみ伝わるように遠回しな言い方で伝えた。できる限り怖がらせないように注意を払いながら。


伝えた後、俺は馬車から馬を切り離し逃がす。そして団員の方に戻る。団員たちが隊列を組んでいる前方から土煙が立っているのが見えた。少しづつだが地響き大きくはっきりと聞こえてくる。あれが魔物の大群なんだろう。


ここが俺の死に場所か…。



アクアリア様を御守りして死ねるんだ。

騎士の本望だぜ!


心ではわずかな喜びがあった。騎士として恰好良く死にたい。誰かを守り死にたい。そんな少年心がくすぶっていた少年時代に見た理想の死に様だ。




けど、やっぱり死にたくないな……



表情には出さない。声にも出さない。出せば一緒に死ぬ決断をしてくれた団員たちに申し訳が立たない。もう視認できる距離まで魔物が近づいてくる。



「騎士として、誇りある戦いをするぞおお!」

「「「おぉーーー‼︎‼︎」」」


俺は団員たちを鼓舞するために叫んだ。

そして戦いは始まった。



魔物の大群は様々な種類によって集まった混合集団である場合が多い。今回の大群もそうだった。

まずは足の速い狼型が俺たちに向けて一直線に走ってきて飛びついてくる。それを騎士団標準装備の腕についたバックラーで攻撃を防ぐ。バックラーに阻まれている狼魔物目掛けて剣を振り下ろし、一撃で頭をカチ割る。


基本的な戦法で騎士団で習う初歩的な魔物との戦闘方法だ。そして同時にもっとも強力で効率が良い戦法でもある。


飛び掛かってくる狼をバックラーで弾いて剣で急所を攻撃して反撃させないように一撃で葬る。ただそれの繰り返しだ。


しかしそれでも押される。

圧倒的に魔物の数が多すぎた。


あっという間に魔物に目の前が魔物だらけになってしまった。中には小鬼型の小型魔物種から熊型の大型魔物までいる。もはや魔物暴走(スタンピート)だ。


仲間が次々と負傷していく。ついに一人が熊型の魔物の一撃で吹き飛び、木にぶつかって静止する。


まずい!今の一撃で完全に気を失った。助けに行きたいが、魔物が邪魔をして進めない。気を失っている騎士に向かって狼の魔物が向かっていく。


あれはもう助からない。即座に見切りをつける。

今は目の前の魔物をできる限り数を減らすことが大切だ。

倒れた仲間を助ける余裕なんて俺たちにはない。


周りを見渡すと、仲間たちはすでにボロボロだった。毎日手入れを欠かさず磨いているこの国の騎士団である誇りの銀色の光沢を放つ騎士鎧も甲冑も既に魔物の返り血で汚れ所々凹んでいる。

倒しても倒しても次々に魔物が襲い掛かってくる。


横から短い悲鳴が聞こえた。おそらく魔物にまた仲間がやられたんだろう。

もう見る余裕もない。少しでもよそ見をしようものならあっという間に俺も殺されるだろう。


たとえ俺一人になったとしても、最後の最後まで全力で戦いきる!それが護衛の任を受けた部隊長の責任だ!


只管眼前の敵を斬り殺していく。仲間たちが戦っている姿すら魔物が邪魔で見えない。

俺の躰の所々から血が滲んでいる。バックラーが重たく感じる。まだ戦いが始まって数分もたっていないだろうが、すでに数時間も戦い続けたように躰が重たい。一度に三体も四体も一気に襲い掛かってくる。


ヤバい。さすがに限界だと思った時、この場に似つかわしくない声が辺りに響いた。

その声の主は、馬車の近くに居た。その姿は如何にも駆け出し風の恰好をした若い少年冒険者だった。


あんな子供がここに何をしに来た!


俺は声を声を張り上げて乱入してきた少年に逃げるように言うが、その少年は「助けに来ました!」と一言いって、俺の静止を無視して魔物に向かっていく。


あいつは自殺志願者か? そうとしか思えなかった。


だが、少年はすぐに俺たちの後ろまで戻ってきた。それは血塗れの銀色の騎士鎧を着た男だった。

俺がそうそうに助からない、と見切りを付けた仲間だった。あの数秒で救い出したのか?


俺はバックラーで敵の攻撃を防ぎ剣を振り回しながら、後ろの少年を見る。

少年は気絶して動かない血塗れの仲間を馬車に寄り掛からせ、手から薄青色の魔発光が見える。

魔発光とは、魔法を行使するさえに輝く光のことだ。薄青色の魔発光は治癒系統の魔力だ。


あの少年は回復術師か!


それなら尚のこと逃げてほしかった。

回復魔法や治癒魔法を使える人はごくわずかなのだ。それにとても貴重な存在でもあるのだ。それに回復魔法や治癒魔法を使える人は大抵は戦闘が苦手なものに多い。相手を癒してあげたいという慈愛の心が生み出す力。それが回復魔法や治癒魔法に繋がると言われている。


こんなところでそんな貴重な存在を失ってはいけない!できればすぐにでも逃げてほしかった。

そんな思いを少年を無視して、こちらに一目散に走ってくる。


「何しに来るんだ!」「今すぐ逃げろ!」他の騎士団員の仲間たちも必死に声を上げる。

だが、そんな声も少年に届かず、少年はこちらに一目散に走ってくる。もう知らねぇ!勝手に死ね!

そう自暴自棄になって考えを放棄する。



しかし次の瞬間、少年の姿が掻き消えた。



それと同時に、目の前の魔物が一瞬で斬り刻まれ、その場でボトっと倒れ落ちる。

目の前には小さな少年の背中が見える。


なぜそこにいる?


そう思わされる光景だった。さきほどまで後ろにいた少年が今は目の前で立っている。

他の団員たちも魔物たちも驚いて一瞬動きが止まった。


そしてまた少年の姿が一瞬ブレて、その場から掻き消えるように消えた。


疾すぎる‼︎


眼にも負えない速力であっという間に敵を斬り刻んでいく。


一瞬で殺された仲間たちを見て魔物たちが少年を餌ではなく、明確な殺すべき敵だと認識したようだ。


俺たち騎士団と戦っていた魔物たちですら、その少年を取り囲むように少年を囲んでいく。


そこでようやく俺は現実に戻った。

このままでは危ない!あの勇敢な少年が殺されてしまう!あの少年はいずれ、この世界でも指折りの実力者となる存在だ!ここで死なせてはいけない!


俺は少年を助けようと魔物たちの背中目掛けて向かおうとするが、次の瞬間目の間で信じられない光景を目にした。



それは一方的な暴力というべき、殺戮の光景だった。

いや蹂躙という方が正しいのだろう。


少年の纏う雰囲気が明らかに変わった。

さっきまで年相応な雰囲気を纏った無害な少年だったが、今は違う。


その少年は、眼前の魔物たちをただひたすら斬り殺していく。それを目にも留まらぬ速さで。まるで俺の憧れた()()()と同じだ。


圧倒的な力で敵をなぎ倒していく姿…

王国最強の守護神と呼ばれた()()と同じだ。


魔物の攻撃を紙一重で確実に躱し、反撃していく。それも一撃で相手を両断する。死角からの攻撃であっても、確実に躱し、反撃し、斬り殺す。まるで後ろに目が付いていて見えているような反応速度だ。逃げ出そうとする魔物を手をかざし、薄黄緑色の魔発光と共に屠る。


あれは風属性魔法の初級魔法ウィンド・カッターだろうか? 恐ろしく冷静で的確な攻撃だ。


今にも飛び掛かろうとしようとしている魔物に向かって投擲用のナイフを投げつけ、動きを妨害し、隙を作り確実に屠る。初級魔法に剣劇、的確な判断能力に身体能力の高さ。すべてがずば抜けている。この年でここまで完璧にできる少年など俺は見たことがなかった。


そんな殺戮をしているのに、少年の眼は静かだった。

いや、少年はきっと何も見ていないのだろう。そう直感でわかる。


魔物を殺戮する快楽や自身の死への怯えはそこには存在していない。その瞳に映るのは虚無。眼前の敵をただ、事務的に、作業的に、処理しているだけの『歴戦の戦士』の眼だ。


まるで無機物のように冷たい無表情で、次々に屠っていくその眼は、あんな若い少年がしていい眼ではない。


そんな事を平然と行っていく少年の一方的蹂躙劇を、俺たちはただ見ていることしか出来なかった。


読んでいただき、本当にありがとうございます。あと数話で、第一章終了+主人公アレクの覚醒予定です。

こんな趣味に走りまくった無茶苦茶展開の小説を読んで下さり、また評価していただきありがとうございます!スマフォで自分の小説の詳細を見ていたらびっくりしました。

いつの間にか総合評価が110ptも頂き、それにブックマーク登録30件突破しておりました。


本当にありがとうございます。分からない部分や矛盾している部分など多い作品だと思いますが、これからもよろしくお願いします!暇つぶし程度に読んで下さると大変うれしいです!


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