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21.覚悟を乗せた刃

気まぐれトーカ。今回めっちゃ長いです。8000字行きました。


※文章が分かりずらかったため編集しました。




家を出る前に結界魔法が付与された魔道具を起動して魔の森を抜ける。

城塞都市メルキドの南門で、いつも通り門を抜けて街に入る。


門番は初めて俺の姿を見たときは「こんな幼子が魔の森の依頼に?」と驚かれていたが、今では見慣れた光景で「お疲れ様!」「今日はどうだった?」と軽く会話する仲にまでになった。


何時ものように軽い会釈をしながら「まぁまぁですよ!」と軽く受け流す。


門番さんと軽く世間話をしてから入るのが日課でもある。ここの門番さんは二人一組で門番をしており、一週間に一度は人が入れ替わるシフト制で勤めている。


身分証であるギルドカードを提示して門に入る。

さすがに顔パスとかは無理らしいが、荷物検査などはパスして貰えるようになった。


南門を抜け、中央通りを通って冒険者ギルドに向かう途中に露店で串焼きを買って食べ歩きをしながら冒険者ギルドに向かうのが日課だ。


冒険者ギルドの中はいつも通り静かだ。

今は昼頃で冒険者はみんな依頼の最中か、昼食を食べているころだろう。


いつも通り一番左端の受付嬢のカウンターに向かう。

そこは俺に魔法の手引きをしてくれたりと色々とお世話になっているミーアさんの担当席だ。

いつも通りミーアさんは書類整理やらの仕事をこなしている。





「こんにちは!今日も何か良い依頼残ってますか?」


仕事をしているミーアさんに話しかける。

俺が言う良い依頼とはもちろん言わずと知れた薬草採取の依頼だ。

魔眼を使った脳内検索機能付き地図で薬草の場所なんてあっという間にわかるから楽に稼げる。



「あら?アレクくん いつも通りの時間ね! 今日は採取系の依頼は初心者冒険者の方々が受けているからちょっとないかな」

「あぁ~ そうですかぁー」


俺は朝の依頼ラッシュが嫌なので昼出勤をしている。

そのために残っている依頼は、不人気依頼か俺のお気に入りの薬草採取依頼しか残っていない場合が多いが、稀に目当ての採取系依頼が他の冒険者にとられることもある。


まぁ仕方がないなぁと諦めつつ、何か良い依頼は無いのかな、と依頼掲示板を見ているとミーアさんから声をかけられた。




「ねぇアレクくん もしよかったら調査依頼受けてくれないかな?」




ミーアさんが進めてきた調査依頼とは、依頼されている調査項目を実際に現地に行ったりして調査し調査報告書をギルドや研究所などに提出する依頼だ。依頼料は高いが、何分色々と制約が多い面倒な依頼だ。

たまに研究者が一緒に依頼についてくる依頼もあるらしい。


それに、この調査依頼というのは、当たりはずれが顕著に出る依頼なのだ。


まず、調査対象が発見できなかった場合は依頼失敗と取られてしまう場合もある。それに中には未踏破エリアと言われるダンジョンが近くにある都市ではよくある調査依頼なんだが、これが一番リスキーだ。


まったく未開拓の地であるからして何が起こるか分からないし、初めて遭遇する新種の魔物などに殺されるリスクもある。それに運よく魔物を遭遇せず楽に終わる依頼もあれば、厄介な魔物や凶悪な魔物に見つかって追いかけまわされ、最後には喰われるかもしれないというリスクもある。


調査場所が必ず危険地帯の場合が多い通例だが、その辺の雑魚魔物なら問題ないが、たまにワイバーンなどの危険な魔物とばったり遭遇して殺されるリスクもある。


そのことから、当たりはずれの差が激しく、内容に大きく左右される依頼である。

出来る限り受けたくはない種類の依頼なのだ。



俺は口をへの字に曲げ渋った顔をしながら、ミーアさんをジト目で見る。

受けたくないですアピールだ。



「そう渋った顔しないでよ。この調査依頼は比較的楽な部類だから稼ぎ時よ?」


そういいながらミーアさんが一枚の依頼書を手渡してくる。

俺は渋った顔を崩さず、依頼書を受け取り内容に目を通す。


どうやらこの街の領主邸からの依頼のようだ。

貴族相手の依頼はできる限り受けたくないのだ。

変に目立って素性がバレたり、目を付けられたくないのだ。



依頼内容はミーアさんの言う通り楽な内容だった。


今度のメルキドで行われる貴族交流会に参加するためにたくさんの貴族がメルキドを訪れる。

その護衛の馬車が安全に通過できるようにメルキドとリルクヴィスト領を繋ぐ街道で魔物引きを行ったそうだ。

魔物引きとは、魔物を討伐して数を減らすことをいう。

その魔物引きから逃れた魔物が街道に出ないかどうかを調査し、発見した場合は討伐するのが依頼内容だ。




ミーアさんが言っている通り確かに楽な部類に入るだろう。


あらかじめ魔物引きを行い、魔物の数を減らしている安全な街道の調査だ。それに報酬が割といい。

調査報告書を提出で銀貨10枚、それに討伐した魔物に応じて追加報酬も貰えるそうだ。


それにこの依頼は常駐性で、何人でも受けれる期間限定の依頼書だ。

すでに何人かの冒険者パーティーが調査に向かっているらしい、これは受けるべきかなと迷う依頼だ。



俺は悩みに悩んだ結果

報酬の良さと調査報告書をギルド提出だったので俺はこの依頼を受諾することにした。



ミーアさんは「よし!これでノルマ達成できる!」と何やら訳ありなことを言いながら手続きをし始めた。やっぱり受けない方が良かったか?



ミーアさんから調査報告書の紙と、ギルドカードを返してもらう。返してもらう交代で家から持ってきた魔物の討伐部位や薬草の入った麻袋をミーアさんに渡す。


これも三年前の魔の森で暮らし始めたときからの恒例なのでミーアさんは「今日も頑張ったねぇ!」と言いながら受け取った麻袋を裏に持っていき、確認作業に入る。


確認作業は数分で終わり、いつものようにギルド口座に振り込むかどうかを聞かれ、振り込んでもらうように頼んだ。




ギルド口座とは、冒険者登録を行っている冒険者のみ行っている冒険者サービスで、冒険者が依頼料などの一部を冒険者ギルドに渡し

ギルドがその冒険者専用の口座を作り、お金や宝石などの貴重品を保管してくれるサービスだ。


レアなアイテムなどを持ち歩いていると盗賊や同業者から盗まれたり、最悪襲われる危険があるので、冒険者ギルドが提案し始まったサービスらしい。




「いつも通り口座に振り込んでおいたよ!」とミーアさんが言ったので、俺は口座にお金が振り込まれたことをギルドカードで確認し、依頼に向かうことにする。



ちなみにギルドカードは魔道具の一種で、個人情報などが詰められている。

ギルドカードは受付嬢カウンターに設置されている水晶の魔道具と連動しており、ギルドカードから自分の口座残高を見ることが出来るのだ。

ちなみに俺の口座残高は三年間の貯金で軽く200万ゴールドを超えている。金貨2枚も口座に入っているのだ。ちょっとしたお金持ちだでウハウハ気分で顔がニヤけてしまう。


そんな俺を見ながらミーアさんが呆れたように見ている。

どーで中身はおっさんですよーっだ!



さて、俺は依頼に向かうためにミーアさんに「いってきます!」と元気よく挨拶をしてから冒険者ギルドを出る。


今回の調査場所はメルキドの北門からリルクヴィスト領に繋がる街道の調査だ。

リルクヴィスト領に繋がる街道があるのは北門で俺が転生してきて以来、あまり北門を利用したことがない。あの時声かけてきてくれた門番のおっさんは元気かな?と思いながら北門に向けて歩き出す。



中央通りをまっすぐ通ってニ十分ほどで目的の北門についた。

あの時の門番のおっさんはいないようだが、依頼書とギルドカードを門番に見せて調査を開始する。



北門を出たあたりでさっそく魔眼を発動し、脳内に周辺地形地図を半径五百メートルに絞って表示させる。次に冒険者や門番などの武装した衛兵を青点、魔物を赤点、一般人を黄点でマップに表示させ、周辺の様子を探っていく。


脳内に浮かんできた地図に次々を青点や赤点が表示されていくが、赤点がほんの数個ほどで反応からするに雑魚魔物で数も少ない。あまり危険性の低い魔物のようだ。


探索した結果、俺を中心とした半径五百メートル以内には危険な魔物はいないことが分かった。


どうやら先日行われた魔物引きの効果が出ているのだろう。

これなら安全に馬車が通ってこられるはずだ。



今日は調査依頼をこなしながら、念のために手ごろな魔物を討伐することにし、今日の晩飯になりそうな動物でもいたら狩っていくことにする。調査報告書には「安全でした。」とでも書いておけばいいだろう。


調査依頼はリルクヴィスト領にまで続く街道すべてと会ったが、正直そこまでやりたくはない。

だけど虚偽の報告はしたくはないので念のためにリルクヴィスト領まで探索地域を広める。


600、700、800、900、1000……


脳内地図をどんどん広げていく。



すると夥しい量の赤点が表示さる。その量の赤点が一転に向けて進んでいるように見える。その先には複数の青点の反応がある。魔物が人を襲っている反応を脳内地図が探知した。

ここからリルクヴィスト方面に約1.4キロ地点の街道沿いで戦闘が行われている。


冒険者らしき戦闘員の反応6と、これは何か箱に入った、おそらく馬車だろうか? 

馬車に乗っている非戦闘員である反応が二つ。

そしてその反応に群がる魔物の数が尋常ではない数だ。その数ざっと数百匹はいるだろう。


反応から見るに、小物の雑魚魔物からヤバめの雰囲気を纏った魔物までいる群れだ。

おそらく魔物暴走(スタンピート)目前の数だ。


さらにその群れの最後尾で周りとは比較にならないくらい禍々しい反応が一つだけある。

おそらくコイツがこの魔物集団の(ボス)だろう。


この反応にはまったく覚えがない。人型の害意や悪意といった禍々しい雰囲気を感じる。

いままで見たことがない、おそらくかなりヤバい奴だ。


だが、そいつは群れの最後尾にいる。戦っている人たちと遭遇するまでの猶予はまだあるが、そんなもの関係がないくらいの夥しいほどの魔物の集団が襲っているのだ。


いくら人外の実力を持つ師匠に鍛えてもらったとはいえ、この数を相手に戦えるほど俺は強くはないし、そんな勇気もない。



それには俺はアイツに会うまで死ねないのだ。



とりあえず、まずは冒険者ギルドに戻って報告が先だ。これは俺一人では荷が重たすぎる。報告をした後、どうなるんだろう?俺も参加させられるのよな? 行きたくないな… 



そんなことを考えているうちに青点の反応が一つ消失した。


今までも反応の消失は見てきたし、実際に消失させてきた。


つまりこの反応の消失は―――――――    考えたくもない。





(迷ってる場合じゃない!助けに行かないと!)


俺は気が付いたら身体が動いていた。

北門で門番をしている人に大声で「この先魔物の集団が誰かを襲っている!冒険者ギルドに救援要請を!」と短く現状と要件を伝え走り出す。


門番の青年は「え?なんでわかるの」と、戸惑っているようだが、ここで止まって一々説明していたは間に合わないので無視だ。


大声で言ったので他にも聞いた人がいるだろう。

その人が冒険者ギルドに伝えてくれれば、何かしらの対処(アクション)はとってくれるはずだ。

もしかしたら救援を出してくれるかもしれないと期待もできる。


俺は排しながら身体強化魔法を発動する。

躰に魔力を薄っすらを纏わせる。上半身より下半身多めに魔力を纏うイメージだ。


魔力を纏うことによって身体能力を上げることができる身体強化魔法だ。

それに下半身をより多めに魔力で強化することにより脚力強化もできる。

魔力量に比例して身体能力の底上げが可能だが、やりすぎると逆に身体を破壊してしまうためある程度魔力操作を高めておかないと危ないシロモノだ。



この身体強化の魔法は師匠との訓練中に師匠がしているのを見て自分なりに分かりやすいイメージして作り出した魔法だ。一撃一撃が意識を奪われるほどの威力を持つ師匠の斬撃に対処するためにひたすら練習してきた魔法だ。




身体強化魔法を使ってひたすら走る。

身体能力を底上げするので体力(スタミナ)も上がっているため息切れを起こしにくい。


このペースなら1.4キロくらいものの数分で到着できる!


俺は脳内地図を頼りにひたすら戦闘が行われている場所に向けて全力疾走をする。

また一つの反応が消失した。残り4っの反応しかない。 



このままでは間に合わない!それに、これ以上犠牲を出すわけにはいかない!



さらに魔力量を一段階上げ、下半身に魔力を集中する。

一歩が十メルほどにもになる。もはや跳躍レベルの脚力だ。


この速度なら間に合う! 俺はひたすら走り続けた。




◇◇◇


騎士たちが魔物と衝突してわずか五分。


俺は戦闘の反応を発見してから、わずか数分という恐るべき速さで現着した。


すぐにどういう状況で誰が危ないのかを確認するために現状を確認する。

何事においても冷静さを忘れてはいけない。師匠の教えだ。


馬車を守りながら必死に戦っている銀色の鎧を纏った騎士鎧を着た人たちが必死に馬車を守りながら戦っている。馬車には馬がいないところを見ると、おそらく数人馬で離脱して逃げたか、助けを呼びに行ったかの二択が考えられるが、今はどうでもいい。



戦っているすぐ近くの木に所々鎧が凹み、血塗れで倒れ魔物に今にも喰われそうな人が見える。

まずい!この人は早急に応急手当をしないと間に合わなくなる!



そう確信してからの行動は早かった。

俺は一声だけ短く「加勢します!」と伝え、おそらく意識を失って血塗れで倒れ込む騎士に群がる魔物に向かって一直線に走る。



後ろから騎士の中でも一番ゴツい体形をしている人が「子供がこんなところに何しに来た!」とわめき、他の騎士たちが「早く逃げろ!」「危ないぞ!」と口々に言ってくる。そんな騎士たちに向かって「助けに来ました!」とだけ伝える。


馬車の中から女性の「危ない!」という悲鳴にも似た声が聞こえた。おもわず振り向きそうになるが、グっとこらえ、走る。


脳内地図を意識しすぎていたため、倒れた騎士に群がっていたうちの狼に似た魔物が一匹が俺に向かって飛び掛かってくる姿に一瞬反応が遅れてしまったが、師匠との訓練のおかげで飛び掛かってくるまでの予備動作まではっきり確認できた。


即座に魔眼を使って相手の強さを名前を確認する。


=========

名前:シャドーウルフ

闘級:96

(力:60 気力10 知力3 魔力23)

=========


種族の説明欄まで見る余裕はないが、闘級の割り振りさえ見えれば後は、ある程度の推測できる。

闘級から推測するに、おそらくすばしっこい特殊能力持ちの魔物だろう。


名前から察するに影を操る系統の特殊能力餅だろうか?


特殊能力なんて使わせては、こちらがさらに不利になるので一撃で仕留めることにする。


飛び掛かってくるシャドーウルフをギリギリで躱し、すれ違いざまに腰のショートソードで一閃。殺った手ごたえがあり、脳内地図から反応が消えたのでおそらく一撃で殺れたんだろう。


群がっていた影狼(シャドーウルフ)が仲間をやられたことに気が付いたのだろう。

グルルゥ‼と短く威嚇をしてくるが、そんなの大して脅威も恐怖を感じない。

もっと恐ろしい奴(師匠)と俺はずっと戦ってきたからな!こんな威嚇怖くも痒くもないぜ!


影狼たちが一斉に襲い掛かってくるが、師匠より圧倒的に遅い!

躱しざまに無防備な腹目掛けて剣を振りぬいていく。


影狼は集団で獲物を襲う種みたいなので個の力はそれほど強くないのだ。


俺は向かってくる影狼の群れを一匹一匹確実に胴体を真っ二つにに斬り裂いていく。

襲ってきた影狼の群れを三秒で殲滅し倒れている騎士を抱え、馬車まで引き下がる。


血塗れで倒れている騎士の様態を確認する。出血も酷く、意識不明だが命に別状はない。しかし噛み千切られかけている左腕は早急な処置が必要を判断し、最低限の止血の処置をして馬車にもたれさせる。


まだまだ魔物がいる。それにすべてがすべてシャドーウルフのような雑魚ではない。

ちらほら大型の熊みたいにデカイ魔物の姿も見える。

俺を入れてたった五人でなんとかできるレベルではない。


おそらく俺一人加勢しても焼け石に水だろうが、ここまで来て逃げるなんて恥ずかしい真似はできないし、もしここで逃げ出せばきっとアイツに笑われるだろう。それに師匠から呆れられるだろう。


俺はふと必死に戦っている騎士たちを見る。

みんな必死に戦っている。馬車を見るとえらく豪勢な作りだ。

中にいる人おそらくかなり高貴な人なんだろう。




貴族と関わるのは嫌だが、ここで逃げたら後悔するだろうなと思い、短く息を吐く。


「……覚悟決めるか」









ここに居る魔物一匹残さず殲滅する(斬り殺す)覚悟を…!!!!










覚悟が決まれば、意思が固まる。



意思とは気持ちだ。気持ちは意思の強さで鉄にも鋼にも変わる。



その気持ちは剣をより鋭く、強くする。



剣に(おのれ)の覚悟と意思を乗せる。



覚悟を剣に乗せて放つ刃は決して折れない。師匠の教えだ。

思う心は鉄より強くなる。半端な覚悟は死人も同じだ、と覚悟の重さを教えてくれた。



俺は短く息を吸い込み歯を食いしばる。ゆっくりと腰を下ろし、そのまま一気に騎士が戦う魔物の群れ目掛けて一気に駆けだす。狙いは騎士たちと現在対峙している魔物だ。


魔力を下半身に集め、脚力強化を施す。

一気に騎士たちと魔物の間をすり抜ける。すり抜けざまに剣で魔物を斬り裂いていく。


突然目の前に飛び出してきた俺に騎士たちも魔物たちも一瞬固まり動きが止まる。

そんなあからさまな隙を逃すほど俺は優しくはないので一撃で斬り殺していく。


騎士たちが何か叫んでいるが俺には聞こえない。

魔物たちが俺から少し後ずさる。吸い込んで止めていた息をフゥーっと吐き出す。


さぁここから殺し合い(覚悟の見せ所)だ、と自分に聞かせる。



自分の躰が徐々に重くなり、震えているのが分かる。武者震いではない。周りからは俺を喰い殺そうとする意思が、殺意が恐怖心(プレッシャー)となって襲い掛かってくる。それは実体のないものだが、確かに俺に纏わりつく重さがある。


本当は怖いんだ、今すぐ逃げ出したいんだ。

木の木陰でそれほど気温も高くないのに汗が出てくる。


俺は今、めちゃめちゃ緊張しているだろう。

おそらく師匠と訓練でやっている時以上の緊張感だ。


一歩… いや半歩のミスで死ぬだろう。

周りを見渡す。まだ魔物に動きはないが、それも今のうちだ。すぐに襲いかかって来るだろう。


眼前は魔物の集団。

後ろには護ると覚悟を決めた者。


絶対に守りきるんだ!


これ以上の犠牲者は絶対に出させない!


俺はもう、引き返せない場所に踏み入れたんだ!



自分の覚悟を再確認する。周りは魔物だらけの地獄の様な光景だ。後悔したってもう遅い。




賽は投げられたーーー





緊張し、怯えていたはずの躰から震えが消えた。意識が落ち着き始め、体が沈んでいく感覚に入る。沈む感覚と共に妙に頭がクリアになっていく。


するとさっきまで鉛のように重たく感じていた殺意や緊張感(プレッシャー)がスゥと嘘の様に消えて軽くなっていく。


周りの一匹一匹の魔物の細かな動きや筋肉の動きまではっきり確認できるし、周りから雑音が消えていく。

身体も軽い、頭もスッキリする。視野も広がったし、自分の実力を出し切れそうな気がする。




あぁ… 入ったな―――――  極限の集中状態(コンセントレーション)




躰が許容できるギリギリの範囲まで魔力を研ぎ澄ませ纏わせていく。


体調も問題ない。剣も大丈夫だ。俺の覚悟も乗った。



さぁ後は振り絞るだけだ。己の限界を―――――






生きるか死ぬか!異世界に来て初めての自分の命を賭けた戦いだ。







俺の運命を変える血泥(ちみどろ)の戦いが始まった―――――――――


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