♯1-♭1 お願いしますね♪
こんにちは。夏樹周十です。えっと、『ヴァンパイア』の時から言っていた、恋愛ものです。私が音楽好きって事で、音大生設定です。けれど…難しい。
私、まだ大学行ってる歳じゃないので音大の事が全く分かりません((笑
分かってるのは、主科と、副科があること位…。けど、それなり気にがんばります。今後の夏樹を宜しくお願いします。
ここ、不二弥音楽大学に、一人のイケメンな男と、それに恋する女がいましたとさ。ちゃんちゃん!
って、終わりにしないで!!
では、改めてもう一度。
ここ、不二弥音楽大学に、一人のイケメンな男と、それに恋する女がいましたとさ。この二人は、幼馴染でした。男は、ヴァイオリンが中心で、オーケストラメンバーでした。副科はピアノでしたと。女は、ピアノが中心だったけれど、才能があるわけじゃないと本人は思い、真面目にやってませんでした。副科は、声楽。
さてさて、そんな二人の接点は(出会い?)、同じピアノ教室でした。実際、女がピアノを始めた理由は、男が弾くところをみて、憧れたからでしたとさ。(まぁ、念入りに調べて、同じ教室を選んだんだと思いますがな。)そして、時が流れて今に至る。
女は、男を追って、この不二弥音楽大学に入学したところから、このお話が始まりますと。このお話は、何事にも負けず、がんばっていく男と、女の物語ですとな。これ以上話と、お楽しみがなくなるので、程々に…
ついでに、この物語の主人公は(基本二人ですが)男の『速美 昌哉』で、サブ(?)が、女の『木住野 理音』。
では、そろそろワシの案内も終わりじゃ。音楽と、二人のお話を楽しんでくれ。
ふぉっふぉっふぉっ…
春。またまたこの音大に新入生がやってきた。俺は、おどおどしている新入生の中をかき分けて歩いていると、いた。明るい栗毛頭の理音。
「ぁ!昌哉ぁ!…じゃなくて、速美先輩。これからたぶん三年間宜しくお願いします」
理音は、俺に頭を下げた。俺は、20(今年21)でこの理音は、19(今年20)で一つ離れ。
そういえば、こいつ。何科に入るんだろうか?
「理音。お前、何かに入るつもりなんだ?」
理音が目を気持ち悪いくらいに輝かせて俺に言う。
「理音は、速美先輩と同じ科に入りますよ♪」
「お前…馬鹿?!俺と同じ科って…ヴァイオリン弾くつもりなのかよ。第一、弾いた事ないだろ。無理無理」
そう言うと、理音は、脹れっ面になって俺の脛を思いっきり蹴り飛ばす。足がジンジンと痺れる…。
「…っおい!!お前、何すんだよ!いってぇ…」
「誰も、主科を一緒にするなんて言ってませんよーだ!先輩の副科のピアノですぅー。ついでに、理音の副科は、幼稚園の時からやってた声楽ですー。(ソプラノですー)」
痛いのを振り切って、理音に言う。
「お前、声楽の方がピアノより長いんじゃないのか?ピアノだって、プロになるわけじゃないだろ?だったら、声楽を主科にした方が…」
「何を言うんですか!確かにピアニストになる気はさらさらありませんよ!才能だってあるとは思っていないし。けど。けど…ピアノをやりたいんです」
俺は、少し感動した。いつもおちゃらけていた理音が、ピアノをまじめにやるなんて…。お前がその気なら、頑張れ。って言おうとした時、
「いつものようにおちゃらけながら☆」
と、グッドサイン。
「あれぇ〜昌哉君??もしもし〜??」
腹の立った俺は
「…理音!!お前って奴は人の期待を裏切る奴だなぁ!」
「ぇえ〜?!勝手に期待してるのは先輩じゃないですかぁ!理音は、何もしていませんし!!」
「それはそうと先輩、ピアノ指導資格持ってますよね?」
理音がいう。
「ん?あぁ。一応な。しっかり勉強してはいないから教えるの上手くはないだろうけど。けど、この大学では、教えれないさ。個人的にならできるけど」
そう言うと、理音はまた気持ち悪い輝きを放った。
「じゃぁ、昌哉先輩にお願いがありますのですよ!」
「日本語(標準語)しゃべろ」
「しゃべってますよ。で、先輩。お願いって言うのはですね、理音。先輩にこの大学でピアノ教えてほしいんですよ。その…知らない先生に教えてもらうより、知ってる人に教えてもらった方が、気楽だし、楽しいし」
「あのなぁ…そんな理由で先生を選べるわけがないだろう?第一、俺だし。」
理音は、俺の顔を見て少ししょげた。まぁ、無理もないか。理音は、小さい時から俺にべったりだったし。ピアノのレッスン中だろうとなんだろうと、俺を見かけたらすぐ飛んで来たから。まるで、動物が自分を理解してくれるものに懐くかのように。でも、その単純さと、天然っぷりが、理音の良いところなのかもしれない。理音が、俺の手を握る。
「で、速美先輩!理音を指導しちゃって下さいな☆」
俺の手がグーになって、理音に飛ぶ。
「だから言ってるだろうがぁぁぁぁぁ!!」
「どぶはぁ!!」
「…痛い…。」
「そういえば理音。お前、バッハは弾けるようになったのか?」
「…」
「さてはお前、練習してないな…」
「してません!」
「しろよ!!」
「バッハは嫌いですよ。おんなじフレーズは出てこないから、完璧に暗譜しなくちゃいけない訳ですし、理音、ノンレガートの曲大っ嫌いです」
俺は呆れて座り込む。
「…分かった。俺が個人的に教えてやる。今度の日曜、俺ん家こい。」
「本当ですか?!先輩の家に行ってもいいんですか?!」
「その曲がった根性、徹底的に鍛え直してやる」
「…え??」
理音が、バッハを嫌うっていうのは、私が嫌いだからです((笑
練習でも、ミスしまくりです。はぃ…。いっつも先生にお説教くらってます。私、ロマン派の弾き方するので…。