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マヤの神話と伝説  作者: 三坂淳一
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イサマルの偉大さ

マヤの神話と伝説


イサマルの偉大さ


 マヤ民族はユカタン半島に定住するとすぐ、神殿、砦、そしてピラミッドの建設を始めました。

 そして、周辺には民衆が住居を構えました。

 このようにして、イサマルと呼ばれるマヤの都市が出来ました。

 イサマルは海岸の近くにあり、神権政治の形態を取って統治されました。

 時が過ぎて、神官に指導されて他の都市も建設されました。

 敵の侵入を受ける恐れが前面に出て、宗教よりももっと強さを持った戦士軍の組織が必要ということになり、防衛組織が作られました。

 同時に、都市の民衆は数学及び天文の深い知識を持っていた神官たちによって描かれた図面に基づき、記念碑の建立といった、一層困難な仕事にも取り組みました。

 マヤ文明においても、家系・血統の違いは明らかなものとされ、その神話の神々と、神々一人ひとりを讃える祭儀を示す狂信的行為も現われました。

 そのために当時は、建設によって土地を再配置するようなことも行われました。

 素晴らしい彫刻が施された神殿が建築学的に簡素な古代の建築物の場所を隠蔽しました。

 その前では民衆がひざまずく時間を厭わないような確固とした表現となって、神々が具象化した石の彫像が生まれました。

 マヤ民族の豊かさは大いなもので、都市は殆ど侵入不可能な城壁で要塞化されておりました。

 全ての都市がこのように偉大であったにもかかわらず、依然として大きな重要性を保ち続けた都市はイサマルでした。

 イサマルはマヤの人たちの衆望を集め、この上もなく崇高な都市とされ、天の恵みを一身に集めていると考えられておりました。

 このようなわけで、賢明・学識の神、サムナに捧げられたピラミッドはイツァマトゥル(天の恩寵、祭礼を受け賜わらんことを)と名付けられました。

 伝説によれば、サムナには予言能力があり、且つ離れた部落の何千人という人々がその素晴らしさの目撃証人となったとのことです。

 或る日のこと、巡礼者がそれぞれの疑問、恐れに関して相談する目的でこの大きなピラミッドまで辿り着いていた時、その場所の神官は一人の少女の目に深い悲しみを見ました。

 彼はその娘に次のようなことを尋ねました。

 「美しい娘よ、お前に何が起こったのかい?」

 その娘はその美しい建築物を前にしてひざまずいたまま、眼を伏せてこのように答えました。

 「尊い方、私の心は悲しみで泣いております。私は、慰めと憐れみを乞うと共に、神々にお願いがあってここに来ました」

 「お前のその清らかな心に隠されている苦しみとは?」

 「それは私の父を失なったことです。父は老いてはおりましたが、侵入する敵からこの地を守らなければなりませんでした」

 と、その美しい娘は答えました。

 その神官はその娘に死んだばかりの父の遺骸をこのピラミッドまで持ってくることを命じました。

 その娘は疑わず、家に帰り、父の遺体を運んで来ました。

 そして、再びピラミッドの正面に来た時、その神官は近づき、その死んだ老人の額に触れました。

 すると、伝説によれば、その死んだ老人は直ちに立ち上がったということです。

 その時から、イサマルという都市は未来を予言する奇跡によって有名で喧伝されたばかりではなく、人を健康にし、果ては死人まで甦らせる力を持っているということで一層有名になり、喧伝されたということです。

 その神官は神々の子と考えられ、海岸、港、山そしてその他の場所の名前を選ぶ人とされました。

 この振る舞いによって、民衆はついに神官を殆ど神としての役割を果たす者として認めました。

 そして、そのことにより、神聖政治時代が継続したことと偉大な領土が全土に広がったことを説明することが出来ます。

 このようなわけで、最高神官はついに王と見なされ、サムナ神の名が与えられ、褒め称えられるに値する神の生きた化身と見られたのであります。



- 完 -


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