表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Focus -鏡の道化師-【後編】  作者: 関 凛星
◆この後の話
11/11

この後の話・Ⅲ

ネタバレ注意。これで最後です。

「この後の話・Ⅱ」まで





リリーとは、“彼”の双子の片割れである。

ここからは“彼”が記憶を失うまでの話になる。

“彼”の名は一貫して伏字で“××××”と表記される。



二人(リリーと“彼”)とその両親は

非常に仲の良い、裕福な家族だった。

“彼”がリリーに花冠を作ってあげると、

リリーはいつも大いに喜んだ。

→前24、花畑で“彼”が無意識に作ったもの


両親は駆け落ち婚で、母親は白百合家出身。

長らく平和な日々が続いたが、

それは突如として終わりを告げる



この母親の居場所を押さえた追っ手が

突然押し掛けてきて家を襲撃、父親を殺し、

“彼”(このとき8歳)を拉致していく

当時、白百合家には子世代に男子がいなかった。


↓(要するに双子の物語でよくある“生き別れ”)


母親とリリーも実家に呼び出され、

(駆け落ち時の相手とは破談になったので)

また別の相手と結婚させられることとなる。


母親の新たな相手は比較的感じのいい人だったが

リリーは“彼”に会えないことで悲しみを募らせる。

情緒が不安定になったせいか、“術”で抑えていた

彼女の“病気”が頻繁に現れるようになる。


↓(“病気”とは)


結論から言うと“二重人格”である。

リリーはかなり小さい頃(2~3歳頃)に占い師から

“貴女の中に二つの魂が宿っている”と宣告される。

比較的簡単な“術”で眠らせておくことができ、

“彼”の前以外では基本的に抑えていた


太陽のように明るくハキハキしたリリーに対し、

“彼女”は月のように寡黙でおとなしい性格だった。

二重人格とはいえ、

“彼女”がリリーと入れ替わることはまずなく、

あくまで心の中でリリーに語りかけるのみ。

その気になれば入れ替われるようだが…。


しかし、リリーが“彼女”と会話するには

声に出さなければならず、

周りから見ればそれは独り言ばかりになるため

普段は眠らせている、というわけである。

なお、“彼”は“彼女”のことも受け入れていた。


↓(まぁだいたい分かったところで)


そんなリリーと“彼”は年に一度、

誕生日の日だけ会うことが許された。

それぞれの家が離れているため、

厳密には二泊三日(前日から来る)。

それは二人にとってこの上ない希望の日だった。


しかし、12歳の誕生日を控えた前日の夕方、

“彼”の様子が明らかにおかしかった。

リリーが話しかけても大して反応せず、

背中を向けてばかりだった。

屋敷の一室で二人きり、

リリーは“彼”に話しかけ続けた。


すると突然、顔色を変えた“彼”が振り向き

別人のような形相でリリーを睨みつけ、

壁に追い詰めて右手を振り上げた。

その手に握られていた刃はただの刃ではなく、

一家の中でも選ばれた者だけが持ち合わせる

秘術によるものだった。


しかし片割れのリリーには

それを制御するための能力があった。

その力を発動させた瞬間、“彼”の手にあった刃は

バラバラに砕け、消え去った。

同時に正気に戻った“彼”は大粒の涙を流し、

リリーを残して何も言わずに部屋を後にする。


↓(そしてその夜。全体的に前8も参照)


夕食後“彼”を見かけなかったリリーは心配になり、

しばらく寝ていたが ふと目が覚め、

“彼”の部屋を訪れる。するとそこには……


首元を切って倒れている“彼”がいた。

その手には例の刃が握られており、

血がベットリとついていた。→前8、24。首の傷痕


リリーが追いすがって泣きじゃくり、それによって

他の家族にも発見される。自殺だと考えられた。

しかし、“彼女”は伯父(リリーの母親の兄で当主)の

冷めた瞳から、伯父が深く関わっていると見る。

実際、伯父はリリーと“彼”を引き裂いた

張本人であった。



葬儀は翌朝から行われ、

“彼”の遺体はとっとと埋められてしまった。

まるで初めから何もかも用意されていたかのようで

“彼女”だけでなくリリーも疑念をもつ。


まず、“彼女”が自殺でないと見た理由として

死んだ“彼”を発見したとき

・周りに血がほとんど飛び散っていなかった

・服が多少乱れていた

・はだけて露出した腕や脚からアザが見えた


“彼女”は入れ替わらない限り

リリーの目に映るものしか見えないが、

その範囲内で、リリーとは異なる“焦点”で

物を見ることができる。


↓(その夜、誕生会は静かに行われた)


真夜中になって、リリーはまた目を覚ました。

一階に降りると誰もおらず、しばらく徘徊する。

するとある場所で物音が聞こえ、そちらに近づくと

隠し扉が開き、階段が地下へと続いていた。


嫌な予感がして、リリーは階段を降りて

地下室の扉を開ける。


↓(すると)


伯父の手で両親が殺されていた。

伯父はリリーに、“彼”も殺したと告白する。


それは厳しいしつけでも嫌悪からでもなく、

異常な性的倒錯によるものだった。

幻聴で“彼”の断末魔の叫び声が聞こえ、

それがリリーの殺る気スイッチを入れる。


激昂したリリーは伯父からナイフを奪い取り

原型を留めないほどに切りつける。

リリーは狂ったように笑いながら、

屋敷を飛び出して雨の中を駆け抜けた。


↓(“ように”というか本当に気が触れたのかも)


墓場にて、“彼”が埋められた場所にひざまずき、

やっとリリーも正気に戻った(…のか?)。

いわゆる100倍返し(物理)を果たしたため

当然ながら血まみれになっていた


全てを失い絶望したリリーは、

ナイフの刃先を自分に向けた。

“彼女”も止めなかった


↓(そこに)


「やあ、白百合のお嬢さん」背後から見知らぬ声


↓(この日は1595年6月6日。→後3)


もはや怨霊と化したレイモンド登場。

亡霊は強く念じれば、子供の前になら姿を現せる。

リリーとは初対面だが、金髪碧眼という容姿と

その雰囲気から白百合家の人間だと分かる。


レイモンドは大きな魔術ではただ一つ、

蘇生術の方法を覚えていた。→後2

でも試したことがなかった(当たり前だが)。


なので、一連の事情を話したリリーに、

“彼”を蘇らせてあげるから

復讐に協力してくれないか、と持ちかける。

リリーは即答でOKする。

“彼女”はレイモンドに会ってからは沈黙している



気配を消す魔術により屋敷に潜入、服を着替え、

地下のある場所から“碧の秘薬”を持ち出して

二人はロブが眠る部屋の前まで来る。

このときロブは風邪をこじらせて寝込んでおり、

この手でとどめを刺そうという作戦だった。


亡霊のレイモンドは壁をすり抜けられるため、

死んでから二年で地下の構造を完璧に覚えていた。

よって、あらゆる場所を最短ルートで導けた


→部屋の前に至るまでに、

当主とエイミーの会話が聞こえてくる。

前12、ロブが耳を塞いだ幻聴

→これに加え、会話の中で“シャノン”という人物が

ロブと関連づけられている。

なお、シャノンというのは苗字。


↓(が、とんでもないハプニング発生)


気付かれぬようにドアを開けると、

やけに静かだった。

レイモンドが小さめの火で周りを灯すと…


ロブは血を吐いて、ベッドから転がり落ちていた。

発作を起こして、息絶えたばかりだった。

→所詮は病弱なレイモンドの身体である。


それがかつての自分の惨めな姿と重なり、

レイモンドは目を背けようとした。が…

ロブの目から流れていた一筋の涙に気づく



根拠はないけどレイモンドは確信した。

“こいつは殺人鬼ではない”

その瞬間、復讐を企てたことを後悔した。


しかしまだ実行していない。まだ間に合う。

リリーに計画中止を伝えようとしたが


↓も う 手 遅 れ だ っ た


“復讐したら片割れが戻ってくる”と言われ

そればかりで舞い上がっていたリリーは、

レイモンドに見向きもせずロブに薬を流し込んだ。

このとき“彼女”も、やめるように言っていたが…。


このとき、リリーを阻止しようと

レイモンドが後ろから抱きついた。

彼はまともに前が見れないほど泣いていた。


亡霊は強く念じれば、子供になら干渉できる。


薬は速効性だが、すぐには何も起こらなかった。

しかし…


↓(前28、ロブが子供に語った思い出)


あろうことか、ロブは息を吹き返した。

リリーと目が合い、見知らぬ相手に驚くが

自分が一度死に、生き返ったことを悟り

リリーを命の恩人だと思い感謝を述べる。

開いた口が塞がらないレイモンドは

早く引き上げようとリリーに働きかけ、

リリーは慌てて退散する。


↓(そして再び墓場へ)


リリーは土に指で“彼”の名前と誕生日、

そして墓場からクレメンス家の屋敷への経路を

書いた(なぜ経路まで書いたかは不明)。

これを、術を準備中のレイモンドは見ていない。

ちなみに“名前”は、後に雨で流されて消える。


蘇生術は、実行者と“仲介者”によって成立する。

この場合生きているリリーが実行者だが、

実行者は代償として魂が消滅する。

リリーにとっては、“彼”が生き返るのなら

そんなこと どうでも良かった。


仲介者となるレイモンドは何も失わないが、

先程のことがあり本当は術を使いたくなかった。

しかしリリーが早く生き返らせろと

ヒステリックに詰め寄るので断れなかった。

リリーはもはや“彼女”の諫める声も聞いてない。


レイモンドの示した通りに、

リリーは呪文を唱えた。



リリーと“彼女”は、全く別々の魂である。

蘇生術で消えるのは、この場合は一つの魂だけ。

(身体の腐敗が進むほど犠牲が増える)


↓(以下、精神世界的な)


“彼”は不本意な死に方こそしたものの、

生き返りたいとは特に思っていなかった。

今はただ流れに身を任せよう、

そんなときに蘇生術を使われたのだ。


“彼”は最後の力を解き放ち、

リリーを制することで術の失敗を誘おうと試みた。

しかし、半ば気の触れたリリーの想い(執着)と

レイモンドの力を借りた 術の強大な力の前には

未練の薄い魂は無力だった。それどころか、

その力が術に取り込まれ成功を導いてしまった。


“彼”の魂は身体に舞い戻り、

それを見送ったリリーの魂は砕け散った。

“彼女”はそれらを眺めることしかできなかった



リリーのいた場所に“彼”が横たわり、

“彼”の眠っていた棺桶にリリーが収まった。

→前15、棺桶が発掘され、

 推測ではあるもののリリーだと見なされる。

 その後 そこには墓標が立つが、

 そこに刻まれた没年は発見された年である。


残された“彼女”の魂は、レイモンドと顔を合わす。

“彼”の姿を確認すると、二人はその場を去った。

以後、現在に至るまで行動を共にしている。

→後3、最後の一文より




そして、前編第1話から物語が始まる。

日付が7日に変わった夜明けに、“彼”は目覚めた。


蘇生術は生き返った者からも様々なものを奪う。

共通のこととして、自身の記憶全てが失われ、

他人の記憶からも存在が完全に消されてしまう。

他にも“何か”が幾つか失われる。“彼”の場合、

・秘術はもちろん、魔力全般を使うための本能

・己の美貌を知るすべ(=鏡に姿が映らなくなった)


何が失われるかは術が成功するまで分からないが、

リリーはこのことも承知の上で術を使った。




この“彼”はハル、“彼女”はセーベルという名で

後に主従の関係で“再会”することとなる。

セーベル曰く、人柄は全然変わっていないらしい。


彼女はリリーの中にいた頃から、彼に対して

恋心に近い感情をほんのり持っている。

これが続編の彼女の設定に深く影響してきたり。

でもあくまで、優先順位一位はリーゼルである。




↓(そして200年後。ここからすごく曖昧な構想)




三兄妹は長年の尽力の末、

屋敷跡の亡霊を全員成仏させ、

誰でも呪われることなく入れるようにした。


↓(しかし…)


今回のフィオナの駆け落ち作戦の数ヶ月前

(このとき駆け落ちの計画は始まっている)、

三兄妹は突然姿を消した。

また、研究資料と薬品が全てなくなっていた。

(屋敷跡の近くに何かを燃やした痕が残っている)


人間として生まれてから200年近く。

彼らは開き直り、人間であることを辞めたのだ。

最低限の資料と薬品、そして例の骨を持って

どこかへと旅立っていった。


三人の理由や目的は分からない

(実はまだ構想してない)が、

リーゼルやセーベルじゃないと知り得ないことや

もしかすると二人も知らないような真実を

掴んだのかもしれない。


少なくとも、開き直った“化け物”の彼らは

今までできなかったことができるようになっている

(年が止まった時点でできるようになっていたが

今まで気づかなかった)ため、

(現時点の構想では)何があってもおかしくない。



なお、リーゼルはこれまでの話のどこかで

自身の死体(骨)の存在に気づいている。

三人がそれに何かしら執着しているのにも

うっすら気づいていたので、

その死体を使って何か良からぬことを

しでかすのではないかと真っ先に考えた。


→下界をさまよう魂しか取り込めないので、

“蘇らせること”目的の蘇生術は不可能。しかし

術で莫大なエネルギーを発生させることができる


もはやその身体が自分のものかロブのものかは

置いといて、いずれにせよ土に還すべきである。

200年前の自身や親の過ちもあり、

自分の身体に手がつけられることは許せなかった。


なお、フィオナはロイド家の令嬢、

その彼はエイリー家の御曹司である。

リーゼルとセーベルもある意味開き直り、

この二人を利用した側面がある。

主従の指輪を託したのもこのためである。


リーゼルは墓前で座りこむセーベルに傘をかざす。

背中が濡れ、シャツ越しに傷痕が透ける。→後2

墓に花を添え、二人はフィオナたちの後を追った。




↓(小説ではここまでで終わり。以下、続編)




二人はこの夫婦の間に生まれた娘の従者となり、

他のいろいろな物事が交錯しながらも

三兄妹の計画を阻止するべく立ち上がる。

この娘は奇跡にも、二人が待ち望んだ

白百合家の“秘術”を受け継ぐ者だった。

ここでセーベルが“秘術”の指南役となる。


一方、リーゼルは三兄妹の不老不死の仕組みと

それを解く方法について薄々気づいているが、

その手段だけは絶対に使いたくないので

どうにか別の方法はないかと探し始める。




(2016.3.28 暫定)

…お疲れさまでした。


これが構想のほぼ全てです。

正しくは“作品として表面に現れる部分”のみで

裏に潜んでいる真実や設定は省いています。

よければ考えてみてくださいな。




続編と書いてますが……

こちらは最初から小説にはしないつもりで、

別の媒体を想定して構想しておりました。

しかしこれも今のままだと頓挫しそうです。


奇跡が起きたら戻ってきます。

駄目だったらそのままです。


では、今までありがとうございましたm(._.)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ