表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Focus -鏡の道化師-【後編】  作者: 関 凛星
今までのあらすじ【必読】
1/11

前編「Chain」要約

(つい)なる悲劇が起こした奇跡。」

「それは絆か、足枷(あしかせ)か。」


・前編「Chain」全28話(n7297dh)の大筋です。

 話の流れを重視して書いたものなので、

 これ単体では重要な伏線がいくつか欠けています。


・伏線はさておき手っ取り早く導入したい方は、

 最低でもこの要約と「残り香(前14)」を読めば

 なんとなく流れが(つか)めると思います。


・専門用語やキャラの抱える問題に関しては、

 部分的に取り上げて補完(ほかん)してあります。

 前編を既に読んだ方も目を通して頂ければと。

★第一章「乾いた花瓶」


 1595年6月7日の早朝、どしゃ降りの雨が降る墓場で、少年は目を覚ます。自分が記憶喪失だと気付いた少年は、地面に描かれていた道しるべを頼りにして、雨をしのぐ宿を探す。


 そして辿(たど)り着いたのが、クレメンス(Clemens)侯爵家(こうしゃくけ)の屋敷だった。その美貌(びぼう)と才知から当主アルフレッド(Alfred)に気に入られた少年は、“ハル(Hal)”という呼び名を(さず)けられた。“養子”として迎え入れられ、当主の長男であるロブ(Rob)(=Robert)と顔を合わせる。(とし)が近い二人はすぐに打ち解けた。ハルはロブから、この世には魔力を持つ者と持たない者がいて、クレメンス家はその“持つ者”一族であること、そして、「“持つ者”だけが行ける天国がある」という迷信を教えてもらう。




◆ロブの悩み

 ロブは自身に対する両親(実父と継母)の無関心に悩んでおり、継母の息子であるアイザック(Isaac)の一方に愛情が向けられることを不満に感じていた。しかも自身の見た目が 数年前に殺されたこの街の“殺人鬼”と(うり)二つで、それが人から(うと)まれる大きな原因にもなっていた。


 また、ロブも幼少期の記憶を失っている。これを共通点として見出(みいだ)し、また自分自身の居場所を求めて、ハルと仲良くなった。




***




★第二章「邂逅(かいこう)と決別」


 当主から外出の許可を貰ったロブとハルは、ある日、街の中で貴族の少女ソフィア(Sophia)キャロル(Carol)に出逢う。ロブは彼女に一目惚(ひとめぼ)れし、またソフィアも彼に対して心を開き、何度か会ううちに二人は恋人のようになった。




◆ソフィアの悩み

 しかし実は、ソフィアの母親は“殺人鬼”を殺した張本人で、下級階層の娼婦(しょうふ)である。その功績を(たた)えられて、母娘でキャロル家に(半ば脅されて)引き取られた。しかし、母親は好色(こうしょく)な主人から都合良く扱われ、ソフィアも勝手に婚約者を決められて、うんざりしていた。




 ソフィアと口付けを交わすほど仲(むつ)まじくなった頃、ロブはハルとともに、当主に呼び出される。ソフィアとの仲がバレたのではなく、連れてこられたのは……屋敷から秘密の通路を渡って来ることができる、隠された地下牢獄だった。そこには、みすぼらしい――あるいは変わり果てた子供が一人ずつ閉じ込められていた。当主は冷たい視線を投げかけて、「彼ら(の亡霊)を使って“道化鏡(どうけかがみ)”たるものを作り、安価で取引している」と言う。当主は二人の目の前で、彼らを虐待した。




◆亡霊? 道化鏡??

 強い負の感情を抱いて生を終えた魂は、“亡霊(Ghost)”としてこの世に残る。特に子供は大人より心が純粋な分、恵まれなかった者は亡霊として残りやすい。


◆そういうわけで

 “(Glass)(Puppet)”とは、そんな子供の亡霊を人造の身体に閉じ込めた存在で、魔力をエネルギーとする。その魔力は自己生成できないので、“(あるじ)”――すなわち、魔力を持つ者の存在が欠かせない。指輪などの装飾品(ここでは“(Chain)”と呼ばれる)を用いて“契約(Chain)”すると、その道化鏡は主の所有物になる。道化鏡は自由に姿を変えることができるが、大抵は主の方が望んだ姿を取らせる。主の魔力だけが命を繋ぐ全てなので、逆に契約を切られない限りは、どれだけ(むご)く扱われても弱ったり死んだりしない(できない)。


 “素材”とされる魂は主に、学識のない貧困層の孤児など(従わせやすいから)。五割は生前の記憶を失う。ほとんどの道化鏡が、奴隷のような扱い・(はずかし)めを受けている。




 この有り様を目にして、また、ソフィアが婚約者のことを良く思っていないと察した二人は、駆け落ちをして(ハルは駆け落ちを手伝って)家を出て行くことを決意する。ソフィアとも打ち合わせをして、実行する。




***




★第三章「星々に照らされた十字架」


 追っ手は来なかった。逃げた先の田舎町で、ハルも婿(むこ)養子という形でその地域を治めるエイリー(Ailey)家の令嬢と結婚する。ロブにもハルにもやがて子供が生まれ、家族同士で交流を深めるなどして充実した日々が続いたが、双方の末子――ロブのところの三人目、ハルのところの二人目が生まれる数か月前に、ハルは結核で亡くなる。さらにその四年後、ソフィアも流行り風邪で命を落とす。


 心の支えとなっていた二人の死を前に、ロブは悲しみに暮れる。それでも残された三人の子供を心から愛し、男手一つで大切に育てた。長男ジョー(Joe)(=Joseph)は彫刻家に、次男ビリー(Billy)(=William)は薬学の道へ、末っ子のベル(Belle)(=Isabelle)は貴族の家に嫁いだ。ジョーの結婚が間近になったとき、ロブはジョーからある指摘を受ける。


 さかのぼって、ハルが死んだ一か月後、ロブは24歳の誕生日に、原因不明の酷い頭痛に襲われた。実はそのときから、ロブは身体の老化が止まっていたのだ。ジョーは“気にしない”と言うものの、周りからの目を気にしたロブは泣く泣く町を出て行く。




 目立たないようにしながら旅を続け、自分が生まれ育ったあの街にたまたま滞在しているときに、クレメンス家の屋敷が、ロブの従弟(いとこ)であるルイス(Louis)によって襲撃され、燃やされた。これによって、ロブの父親一家の全員が犠牲になった。




◆親世代の軋轢(あつれき)

 ルイスの父親とロブの父親はそれぞれ兄と弟だったが、かつて家督(かとく)を巡って熾烈(しれつ)な争いを繰り広げていた。成果主義のこの家で勝ちを制したのは弟の方だったが、兄はそれを憎み、分家として独立してからも弟から権力を奪おうと、ありとあらゆる手を尽くした。その過程で、以前にも同様の襲撃事件を起こしているが、そのときは失敗に終わったので、今回は息子であるルイスがリベンジに出たものと考えられる。




 父親を失い、かすかな悲しみを感じたロブだったが、ルイスによってなぜか指名手配され、さらに追い立てられることとなる。それから数年後、有名な研究機関に所属していた“神童(しんどう)”ビリーが、ルイスと“共同研究”をすることが新聞で取り上げられていた。これを見て“ビリーの命が危ない”と(かん)づいたロブは、ルイスの屋敷へと急ぐ。


 ロブが駆けつけると、ビリーだけでなくジョーも(とら)われの身となり、ともに傷だらけになっていた。ルイスはロブが来ると同時に二人を解放するが、息子たちをかばったロブは“被験者(ひけんしゃ)”として、ルイスに腹を(えぐ)られて死んだ。死ぬ間際、ロブはルイスから“お前は人間ではなく、その身体もお前のものではない”、“クレメンス家の最高傑作だ”、“お前は、レイモンド(Raymond)(殺人鬼に殺された、ロブの父親の長男)の代わりだ”などと告げられる。




***




★第四章「箱庭の中で眠る」


 ハルが目を覚ますと、そこは大きな屋敷だった。そして、ここが“楽園(Elysium)”――かつてロブが教えてくれた、魔力を持つ者だけが来ることができる天国だと悟る。ハルは深い森に囲まれたその場所で一人、書斎の本を読んだり、花を摘んだりしながら、孤独をもて余す。


 そんなある日、ハルは玄関にて、衰弱した少年少女が倒れているのを見つける。彼らが道化鏡だと分かったハルは、指輪を用いて彼らと至急“契約”を結ぶ。やがて元気になった二人に、ハルは“名前も姿も自由に決めていい”と言う。二人は(うるわ)しい双子の姿を取り、少年は“リーゼル(Liezel)”、少女は“セーベル(Sabel)”と名乗った。やがてハルは彼らと打ち解け、三人で穏やかな生活を送る。




 時は過ぎて、そんなハルに一通の手紙が届く。差出人は、ロブだった。ロブはソフィアと思いがけない再会を果たし、それから再び夫婦で暮らしていた。ハルの居場所を突き止めたロブは、“皆で一緒に暮らさないか”とハルに提案するために手紙を出した。ハルは“兄夫婦”が来てもいいかリーゼルとセーベルに(たず)ね、合意を得た上でロブたちを迎え入れた。


 しかし、合意したにも関わらず、リーゼルはロブに対して非常に冷たい態度を取り、その()げ句、家を出て行ってしまう。ハルたちは手分けして、リーゼルを探しに行く。




 一方、家出したリーゼルは、とある場所で“自分の唯一の存在証明”である絵画にすがりつく。




***




幕間(まくあい)「FULL MOON」


 深夜、どしゃ降りの雨の中、娘は恋人と待ち合わせた場所へと駆けていく。鍵を用いてそこに入ったものの、かなり早い時間に来てしまった。そんな娘の前に、不思議な少年少女が現れる。二人は“昔話”をしながら、娘と“探検”をする。


 “昔話”は200年前、ある少年がここにあった屋敷に迷い込んだことから始まる。

前編までのあらすじは以上です。

興味を持ってくれた方がいれば幸いです。


後編は毎週月曜日に1話ずつ連載。

どうぞよろしくお願いしますm(._.)m


前編 Nコード:n7297dh

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ