5話 二人の門番、取り乱す
ウィルを捕まえる為に、城内にトロールが戻ったとき既にウィルの姿は無かった。子ども故の小さのために目に入らなかっただけだろうと楽観視したトロール。だがそれも初めのうちだけであった。周囲を何度も見渡し、辺りを捜索しても見つからない。
闇雲に探し始めたが時ばかり過ぎるのみ。焦りがトロールを支配する。
しばらく探し回っていた頃、交代でやってきたもう一人の門番であるサイクロプスが何やら慌てた様子のトロールを見かけて背後から声をかけた。
「おい、お前ここで何をしてるんだ。交代の前に持ち場を離れたら魔王様に叱られるぞ」
慌てているトロールは一瞬魔王に侵入者を入れてしまったことがバレたと思い体を硬直させたが声の方向を見てそれが同じ門番で馴染みのある顔だとわかりホッと胸を撫で下ろした。
そして、自分一人よりも二人で探した方がまだ良いと思い自分が今ここにいる訳を話した。
白に近い銀髪、目は人間には珍しく赤色、子供の男
と子どもの特徴を聞き、その者が城に侵入してまだ捕まえきれてないことを相方のトロールから聞きサイクロプスも額に冷や汗が滲んだ。
「~~~っっなにやってんだ!!とっと捕まるぞ!!このままじゃ魔王様に俺らまで殺されるら!!」
「・・あ、あぁ。とにかく忙しいで見つけ出す・・!協力してくれ!」
廊下はもちろん。小部屋まだ目を通し、まずは1Fを探す。見つからない場合はその都度階層をあげていくといった基本方針を決めたあと俺は東側を探すと、最後にサイクロプスが言った。そして西側はトロールが探すことになった。
二人は必ず見つけるぞといった覚悟の眼でお互いを一瞥しそれぞれの場所へ移動していった。