4話 門番は教えてくれた
メタルスライムを見失ったウィルは城の壁沿いをのんびりと歩いている。しばらく歩くと、視界に木製大きな門を捉えた。あそこから中に入れると思うと歩みはいっそう速くなった。
正面にくると門の前に緑色の肌に皮の服を着たずんぐりむっくりとした体型のトロールと呼ばれる魔物が大きなこん棒を片手に門番をしている。
実はこのトロール、魔王城の門番を任されるほどの歴戦の戦士である。しかし、魔王城故に訪れる者は当然と言えば当然だが皆無と言っていい。
今日もきっと誰もこないだろうと思っていたそんなある日。
門番である自分に見向きもせずに門を開けようと横を通り過ぎるウィルに気づき慌てて呼び止める。
「おい、そこのガキ。他の魔族に絡まれる前にさっさと家に帰れ。」
声をかけられたウィルはようやくトロールの方を向き、返事を返す。
「僕はこのお城の中も見てみたいしまだ帰らないよ?」
「言っておくが、この城は魔王城だ。ガキが来て面白いものなんか多分ないぞ。むしろ魔物や魔族がたくさん住んでいるから危険だ。悪いことは言わねぇからとっと帰れ。」
「へー。たくさん住んでるんだ 見てみたいなぁ。」
魔物にしては至極真っ当なことを言うこの門番だが、どうやらウィルにはこの城に入ることの危険性が伝わらなかったようである。
(は? 見てみたい??)
一瞬、門番が予想外の返答に対し呆気にとられた。
この隙にウィルは既に横を通り過ぎ、重たいはずの門も軽々と押し開け中に入ろうとする。
すぐに我に返った門番は焦って後ろを振り向き捕まえようとしたがウィルの動きが思いの外早く門の中へ逃げられてしまった。
(まずい・・!子供とはいえ侵入者には変わりない、早く捕まえないと魔王様に知られてしまうっ!。そうなったら俺もあの子供もボコボコだ・・。─────いや、最悪・・)
「─────殺させれちまうッッ!!!」