95.ついに、獣人の領地へ!
はい、続きです!!
ようやく、獣人の領地へ着いたホタル達。帝国側と同じような国境があったが、空を飛べるようになったホタルには進行を止める壁にはならない。近くに気配がない場所を選び、2人を抱えて、翼を羽ばたいて、国境を越えたらーーーー
「む、ジャングルみたいな場所だな?」
エルフの領地にある森とは違う雰囲気がある森だった。地球にいた頃で言えば、アマゾンのような感じだった。
「そうですね。奥に進めば、暑くなりそうな予感がします」
「向こうの森と違うねー?」
魔力が宿った森があったエルフの領地と違って、ここは魔力が宿ってない木々ばかりだった。おそらく、精霊が少ないのも理由になるだろう。
「まぁ、いい。獣人の領地は人間が全くいないと聞いているが、やはり昔の事に起因しているのか?」
「はい。昔は、獣人のことを人間やエルフみたいに人族には分類されていませんでした。奴隷、獣とかそう言った存在として扱っていましたね」
「ふむ、獣人に王が生まれてから変わったんだっけ?」
「そうですね。今、その王はもう生きていませんが、その子孫が受け継いで、獣人を守っていると聞いています」
その王が奴隷扱いをする同胞を助けるために、人間へ挑んだのだ。獣人は身体能力が他の種族よりも高く、スキルを上手く使う人間とも互角に戦い、お互いに不干渉の協定を結ぶことに成功したという歴史が残っている。今の時代では、お互いはすぐ戦争に発展するまでの敵対はしてないが、何かキッカケがあれば、すぐに戦争は起きるだろう。
それぐらいに、人間と獣人は仲が悪い。因みに、エルフは獣人にそれ程に興味を持たず、人間の様に悪い扱いをしておらず、悪いイメージを持たれてはいない。
「あと、人間嫌いの獣人が多いので、街に行くなら気を付けた方が良いかもしれません」
「まぁ、エルメスだけはエルフだが、俺達は魔人でも見た目が人間にしか見えないしな」
ホタルは右手の掌に黒い珠が埋め込まれている以外は、人間にしか見えないし。ベルちゃんのように観察眼を持っていない限りは、ホタルが魔人だと見破るのは難しいだろう。
「んー、特に街へ行って、何かしたいでもないしなー。どんな街なのか、見れたら充分だしな」
「今回は街の中に入らず、遠目から確認するだけですか?」
「そうだね、争う気はないのに、襲われたら面倒じゃん? 獣人は仲間意識が高そうだから、殺したら確実に追っ手はあるのは予測出来る」
奴隷にされた同胞を助けるために、人間の街へ攻めて、戦争を起こすような奴らなのだから、仲間意識は他の種族よりも一段と高いだろう。
「さて、先に進もうか…………いきなりかよ」
ホタルは常に、半径500メートル程度の『真・空間認識』を発動しているのだが、明らかにこっちへ向かってくる魔物の群れがあった。ホタル達はその魔物の風上にいたから、おそらく臭いを辿っているのだろう。
隠れたり逃げる理由もないので、ここで魔物が来るまで待ち構えるのだった。そして、現れた魔物は狼の魔物で、6体が同時に現れた。
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ジュレクウルフ
Lv19
HP:396/396
MP:148/148
SP:485/485
物攻 201
物守 106
魔攻 189
魔守 108
速度 403
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ステータスはロアゴート程ではないが、速度が突き抜けて高い。それが6体もいて、他のジュレクウルフも確認してみたが、群れのリーダーっぽい奴はいなかった。
つまり、これでも全員が下っ端ということだ。
「ここは私とエルメスにお任せを」
「んー、そうだな。リーダーも出てきていないし、温存も必要か。任せたぞ」
「はい!」
ホタルの黒死点なら一体ずつ囲んでやれば、問題もなく倒せるが、それだと時間が掛かりすぎるし、MPとSPの消費が凄さまじいだろう。
消耗した所に、こいつらのリーダーが現れたら、苦戦するのは間違いないだろう。
だから、温存の意味で2人へ任せることに決めるのだった。
アルエルとエルメスはどれくらい強くなっているのか?
これが、2人のステータスだ。
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人造人間
Lv9(8UP↑)
HP:171/171(80UP↑)
MP:741/741(323UP↑)
SP:164/164(80UP↑)
物攻 71(40UP↑)
物守 105(80UP↑)
魔攻 585(400UP↑)
魔守 341(240UP↑)
速度 298(240UP↑)
スキル
〈上級〉
『超聴覚機』
〈中級〉
『昇華』、『心導珠』、『魔量臓器Lv3』(2UP↑)(+300)
〈下級〉
『危険察知Lv7』(1UP↑)、『気配操作Lv6』(3UP↑)、『火魔法Lv6』(2UP↑)、『風魔法Lv5』(1UP↑)、『土魔法Lv5』(2UP↑)、『煉爆Lv3』(2UP↑)、『魔力操作Lv8』、『MP上昇(小)Lv6』(3UP↑)、『MP消費軽減Lv4』(2UP↑)、『魔力感知Lv8』(2UP↑)、『痛覚耐性Lv4』(1UP↑)
称号
『大犯罪者の妹』、『大魔術師の素質』、『心を持つ人造人間』、『森主の撃退者』
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人造妖精
Lv8(7UP↑)
HP 306/306(160UP↑)
MP 545/545(350UP↑)
SP 322/322(210UP↑)
物攻 287(140UP↑)
物防 202(70UP↑)
魔攻 566(210UP↑)
魔防 241(70UP↑)
俊敏 336(140UP↑)
スキル
〈上級〉
『不老不死』、『状態異常無効』、『絶対四之法』
〈中級〉
『旋風魔法Lv6』、『暗黒魔法Lv4』(1UP↑)、『煉闘気Lv8』、『魔力変換』、『旋風強化Lv5』、『暗黒強化Lv2』、『血流操作Lv7』、『魔口砲』
〈下級〉
『解析Lv1』、『魔力感知Lv8』、『魔力操作Lv8』、『衝撃耐性Lv2』、『風耐性Lv7』(1UP↑)、『闇耐性Lv5』、『痛覚耐性Lv6』(2UP↑)、『MP消費軽減Lv8』、『HP自己回復Lv5』(1UP↑)
称号
『不朽の不死者』、『国堕とし』、『人間の殺戮者』、『エルフの殺戮者』、『魔物の殺戮者』、『獣人の敵』、『魔人の敵』、『異常者』、『心を持つ人造人間』、『森主の撃退者』
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2人も、これだけ強化されているのだから、数が多くてもジュレクウルフごときにやられることはないだろう。
ステータスを見ればわかると思うが、エルメスはホタルの『魔機契約』により、人造妖精と呼ばれるサイバー系の魔人となっている。外見は、アルエルの耳みたいに変わった所はないように見えるが、左手が内部では肘までが機械化しているのだ。『魔機契約』をした際に、手に入れたスキルが2つあり、『魔口砲』と『絶対四之法』だ。前者は前の戦いでわかっているが、上級スキルである『絶対四之法』はスキル名からどんなスキルなのか、わからないだろう。
あのスキルはすこーしはチートだよなぁ。なんで、『魔機契約』で生まれたかわからんが、上級の中でもチートだよ。アレは…………
ホタルがチートだと言わせる程のスキル、『絶対四之法』。そのスキルの能力はーーーー戦いが始まり、すぐわかることになった。
「グルォォォォォ!!」
エルメスの近くにいたジュレクウルフが『咆哮』を使ってきた。その威力は、この前に戦ったベアーズが使うLv1の咆哮よりも強いLv4だ。
だが、強い咆哮を使っても無駄だとホタルは知っている。それどころか、ジュレクウルフ達は運が悪いなぁと思うのだった。
咆哮をまともに喰らうエルメスだったが…………何も無かったというように立っていた。全く無傷だったことに驚愕するジュレクウルフ達だったが、それは仕方がないと思えた。
新しく手に入れた、『絶対四之法』があるのだから。その『絶対四之法』の効果とはーーーー
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絶対四之法
全てのスキルで、『4』の数字が含まれる能力に対して、絶対的な優位に立つ。
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始め、説明文を読んだ時はすぐに理解出来なかったが、色々と試していくうちに、だんだんと理解していくようになった。その能力はチートに近いバグなスキルだと…………
まず、『絶対四之法』の能力のキモとなっているのは、『4』と言う数字。『4』に対して、絶対的な優位に立つと言う意味は、レベル4のスキルや魔法が全く効かなくなるのだ。
実際に、アルエルの火魔法、レベル4の『火炎華』をぶつけても、エルメスは何もしない内に消え去ったのだ。魔力も煉気も使わずに、消耗した物は全くない。つまり、リスクなく常に発動しているようなモノだった。
今みたいに『咆哮』もレベル4だったことから、解析済みであるエルメスは避ける素振りを見せなかった。
まさに、『4』に対しては無敵でいられるスキル。だが、デメリットも僅かはあった。
それは、仲間からのレベル4の支援も受けられないことだ。例えば、身体強化をさせる魔法を使っても、それがレベル4だったら、味方からの支援であっても、打ち消されてしまうのだ。
まだまだ隠された能力がありそうだが、今のところでわかっているのはそこまでだ。
む、考え込んでいる内に終わったな?
ホタルが考え事をしていたら、ジュレクウルフ達は焼けダルマになっていたり、身体をバラバラにされて、戦いは終わっていたのだった…………




