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84.魔闘技会⑧

遅れてすいませんでした。

では、続きをどうぞ!

 


「お、おい? ホタル、なんだその山は!?」

「む? もぐもぐ」


 ダートとの戦いが終わり、MPとSPの回復に備えて、アルエルに買い物を頼んでいた。その量が多すぎて、ダートに指を指されているが。


「えっと、戦いの前であんなに食べても大丈夫なの……?」

「ダートとの戦いの前でも食べていたけどね。とにかく、回復に必要なことだから。もぐもぐもぐもぐ」


 ホタルは次々と食べ物を口に詰め込んで、偽造永久機関の数値を回復させ、使った分を回復させていく。次の戦いが始まるまでに、このルーチンを続けていたら…………



 《スキルの経験値が貯まり、『偽造永久機関Lv6』にレベルアップ致しました》



 スキルがレベルアップした。さっき、気付いたことだが、あれだけの人間を倒したのに、自分自身のレベルは上がっていない。というか、経験値が入っているようには思えなかった。

 つまり、経験値は完全に殺さないと入らないということ。あの結界の中で倒しても、外へ無事な姿で出されるから、上がるのは使った分だけレベルアップするスキルだけ。

 溜められる数値が増えたのは嬉しいが、今はとにかく口へ食べ物を運ぶだけだ。


「…………さっき、決着が付いた。道化師の格好をした男、アレンと言う人が勝った」

「アレン? 道化師の姿だから目立つ奴だったが、そんな名前は冒険者の中では聞いた事がないな」

「冒険者に登録してないかな? 決勝に進む程に強くて、目立つ格好をしていたなら、間違いなく有名になっていた筈よ」


 メルデが対戦結果を見てくれたが、アレンと言う者で強い人がいると言う噂は聞いたことがない。ホタルみたいにダークホース的な存在かと思ったダート達だったが、ホタルだけは難しい顔をしていた。


「え、美味しくなかったですか!?」

「あ、いや。美味しいぞ」


 ホタルが難しい顔をしていたから、買ってきた物が美味しくなかったかと心配していたが、難しい顔をしていた理由は別にある。

 次の対戦相手になるアレンのこと。

 実は、トーナメントの組み合わせを決めるために集まった時に全員へ解析を使っていた。全員が『隠蔽』を持っており、名前やHPまでしか見れなかったのだ。

 だが、アレンと言う名前は無かったのだ。さらにあの道化師、偽名を使っていただけではなく、名前その物が…………




『決勝です!! ホタル選手とアレン選手、会場へ来てください!!』

「ありゃ、もうそんな時間か」


 そこまで考えていたら、イリーナの声が聞こえてきた。決勝が始まるということで、ホタルは最後に残していたデザートのパイを無理矢理に詰め込んで、歩き始める。後ろからアレだけの食べ物を……とダートの声が聞こえたが、無視。


 闘技場へ向かうと、対戦相手であるアレンが待っている姿が見えた。

 ホタルも闘技場の舞台へ上がると、アレンがにこやかな笑顔でこっちを見ていた。






「初めまして。”遮音”」






 挨拶してきたと思ったら、いきなりスキルを発動していた。実況席からまだ合図をーーーーとイリーナが叫んでいたが、途中から聞こえなくなった。だが、近くにいたホタルには何も影響はない。




「これで、外へ声が聞こえなくなりました。中にいる私たちも外の声が聞こえなくなっていますがね」

「…………秘密の話をしようと?」

「えぇ。外に漏れたくはないのはお互い様でしょう? サイバー・リトルヒューマのホタルさん」

「バレていたか。お前は人間の姿をしているが、人間のアレンではないだろ?」


 解析では、目の前にいる道化師は人間ではなく、種族名はレクサスデーモンと出ていた。つまり、悪魔族であり、魔人なのだ。


「で、こんな事を言う為にわざわざ”遮音”を使ったのかよ?」

「いえ、本題はこれからですよ。貴方の所属は何処ですか?」

「は?」


 所属は何処と聞かれても、情報が足りなすぎて意味がわからない。わからないので、素直に聞くことにする。


「所属って、どういう意味だよ?」

「え?」


 なんか反対に驚かれた。レクサスデーモンはハッと気付いたように質問してきた。


「もしかして、何処かの魔王の部下になってないのですか?」

「あー、成る程。そういう意味なら、無所属だな、俺は」

「珍しいですね。アレだけの力を持ちながらも、何処にも属してないとは。ならば、私の魔王であるアスモデウス様へ忠誠を誓いませんか?」

「いきなりの勧誘かよ。会ってもない魔王に忠誠を誓えと言われて、はい、そうですねと答えるわけねぇだろ」

「確かにそうですね。…………私は、あの賞品を手に入れよと、幹部のアルガデア様から言われているので、人間に扮して、参加しております。ワザと負けてくれませんか?」


 レクサスデーモンは実況席の側に置いてある賞品へ指を指していた。そこには、2つの賞品が大会の優勝者に贈られる物で、普通では簡単に手に入らないのだ。

 その賞品は、『太陽の首飾り』と『能力覚醒リング』と呼ばれており、エルフの最高傑作となっている魔導具だ。

 それを手に入れて来いとアルガデア様? から言われて、この大会に参加しているらしい。わざと負けて、譲ってほしいて言っているが、ホタルにメリットはあるのか?

 後から賞品と別に何かを準備をして貰えるかもしれないが…………




「断る。俺もアレらが欲しいからな」

「そうですか、仕方がありません。実力で勝ち取って見せましょう。申し遅れましたが、私の名前はデリアードと申します」


 デリアードと名乗ったレクサスデーモンは指を軽く鳴らすと、”遮音”を解いた。これで、外の声が聞こえるようになった。




『こらー!! 戦いの前に秘密の話をするなー!! あ、解いたのね!? さっさと戦いを始めなさいよ!!』

「煩いな……、これは解かない方が良かったんじゃないか?」

「いえ、すぐに終わらせるつもりなので、問題はありません」


 フッとデリアードの姿が掻き消える。ホタルも同時に右へ動いて、デリアードからの貫手を避けていた。


「ほぅ、今まではこれで終わっていたがね」

「俺と他の奴らと同じにするんじゃねぇよ」


 ホタルは純回路と神羅を発動し、雷脚でデリアードの懐へ入って、貫手でお返しをするが、同じ様に右へ動いて避けられる。


「速いですね。これは楽に終わることは出来ませんね」

「…………」


 初見で雷脚からの攻撃を避けられたのは初めてだ。やはり今までの敵とは違うと思わされるのだった。

 だが、ホタルは口元を歪め、楽しそうに笑うのだった。




「勝つのは私です」

「ほざけ、勝つのは俺だ!!」




 これから、ホタルは初の魔人戦を体験するのだった…………







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