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83.魔闘技会⑦

はい、続きをどうぞ!

 


 ホタルは黒死点から禍々しい剣を生み出し、ダートは一撃必殺と言うように雷の放出で闘技場を埋め尽くそうとしていた。

 ダートは普通に戦っていたら、黒い霧にいつかやられるのがわかっているので、短期決戦のつもりで最初から本気だ。


「黒死点に魔法は悪手だぞ?」


 ホタルはそう言い、黒死点で出来た剣で雷を斬り裂いた。まさか、雷を斬られるとは思っていなかったダートは一瞬だけ驚愕し、すぐに後ろへ下がった。


「嘘だろ!? 雷を斬るなんて、達人の域に達した人にしか出来ないはずーー」

「喋っている暇はあるのか?」

「ッ!?」


 ダートが口を動かしている間もホタルは黒死点を津波のようにダートへ放っていた。逃げ場はない、もう終わったと観客達は思っただろう。

 だが、ダートだけは諦めてはいなかった。


「クソッ! ”雷翅”!!」


 切り札を切った。戦い始めてからまだ数秒しか経っていないのに、もう切り札を切ることになっていた。それだけに黒死点が厄介で、ダートはホタルのことを子供だと思わずに格上の敵だと見ていた。

 ダートの切り札は雷魔法のレベル6である『雷翅』。その魔法は本人に雷のはねを背中に生やして、飛ぶことが可能になる。飛ぶだけではなく、翅を飛ばして攻撃することも可能だ。

 便利な効果を持つ『雷翅』だが、コントロールが難しく、MPの消費が激しい。

 当のダートは初めから短期決戦で決めるつもりだったから、MPの心配をすることもなく、津波となった黒死点を飛ぶことによって避けたのだった。




「む、魔力が高まっている?」

「雷の翅を飛ばしただけでは、防がれてしまうだろう。早いかもしれないが、この一撃に賭ける!!」

「ほぅ。ならば、この勝負に乗ってやろう!!」


 ダートが全てのMPを雷の翅に込めて、攻撃を仕掛けるつもりだから、ホタルはそれを避けるか防ぐだけで勝てた。だが、それではつまらないと思い、その攻撃を迎撃して勝利を得ることに決めた。


「迎撃するなら、これだ」


 ホタルも黒死点を『万象』でダートと似た翅の形に固め、『万象』にあるもう一つの効果を使うことに決めた。

 もう一つの効果とはーーーー



 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 万象


 無形状の物に形を与える。更に、一つだけ自分が持つスキルの効果を付けることが出来る。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー



 今のホタルが持っているスキルで、一つだけスキルの効果を付けることが出来る。それは、チートに近い効果のように見えるが、黒死点のように無形状に形を与えた物ではなくては、スキルの効果を付けることは不可能だ。その制限さえ、クリアすることが出来れば、今のように黒死点へ『メテオインパクト』の効果を付け、発動する事が出来るのだ。

 雷の翅似せた黒い翅に、メテオインパクトの象徴である星型の煉気が纏わりつく。

 両方の準備は同時に終わり、言葉を交わすこともなくーーーー雷の翅と黒死点の翅が衝突した。

 ダートは直接に翅その物をぶつけることにより、全ての力が発揮される。ホタルは『メテオインパクト』にある効果により、防御を無視して最大限の力を相手まで届かせようとする。




 その衝突で、先にガタが来たのはダートの方だった。『メテオインパクト』の効果とは別に、『黒死点』の魔力を分解する効果が、雷の翅に亀裂を入れていた。その亀裂が出来た隙間から、黒死点がダートに掠っていく。

 その傷から黒死点が蝕むように、斑点が出来ていく。このままなら、少しの時間だけでダートは朽ちていくだろう。


 だが、ダートは黒死点に侵されようが、痛みや苦しみが襲ってきても、雷の翅は維持を続け、前よりも一点に絞っていく。まだダートは勝ちを諦めていなかった。

 黒死点に殺される前に、倒せばいいだけなのだから。その諦めない気持ちが現れたからなのか、翅同士の衝突に思いがけない結果になった。




 黒死点の翅が貫かれ、霧散した。雷の翅はまだ生きているようで、そのままホタルへ向かっていった。




 何故、黒死点の翅が負けたのか?

 それは、ひとえに熟練度とスキルレベルの差により、僅かにダートの方が勝っていたからに他ならない。

 黒死点とメテオインパクトはまだスキルレベルが低く、ダートの雷翅はコントロールが難しいはずなのに、操作は出来ており、一点に絞るという難しい技術を熟す程の熟練度があった。

 その二つの要因があり、ダートの『雷翅』がホタルに直撃した。ホタルがいた辺りは衝撃により、砂煙が群がる。

 それを見た観客やイリーナは驚愕して、その結果を見ているしか出来なかった。まさか、あれだけ強かったホタルが負けた?と。


 だが、ダートは別の意味で驚いていた。空からホタルへ当たる瞬間まで見ていたのだから、見えてしまったのだ。




 ホタルが右手を差し出していたのを。




「まさか、消したのか!?」


 観客とイリーナはダートが言っている意味がわからなかったが、砂煙が晴れると、その意味がわかるようになった。




「危ねえな。もし、『拒無』が無かったら、HPの半分ぐらいは持って行かれていたかもな」


 ホタルは無傷で立っていた。突き出していた右手をブラブラとして、まだ余裕があるような雰囲気を醸し出していた。


「ははっ、やっぱり何かして、防いだのか……」

「あぁ。勝負には負けたが、試合には俺の勝ちだな」

「……そうだな。俺は【病苦】を消す手段はないし、MPも全くないな」


 雷の翅が魔量切れで、散っていく同時に身体も黒死点によって崩れていく。HPも残り僅かしか残っていない。


「短い時間だったが、お前との戦いは楽しかったぞ。今度、強くなったらまたやろうぜ」

「ったく、この結界がなかったら二度とやりたくねぇぜ…………」




 ダートは苦笑する。HPが0になって身体も完全に消え去って、外へ弾き出された。そして、実況席からーーーー





「ほ、ホタル選手の勝利でしたぁぁぁぁぁーーーー!! まさか、8歳の子供が決勝進出です!!」





 ホタルは決勝へ進むことに決まったのだった。あと1人に勝てば、優勝。優勝すれば、目的の賞品を手に入ることが出来る。

 アレだけは、必ず手に入れておきたいとホタルはそう思うのだった…………







どうでしたか?

ついに、決勝まで進むことが出来ました。決勝の相手とはーーッ!?


続きをお楽しみに!

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