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82.魔闘技会⑥

はい、どうぞ!!

 


 1回戦で勝ったホタルは、残った対戦を見ることもなく、アルエルと一緒に屋台で色々な食べ物を買いまくっていた。

 何故、戦いを見ずに食べ物を買い漁るのか?


「もぐもぐ、MPとSPをさっさと回復させんとな」

「食べるだけじゃ、回復は…………あ、偽造永久機関がありましたね」

「あぁ、普通なら食べるだけでMPとSPを全回復させるのは無理だけど、俺には偽造永久機関がらあるからな」


 ホタルが持つ『偽造永久機関』は、HP、MP、SPが減っていたら、減った分だけを回復させることが出来る。『偽造永久機関』にエネルギーを溜める方法は様々な方法があり、食べるのもその一つである。

『偽造永久機関』で溜めるだけ溜めて、使った分だけは振り分ければ、全回復も可能なのだ。

 だから、屋台で出ている食べ物を買い漁っている訳だ。


「屋台まで出るとは、祭りみたいだな」

「祭りの一種みたいな物でしょうね。魔闘技会はエルフの領地だけではなく、他の領地から来る人もいますからね」

「ふーん。他の領地から来る者が多いといっても、獣人っぽい奴は余り見ないな?」

「あー、獣人は人間を嫌っている人が沢山いますからね。この大会には人間も沢山出ていますから、獣人は来たいとは思わないでしょう」


 この大会に出ているのは、殆どが人間かエルフである。稀に獣人も腕試しに参加する時もあるが、それは本当に稀なのだ。

 他に別の種族もいるが、あまり他の種族と交流を持たない者ばかりだという。ホタルは他の種族を見てみたいと思っており、大会が終わったら他の領地へ潜り込むのもいいなと考えていた。




 そう考えながら、アルエルと食べ歩きをしていたら、実況席からアナウンスが流れた。




「1回戦も終わり、10分後に準決勝を始めたいと思います!! 次の対戦カードは雷を自在に操り、疾風迅雷の働きを魅せるダート選手と病苦を撒き散らして、生と死の境目を彷徨わせるホタル選手!! どちらも自分の長所を理解し、大会を盛り上げてくれると、私は思います!! どんな戦いを魅せてくれるのか、自分の眼で確かめよう!!」




 実況というより、観客を集めようと言う感じに聞こえた。というか、もう準決勝が始まるのかと思いつつ、会場へ急ぐ。


「もう戦いが終わったみたいね。それにしても、早すぎない?」

「あぁ、まだ30分しか経ってないぞ。多分、俺が終わった後の戦いで力の差があり過ぎて、すぐに終わった戦闘でもあったのだろうな」


 どの選手が早く終わらせたのか、興味を持ったが、今はダートとの戦いだ。実は、初めて会った時はそんなに強そうには見えなかったから、トーナメントで勝ち残ったのは意外なのだ。

 一回戦だけを見たのだが、ダートは雷魔法を使ったスピード強化で相手を翻弄しつつ、剣と雷を使って攻めるタイプだった。ホタルから見れば、強いと思わせるぐらいの実力はあった。

 ただ、ホタルは『黒死点』を手に入れた時点で、ダートは相手にならない。雷魔法は殆んどがスピードに重視をしており、防御の魔法が全くないのだ。つまり、一度でも当たったら致死の威力がある『黒死点』相手にずっと逃げ回らなければならなくなる。『黒死点』は魔量と煉気を大量に喰われるが、偽造永久機関があるホタルにはその消費を気にせずに戦えるのだ。

 会場に着き、ホタルはすぐに闘技場へ上がっていく。ダートは既に待っていたようで、胡座を組み、瞑想をしていた。少しでも魔量を回復するように…………




「ダート、瞑想とか本気で来るみたいだな? 大人が子供相手に大人気ないとか思わないか?」

「まさか。お前のことをただの子供とは思えねぇよ。本気でやらないと、こっちが負けそうだ」

「負けるのがわかっているなら、さっさと棄権でもしたらどうだ?」

「そんなことをしたら、リーデに殴られるんで、簡単にやられるつもりはないさ」


 ダートは瞑想が終わったのか、立ち上がって愛剣を抜く。そのタイミングに合わせたように、実況から声が上がる。




「さぁ、10分経ちましたので、これから準決勝を始めます! ダート選手、ホタル選手、お互いは本気で戦って悔いの無いように!! ではーーーー」






 イリーナは大きく息を吸い、開始の合図を発した。会場の全てに響き渡り、ホタルとダートは同時に動き出したのだったーーーー











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