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79.魔闘技会④

本日二話目をどうぞ!!

 


 1回戦の結果は、ギリギリでダートが勝ったようだ。ルデアとダートは同じランクの冒険者で、いい試合を魅せてくれた。

 お互いは片手剣と魔法を操り、一進一退の戦いで勝ち取ったのは、最後に雷魔法を牽制に首を狙うーーーーそれさえも囮に、上空から雷魔法のLv4、『塵雷』を落として焼き尽くしたダートだった。

 その戦いを見ていたホタルは、ダートの実力はアルエルが『昇華』を使わなければ、ダートの方が上だとわかる…………




 ……え、ステータス?

 無理無理。

 どいつこいつも、『隠蔽』を持っていやがる。一番弱くてもHPまでしか見れねーよ!

 俺の解析はLv8なんだけど? それでも、見れないって、どういうことよ?

 なかなかスキルレベルが上がらないが、まだ解析よりも上があるってことか?

 今、気付いたが、便利な解析で鑑定よりも上なのに、まだ下級なんだよな…………。まぁ、隠蔽程度で見通せないなら、まだ上がある可能性が高いな。


 頭の中で愚痴を漏らしていたら、イリーナ実況から呼びかけがあった。


「ダート選手、おめでとうございます! さて、次は2回戦を始めるので、選手は上がって下さい!!」

「ホタル様、頑張って下さい!!」


 アルエルは槍使いのドゥムに負けており、悔しかった。初見で見破れない技で来られたから仕方がないとホタルに言われていたが、とにかく悔しかった。

 これでは、ホタル様の脚を引っ張ってしまうと…………

 ホタルはアルエルの様子が変なのは知っていたが、自分から色々と助けてばかりでは、成長はしないだろう。だから、自分で解決出来るまで見守ってやろうと決めた。

 ホタルはアルエルの瞳を覗き込み、頷くだけで、そのまま闘技場へ向かった。

 アルエルがホタルの言いたいことを理解出来たかわからないが、ホタルはただ乗り越えてくれるのを信じるだけだ。




 闘技場には既にドゥムが立っていて、立派な槍を持っていた。ドゥムは50歳を超えた老人で、静かに瞑想するように眼を瞑っていた。

 そして、向こうから話し掛けてきた。


「戦う前に一言を。君が子供だろうが、手加減することはない」

「そうしとけ。手加減でもするなら、その隙を狙って首を噛みちぎってやるよ」


 本当に一言だけだったようで、話は続くこともなく、ゆったりと槍を構えていた。

 ホタルも一応、腰に下げていた銀製の短剣を抜いておく。




「レディーーーーファイト!!」




 イリーナの開始と同時に動いたのは、ホタルだ。観客の皆はホタルの行動に驚いていた。




 開始一発目に、銀製の短剣をドゥムへ向けて、投げていたのだから。




 まさか、武器を最初から捨てるような行動に移るとは思わなかっただろう。腰には、他の武器が構えてはいなかったから、唯一の武器だと皆は思っていた。

 そんな攻撃などは、ドゥムがそう簡単に喰らうこともなく、槍の穂先で弾いていた。ドゥムは無傷で隙と言える程の隙を作らせなかった。




 だが、ホタルにしたらそれで良かった。一瞬だけでも、短剣へ意識を向けさせることが出来れば。

 その試みは成功した。槍を動かし、短剣を弾いたことは、一瞬だけ意識を短剣へ向けたという事ーーーーーーーー




「ウラァッ!!」




 短剣へ意識を向けた瞬間に、ホタルは最大力の疾風を両手に構えていた。その疾風はまるで黒い翼のように見えた。

 その疾風をそのまま、ドゥムに向けて放った。容赦もなく、迷いもなく、全力をそのままドゥムへぶつける。ドゥムに何もさせないで、一撃で殺すためにやったことだ。その方が、勝機はあると思っていた。




 そう思っていたがーーーー





「”地鎧兵”!」


 疾風は術式もなく、現れた土の巨兵によって受け止められてしまった。

 ホタルは最大力をあっさりと止められたことに毒吐きながらも、次の手を考える。


「子供のお主が、何故、こんなスキルを持っているのか知らないが…………」


 ドゥムはそう言いながら、槍を地へ向けていた。その動作は見たことがあるので、すぐにこの場から離れた。

 地へ刺された瞬間に、ホタルの立っていた場所から、ドゥムの手に持っている槍と同じ物が生えていた。しかも、逃げているホタルを追いかける。


 チッ!

 追尾付きだと!?


 このままでは、逃げられないまま疲れでスピードが落ちたら串刺しになって、終わりだろう。

 だが、ホタルもあっさりとやられることを認めない。


「”メテオインパクト”!!」


 ホタルは地面へ向けて、煉気の星を纏った拳を打ち込んだ。生えてきた槍ごと地面を抉る。

 これで、槍の追尾はなくなったがーーーー


「敵は下だけじゃないぞ」

「知っていんだよ!!」


『真・空間認識』でドゥムの動きは把握していた。ホタルの背後から攻めてきたドゥムは熟練度が高い槍の捌きを見せてくれた。

 ホタルは槍の捌きを両手で受け流しながら、”純回路”と”神羅”を発動した。


「む?」

「こんな近くまで来ても大丈夫か? 疾風のことを忘れてねぇよな!?」


 自分を巻き込む形で疾風を発動したが、ドゥムはすぐホタルから離れてしまったので当たらなかった。


「素早い奴だな!?」

「お主は……病苦に対する耐性を持っているのだな。此れだけのスキル、推測であるが、デメリットはあの黒い霧はお主も対象に含まれることだろう? だが、さっきは自分ごと攻撃していたのに、病苦になった様子はない」

「自爆を期待しているなら、無駄だ。病苦に対しての対策を何もしてないと思うなよ?」


 これはブラフだ。対策というより、既に病苦の効果を受け付けない身体を持っていたが正しい。

 ドゥムはホタルの予選を見ていた。その時、黒い霧を広範囲に発生していたが、キチンとホタルを避けていたため、さっきの推測が思い立ったわけだ。

 だが、実際は自分ごと攻撃していたのに、ホタルはピンピンとしているから病苦に対する高い耐性を持っていると考えた。


 俺が話したブラフがどれだけの効果を発揮してくれるかわからないが、これで攻撃の手が緩んでくれればいいんだがな。


 ドゥムは近付くには危険だと理解しているので、どう戦うか考えているように、ホタルも次の手を考えていた。

 ホタルにはまだ先程、手に入れた新しい技があるが、それはまだ時期が早いと思っている。せめて、アレが来るまでーーーー



 と考えていたら、その願いが通じたのか、あの言葉が聞こえてきた。



 《スキルの経験値が貯まり、『疾風LvMAX』にレベルアップ致しました。『疾風』は『黒死点』へ進化致しました》




 ホタルはこの時を待っていたのだ。











疾風が進化致しました!

これからはどうなるか、お楽しみを!

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