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72.勇者と学園

今回は勇者のターンになります!

 


 アルド・ダイムは10歳まで成長した。幼馴染みであるリムもそうだ。

 2人は今年から学園に入れる歳になり、ジェムア村から帝国にある魔法都市学園へ移り、通うことになる。

 魔法都市学園には寮があり、村から通わなくても大丈夫だ。


「アルド、5年間は私から経験と技術の全てを教え込んだわ。これからは学園の生徒達と磨き合う生活になるけど、アルドなら生き残れるわ」

「はい、途中で退学にならないように頑張りたいと思います」


 これから通う魔法都市学園は、余程の事がなければ退学になることはないが、たまに決闘で退学を賭けた戦いもあると言う。学園を卒業したら、冒険者を目指すつもりだが、もしかしたら途中で進路を変更するかもしれないから、ちゃんと授業を受けておこうと思う元不良であった。


「アルちゃん~」

「またか…………」


 いつものように、何処からでも現れる幼馴染みのリム。いつもの言葉が出るかと思っていたらーーーー




「…………結婚しようね?」




 眼が濁ったような光を発し、暗い笑顔。手には包丁を持っていて、服もゴスロリになっていた。




「ヤンデレ化してるーーーー!?」

「やんでれ?」


 リムはヤンデレの意味はわかってないようだ。つまり、包丁を持たせてゴスロリを着せたのは…………


「お前の母親は何を考えて、ヤンデレのスタイルを教え込んでいやがるーーーー!?」

「これを着て、包丁を持っていたら、アルちゃんは落ちると聞いたの~」

「落ちたよ! 色々とね!?」


 お前の母親の株とか…………

 色々と属性を増やしすぎだろと思うアルドであった。無意識でやったと思うが、さっきの濁ったような光を発した瞳、少しマジで怖かった。

 もしかしたら、リムにはヤンデレの素質が高いかもしれない。そう考えたら、背筋が寒くなった。




 もう少し優しくしてやった方がいいのか?











 そんなことがあったが、アルドは無事に学園へ通う日を迎えられた。

 魔法都市学園は友好国から学びに来る生徒もいる唯一の学園でもある。例えば、隣の領地であるエルフの領地から来る者もいて、リム以外のエルフもちらほらと見える。


「思ったより入学する生徒が多いな?」

「確か、お母様が今年は特に多いと聞いているよー」

「ふーん、この世代は親が頑張ったんだな。コウノトリの意味で」

「コウノトリー?」


 コウノトリを知らないリムは顔を傾けながら、アルドの腕を取る。いわゆる恋人がやるようなことだが、アルドはもう引き剥がすことは昔に諦めた。最近は好きにさせており、その際に胸を押し付けてくるが、リムの胸はまな板に近い程に薄いので、魂年齢で26歳になるアルドが慌て喚くことはない。

 アルドはそれでいいが、周りはラブラブにしか見えないアルド達のことを放っておかない。その筆頭がアルドに話しかけていた。


「やーやー、入学式から熱いのを見せつけるねぇ!!」

「は? 誰だよ、お前は」


 いきなり気安く話してくる女子に訝しむような視線を向けるアルド。


「あー、ゴメンね。私は君と同じで今日に入学するテレサと言うもんやー」


 なんか、関西弁もどきで話してくる女の子が現れたんだが?

 もしかして、入学して最初の友達がこいつ?

 ないわーーーー


「む、こいつとは友達になりたくないなーと思ってなかった?」

「そ、ソンナコトナイゾー」

「声が裏返っているんだけど……、まぁ、いいや! 失礼なことを考えたお詫びとして、最初の友達になって貰うからなー」

「なんでだよ!?」


 あっという間に最初の友達にされたアルド。

 なんか、リムが大人しいなーと思って、リムに視線を向けると背筋が凍りつくような感触を感じた。




「……………………」




 眼から光が無くなっている!?

 すげぇ怖いんだが!?


「あー、私は退散していいかな? 私まで刺されそうで…………」

「逃げんなよ!? お前も睨んでないで、自己紹介でもしとけよ! 第一友達が此奴だが、多分悪い奴じゃない。ウザそうで煩いと思うが……」

「一言が多くない?」


 初対面に失礼なことを言っている自覚はあるが、冷やかしに来た人にはこの対応で充分だ。

 とりあえず、アルドも自己紹介をすることに。


「俺はアルドだ」

「…………リム」

「うわぁ、こんだけ簡潔な自己紹介は自己紹介と言わないかなー。2人は恋人だよね。幼馴染みだったとか?」

「おい、サラッと恋人認定してんじゃねぇよ。ただの幼馴染みだ」

「そうなの? リムちゃんは…………アルドを取らないから睨まないでくれるかな?」

「本当に……?」

「えぇ! リムちゃんはアルドのことが好きなんだよね?」

「うん! 毎日、結婚を申し込んでいるの! お母様が休まる暇も与えずにアタックすることが肝心よ! と言っていたのー」

「へ、へぇー。アルドも大変だね……」


 同情されるような瞳を向けられるが、首を横へ向けて無視をする。その時、一人の学生が通った。制服の肩には学年を表す紋章が縫いられており、一つ上の先輩だった。

 今日は入学式で、先輩達はお休みだと聞いていたが…………


「アレは、アルエル・ゼリアじゃない」

「ん、知っているのか?」


 テレサもアルドと同じ同級生なのに、先輩のことを知っているのか?


「そりゃ、帝国では有名なの。悪い意味でね」

「どういう意味だ?」

「その人の姉が帝国の歴史に載るほどの大犯罪を起こしたの。その姉は逃げ出して、手配指名されているし、ゼリア家はその責任を負って、処刑されたの。アルエル・ゼリアだけはまだ小さかったから助かったみたいだけど……」


 テレサは帝国に滞在していたので、詳しかった。帝国では嫌われ者で落ちこぼれと言われている。

 アルドはそれ程に興味を持たず、ふーんと図書館へ向かっていくアルエルの背中を見過ごすのだった。

 もし、そこで興味を持っていたら、呼び止めていたら、何かが変わっていたかもしれない。だが、それはもう過ぎ去った過去の話である…………








勇者とアルエルは一度は会っていました。すれ違っただけですが…………



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