70.ホタルvsエルフ
はい、続きです!
「なんで、矢が当たって刺さらないわけ!?」
「俺は普通の人間よりもちょっと硬いだけだ」
ステータスが高いだけではなく、体内の機械が鉄よりも硬い鋼鉄で出来ているから、ただの鉄の矢では刺さらなかったのだ。
「ただの矢で刺さらないなら、こうすれば良いだけよ!!」
「ほぅ、風を纏うか!」
セリアは『風属性付加』で矢を強化させた。スピードが上がり、鋭さも上がっていた。その矢ならホタルを貫けるだろう。
「もう受けてやらねぇよ」
「避けた!?」
ただの子供には避けられないスピードなのに、あっさりと避けたことから普通ではないと理解したセリア。
「エリー! 貴女もやりなさいよ!!」
「え、でも……」
「ただの子供ではないわ!! やらないと、こっちがやられるわよ!!」
セリアより身長が低いエルフのエリーは子供と戦うことに忌避を持っていたが、セリアが必死だとわかったので、セリアも雷を纏う矢を撃ち出した。
エルフは木の上にいるから、ホタルの攻撃は届かない…………というのは通じない。
雷を纏い、貫通性が上がった矢を避けてエルフがいる木の下まで着いた。
「振り落としてやるよ!!」
メテオインパクトで木に向かって殴った。大きな音を立てて、太くて長い木を折っていた。
「嘘っ!?」
「人間がやれることじゃないよね!? 獣人みたいなことを……」
エルフ達は口ではそう言いながらも、空中で矢を撃ち出して、折れた木を蹴って、ホタルから距離を取ろうとする。
「矢は無駄だ」
「今度は矢を払い落とすなんて……! ”風球”!!」
「”雷球”!」
二種類の球が幾つか撃ち出され、ホタルは雷球を全て避けて、避けられない風球だけは払い落としていく。少しだけダメージを受けるが、既に純回路と神羅を発動しているので、無視できるダメージであった。距離を詰められているホタルに恐怖したのか、エリーは範囲が広くて威力が高い雷魔法を放った。
「ーーッ、”雷暴嵐”!!」
「馬鹿! やり過ぎーーーー」
今度はセリアが止めるが、既に発動されてしまっている。この威力は明らかに殺すだけの威力が込められているのがわかったからだ。エリーもセリアに言われて、気付いたのか顔を青ざめていた。
だが、それを簡単に喰らってしまうホタルはその程度ではない。
「”疾風”!」
黒い霧が雷暴嵐とぶつかり、お互いの技が相殺して消え去る。
「嘘っ!?」
「驚いている場合か?」
「しまっーーーーキャッ!?」
エリーは雷暴嵐があっさりと相殺されたことに驚愕していたため、隙が出来てしまっていた。ホタルはその隙を突き、腕へ雷牙で噛み付いて麻痺らせた。
「エリーーーーーアババッ!?」
「ふむ、電磁盾の方が麻痺に掛かる強さが強いか」
雷牙と電磁盾で付加される麻痺の強さが違うようだ。おそらく、電磁盾の方が長く麻痺らせることが出来るのだろう。ただ、電磁盾の方は発現したら、動かせないから使いやすさは近付かなければならないが、雷牙の方がほんのちょっとだけ上だと思う。
「あっさりと捕まえたな。アルエル、敵を拘束する時、魔法はどうやって封じる?」
「確か、魔封鎖があった筈です。おそらく、警備をする者なら持っているのでは?」
「成る程、その小物入れが怪しいな」
エルフの腰にある小物入れに入っている可能性があるので、調べてみる。セリアの調べようと思ったが、腰に付けられているベルトが中々取れず、色々と弄るホタル。
「ひ、ひゃっ、あぁっ、く、くすぐっ…たいひゃッ!!」
「煩いぞ。中々取れないんだから我慢しろ」
「ひゃぁぁぁぁぁ!!」
麻痺っているのもあり、抵抗出来ないまま、くすぐられてしまうのだった。エリーは小物入れを持ってなかったので、くすぐられてしまうこともなく、安堵しているのだった…………
「これで良しっと」
「うぅっ、もうお嫁に行けない……、まだ子供なのに色々なとこを触られた……」
「変なことを言うな。腰に触れただけやろ」
シクシクと涙目になっているセリアとそれに苦笑しているエリー。捕まっているのに、苦笑する程の余裕があるなと思いながら、警戒だけはしておく。
魔封鎖が両手に巻きついていると言え、足や身体には普通の縄を使って縛っているだけだから、魔法を使われてしまえば、簡単に逃げられる。魔封鎖は元からエルフの物だから、魔法を封じられたかわからない。そんな不安要素もあるので、さっさとやることをやっておく。
「さて、これからさっきの話が嘘か本当か確かめるぞ」
「……いいの? それだと、エリーの魔封鎖を解かなければならなくなるよ?」
「お前達は俺の力を思い知っただろ? なのに、反抗するのは馬鹿がすることだ。もしかして、自分を馬鹿だと言いたいのか?」
「そんなわけじゃないじゃん!! まさか、子供にやられるなんて…………」
「わかっているなら、いい。『嘘感知』を使って調べろ。お前はセリアと言ったな? お前は調べている間は人質だ。アルエル、もしエリーが『嘘感知』以外の魔法やスキルを使ったら、セリアを殺せ」
「了解です!」
「ちょっ! 殺すって、物騒な子供じゃない! そこの女も止めなさいよ!?」
まさか、子供が殺害を命令して、隣にいるアルエルがあっさりと了承するとは思ってなかったから、顔を青ざめる。
「エリーがちゃんと俺の言うことを聞くなら、セリアと共に生き延びさせてやるよ」
「は、はい!」
エリーはホタルが本気で言っているのがわかったから、逆らう考えは無くなった。早速、エリーの魔封鎖は解いて、手を繋いだ。
それから質問を何回かするだけで…………
「……子供が言っていることは全て、本当のことでした」
「そうだったのか。いや、さっきの強さを見れば、本当だったとわかるな」
2人が納得したので、解放してやる。
「え、いいのか?」
「私達の勘違いで襲ったのに、もう解放していいのか?」
「誤解は解けたんだから、もう必要はないだろ? まだ気にするなら、街を案内してくれよ」
「それで許してくれるなら……」
ホタルは自分達が魔人だと、相手に知られることもなく、街を案内してくれる約束までも勝ち取った。
これから、セリア達と一緒に街がある場所まで行くことになった。
次回はエルフの街へ。




