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68.魔人の少女

魔人の少女は誰なのか……?


 


 イングランドラゴンに襲われたホタル達だったが、魔人である少女が助けてくれたのだった。


「やぁやぁ、まさか、此処で同族に出会うとは思わなかったよー」

「……同族?」

「やーね、魔族に決まっているじゃん! 貴方達はサイバー系の魔人だよね」


 まさか、頭に大きな機械のアクセサリーが生えているアルエルはともかく、人間にしか見えないホタルまでもサイバー系だと見破った少女に驚くホタル。


「もしかして、隠していた?

 隠すつもりなら、その紅い眼を隠したほうがいいよ? よく見れば、機械の眼だとわかるし」

「そうなのか……? アルエル、わかるか?」

「いえ、よくわからないのですが……」


 アルエルがホタルの眼を見ようと近付くが、生身の眼にしか見えないようだ。おそらく、微細すぎて普通にはわからないのだろう。

 それを直ぐに見破ったこの少女は何者か?


「あ、私はやることがあったから、人間の領地に入ったの。まだ終わらせてないから、此処でお別れね」

「…………まぁ、助かったのは間違いないからお礼だけは言っておく」

「いいよッ、またいつか会えるといいねー。あ、名前だけ聞かせていいかなー? 私のことはベルちゃんと呼んでね!」


 いきなりちゃん付けとか変な女だなと思いつつ、ホタル達も自己紹介をする。


「ベルと呼ばさせて貰おう。俺はホタルだ」

「私はアルエルです」

「ぶー、ベルちゃんと呼んでよッ!!」


 子供かよッと思ったが、見た目はまだ子供だし、見た目通りの年齢かもしれない。なら、こっちの方が精神年齢では大人なので、仕方がなく受け入れることにする。


「はぁ、わかったよ。ベルちゃんでいいだよな?」

「うん!!」


 パッと顔を明るくするベルちゃん。その様子を見て、やはり自分より歳下かと納得するのだった。


「ねぇねぇ、ホタル君は強くなれるよ。もしかしたら、魔王ぐらいは超えるかもねー」

「何を根拠に?」

「んー、勘!!」


 勘かよ!?

 魔王か、魔王を超えるかもねと言われても想像出来ん。

 …………だけど、その道も面白そうだよなー。


「強くなったら、遊ぼうね。それまでは、死なないようにねー」

「あぁ、会えたらな」


 ベルちゃんはニッコリと子供らしい笑顔を浮かべて、バイバイしながらここから走って去ったのだった。






「何というか、変な魔人でしたね」

「俺達は既に魔人になっていたのか。神のお言葉(笑)も教えてくれたらいいのにな。ベルちゃんだったな、そんな魔人は珍しいのか?」

「うーん、書物では非情で狡猾な生物だと書かれていました。同族であっても、喜んで戦ってその肉を喰らうと……」

「あー、人間の主観が入っている可能性が高いな。さっきの魔人は同族を助けるぐらいの器があったぞ」


 よく知らない末に、想像を付け加えることはよくあることだ。


「しかし、ベルちゃんを襲わなくて良かったのですか?」

「…………恐ろしいことを言うようになった?」

「え、あ、助けて貰ったからですか? ホタル様が勝てる相手だったら、経験値にするためにサクッとやりそうだと思いましたが……」

「はぁー、お前が俺のことをどう思っているか、よーくわかったよ。まぁ、間違ってはないけどな」


 肩を竦めながら、あっさりと白状するホタル。ホタルは助けられた相手でも、勝てそうで良い経験値になるなら、躊躇もなくやる覚悟は決めていた。だけど…………


「アレはまだ駄目だ。俺達では勝てない。それ程に実力が開きすぎているんだ」

「えっ……?」


 アルエルは実際に会ってみると、ベルちゃんは思ったより強くはないと感じたのだ。イングランドラゴンの時は、不意打ちだったから魔法が決まっただけで、イングランドラゴンより強いのではないと考えていた。

 ホタル様なら、勝てると……………でも、ホタルの評価はアルエルの反対だった。


「どうやってかわからんが、ステータスが名前までも見れなかった。今迄は、相手がどんなに強くても、名前だけは必ず出ていたんだ」

「それが……?」


 アルエルは鑑定や解析は持ってないので、その意味がどういうことなのか理解出来なかった。


「……まぁいい。とにかくアレがまた現れても、勝手に手を出すな。死ぬぞ」

「えっと、はい……」


 ホタルは教えてやるの止めた。下手に怖がらせても意味はないので、手を出さないようにと注意だけで留まった。


 全く、今日は厄日だな。

 さっさと休みたいぜ…………。






 ーーーーーーーーーーーーーーーー




 ふふ、面白い者を見つけたわね。

 ホタルね。

 体内に込められた力、私のアレと似ていたわ。

 あぁ、成長が楽しみだわ。何処まで行くかな?

 何を目指しているかな?

 やっぱり、魔王を目指して欲しいわね…………


 るんるんとスキップをして、ご機嫌なベルちゃん。その脚は帝国がある場所へ向かっていた。

 ベルちゃんなら、1日も掛けずに帝国まで行くのは簡単だ。だが、風景を見ながら歩いて行くのも乙だ。

 さっき、代わり映えのない世界を歩いていたが、面白い者に出会うことが出来たのだから、次は何が出てくるか期待しながら歩いて行く。

 だが、次はベルちゃんが期待してなかったのが現れた。




「ベルゼブブ様。ようやく見つけましたよ」

「ぶぶー、もう見つけちゃったのー? 少しぐらいは見つからなくても良かったのにー。あと、本名は可愛くないから、ベルちゃんと呼んでと、いつも言っているのー!」


 転移でベルちゃんの側に現れたのは、執事服を着た昆虫型の魔人だった。その魔人はベルちゃんのことを『ベルゼブブ様』と呼んだ。

 ベルちゃんはその名前が気に入らないみたいだが。


「我が魔王様は自由が好きなのはわかっていますが、他の領地に行くなら、せめて護衛を1人ぐらいは連れて行って下さい」

「ルカちゃんに頼んだけど、断られちゃったのー。愛が呼んでいる! とか言って、何処かに行っちゃったのー」


 ベルちゃんはちゃんと他の人に護衛を頼んでいた。だが、断られた話を聞き、昆虫型の魔人はポカンと口を開いていた。


「あ、あの阿婆擦れが…………ッ! 魔王様の頼みを断るとは!! …………すいません。今度、お仕置きをして置きます」

「いいよ。代わりにヒーちゃんが護衛をしてよ。ただし、ベルちゃんと呼ぶこと!!」

「無理です。護衛はしますが、名前だけは勘弁して下さい。ちなみに、私の名はヒーちゃんではありません。ちゃんとヒドラと呼んで下さい」


 あっさりと無理と断り、自分の要望をキッチリと抑えるヒドラ。頬を膨らませるベルちゃんだが、今回は機嫌が良かったから、すぐに諦めた。


「まぁいいやー。今日は面白い者に会ったから機嫌が良いの。だから、今回だけはヒドラと呼んであげるの」

「今回だけではなく、これからもお願いしまーーーーーー面白い者?」

「そう! サイバー系の魔人ね。今はまだ弱いけど、強くなるよー」

「ふむ…………」


 ヒドラはベルゼブブ様が気に入ったならば、スカウトをして、自領に引き入れることを考えていた。今はまだ弱いなら、強くなってからスカウトでも遅くはない。


「今は、帝国へ向かうよ。前に魔王を倒した人間が滞在しているってー」

「前に魔王を…………帝国の第二皇女様ですね。確か、名前はティリアと言っていたはず」

「その名前だったようなー。その人を一度は見てみたくてね」

「はぁ、了解しました」


 やはり、護衛は必要だった。自分が直接に来て良かったと安堵するヒドラであった。

 ベルちゃんとヒドラはすぐ転移をせずに、帝国まで自分の脚で向かって行くのだったーーーー










どうでしたか?

感想と評価をお楽しみにしております。

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