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64.空間魔術師

はい、続きです!

 


 ホタル達は厄介なエレタルアがいないダンジョンでは、他の魔物なぞは相手にならなかった。

 疾風で雑魚を片付け、たまに小さな氷のゴーレムも現れたが、メテオインパクトで一撃にて終わらせる。

 そのように、階層を上がっていき…………






「外だーーーーーーーー!!」

「ようやく寒くて臭い匂いから解放されるのですね」


 アルエルはそう言いながら、身体をマント代わりに巻いていた獣臭い毛皮を脱ぎ捨てた。身体にまだ臭いが残っていて、うえっと顔を歪めるが、ようやく外に出られたのは嬉しいことだ。


「少し疲れたし、兵士が使っていたログハウスで休むか?」

「そうですね。風呂があればいいのですが」


 ダンジョンをクリアしたばかりで、すぐドラゴンがいる山へ行こうとは思えなかった。『真・空間認識』では3キロ先まで確認をすることが出来、3キロ以内には馬車どころか人の気配もなかった。


「よし、しばらくは大丈夫ーーーーなっ!?」

「空間魔法!?」


 ログハウスに向かおうとする2人だったが、急に魔力が何もないところから現れ、空間が歪んだ。

 そこから、1人の人間が現れた。


「転移か!?」

「は、はい。自分を転移させるのは、高等魔術師にしか出来ません! 普通の空間魔法使いは物を保存したり、送ったりするか周りの空間を歪めるしか出来ないのです」

「ほぅ、詳しいな? お前は……あの魔女の妹で間違いないな? それに、隣にいる子供は誰だ?」


 現れた男は、アルエルの隣にいる子供は何者かわからなかった。今のホタルにはただの人間にしか見えないのだから、仕方がないだろう。

 他に転移してくる気配はなく、目の前の男は1人だけで来たようだ。


「ふふっ、転移をしてくるとは思わなかったよ。でも、1人だけで転移してくるのは悪手だと思うよ?」

「ふむ、その口調からただの子供ではないか。なら、そこの仲間か? 仲間ではないなら、ここから立ち去れ」


 ただの子供しか見えなかったので、判断は委ねた。もし、ここから立ち去るなら逃すつもりだった。今回の目的は、大犯罪者ヘラの妹であるアルエルなのだから。


「そことか、指を挿すのは失礼ではないですか? 私にはアルエルと言う名前があります」

「それは失礼した。これから死に逝く敵であっても、名を名乗ったなら、こっちも名乗らなければなりませんね」


 執事風の服を来た男は、胸に手をかざして自己紹介する。




「私は帝国軍であり、第二皇女様の親衛隊を務めているアークと申します」




 ホタルは第二皇女様の部分に反応した。第二皇女様と言う言葉は聞き覚えがありすぎた。


「まさかと思うが、第二皇女様って、ティリア・ダ・カエサルだよな?」

「様を付けろと言いたいが、まだ子供だから許してやろう。敬語がなってない後輩を持ってから、少し甘くなってしまったようだ。答えは是だけと答えて置こう」

「ほぅ、その親衛隊を務めているんだな? 力試しに丁度いいかもな……?」


 ホタルはやる気満々で、腕を回している所だった。そのホタルの態度にアークも流石におかしいと思い始めた。


「む? 君は……」

「あ、こっちの自己紹介がまだだったな。俺はホタル。もう一つ、付け加えるならーーーー」


 ホタルは神羅、純回路を発動した。その魔力を読み取ったのか、アークは驚いていた。まるで、主であるティリア皇女様と同じような気配を感じたからだ。




「まさか!?」

「そうだ。俺は継承者だッ!!」




 ホタルは驚愕する隙を突いて、雷脚でアークの懐に入り、拳を減り込ませた。


「グッ!?」

「あれ、あっさりと当たったな……?」

「ぐ、ゲホゲホっ!」

「結構、強く殴ったんだけど、骨が折れてない?」


 ホタルの手には骨を折った感触がなかった。もしかして、防御が高いかなと思った先に、アークの服から何かが落ちた。

 折れた棒のような物だった。


「あれは身代わり棒です! 一定のダメージを受け持つ魔道具です」

「何それ、欲しいんだけど…………まぁいいか。帝国は継承者を知っているか。いや、継承者が何人かいるな? ティリア皇女様もそうだろうしな」

「何ぃ、お前はティリア皇女様の継承スキルを知っているのか!?」

「まぁ、2度は攻撃されたしなーー!」


 さっきの身代わり棒が一本だけとは思えないので、物理攻撃で威力が高いメテオインパクトでどれだけダメージを与えられるか試してみる。再び、雷脚で懐へ入って、当てようとしたがーーーー


「そうと簡単にやらせませんよ!?」

「お?」


 アークは狙われた箇所に空間を開けて、別の場所へ攻撃を飛ばした。飛ばされた場所が近かったのか、木々が何本か吹き飛ばされていくのが見えた。

 その威力を見て、アークはやはり継承者と一対一で戦うべきではないと撤退することに決めた。すぐにホタルから離れ、ついでに火魔法を術式無しで発動して脚を止めさせる。

 ホタルは術式がなかったことに少し驚き、距離を取る形に後ろへ下がっていた。

 時間が出来たアークは転移をするために、術式を構成していく。アークなら転移は数秒あれば、構成を完了させる程の腕を持っている。




 空間に歪みが出来、撤退出来ると安堵するアークだったがーーーー




「敵は俺だけじゃないんだぜ?」

「は? ーーーーうぎゃぁぁぁぁぁッ!?」


 アークの左腕にはアルエルが発動した火炎獅子が噛みついていたのだった。身代わり棒が身代わりをしてくれるのはHPのダメージだけで、痛みや熱さには効果はないようだ。

 アークは痛みと熱さを耐え、左腕から水魔法の”水蛇”が火炎獅子と相殺をする。

 左腕全体に酷い火傷を負ったアークだが、転移は消えなかった。そのまま、アークは空間の揺らぎに消えてしまった。


「あー、逃げられたか」

「転移から引っ張り出せず、すいませんでした」

「いーよ。アークって奴は自分自身しか転移出来ないみたいだし、3キロ以内には人の気配はなし。なら、今は安全ってわけだ」




 この前の攻撃は、望遠が届く1キロ先からの攻撃であって、3キロ以内に人の気配もないなら、安全と考えた。

 だが、ホタルは第二皇女様の力を甘く見ていたとその後になって知るのだった…………







どうなるのか?

次回をお楽しみに!

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