63.勇者と近所の姉さん
本日二話目!
今回は勇者の話になります。
幼馴染みのリムが色々と残念になりますが、見捨てないでやってください。
では、続きをどうぞ!
勇者の称号を隠しているアルドは、8歳になっていた。母親からの訓練も毎日、欠かずにやってきたおかげで更に強くなった…………
「けっこんしよう!!」
リムは相変わらずだった。変わったと言えば、けっこんしてからけっこんしよう! に変わったぐらいだった。
強く出ようとしてのことだと思うが、アルドの気持ちは変わらない。
「ウザッ」
「あぁん、いけず!」
「何処でそんな言葉を覚えて来るんだよ!? お前の母親か、母親だよな?」
もう一つだけあった。変な言葉を使うようになった。教育に悪いんじゃないかと思ったが、人様の教育に口を出すのはさらさらないので放っておくことにする。
それよりも、アルドにはリムより大切なことがある。
「あ、今日はエル姉さんが帰って来る日! こんなことをしている場合じゃないなッ!!」
「!? ま、待ってぇぇぇ~」
アルドはリムを無視して、村の門まで向かう。今日はリムの家と反対側にある近所の姉さん。冒険者であり、18歳にして危険度Cの魔物を単独で狩るような人物である。
アルドはその強さに憧れて、エル姉さんが帰ってきたら、冒険の話を聞きに行っている。
今回はどんな話を聞かせてくれるのか、考えながら門に向かっていたら、ちょうど向こうから一つの人影が見えた。
「あ、エル姉さん!!」
「お、アルドじゃない」
アルドはエル姉さんの服が少し汚れていようが、構わずに腰へ抱きつくのだった。
「あははっ、元気にしていた? お土産話なら家に帰ってからね!」
「うん!」
それから遅れて、リムが二人の元へ着く。着いた瞬間にアルドの手を取り、エル姉さんへ嫉妬の視線を向けていた。
「あははっ、いつものようにリムから嫉妬されているね。冒険者に羨望や嫉妬の視線を向けられるのは常だが、私は何故、リムから嫉妬されているのだろう?」
アルドはエル姉さんに僅かな好意を持っているが、エル姉さんは冒険者として羨望されているとしか気付いてなかった。
エル姉さんは冒険者になった時から女を半ば捨てていた。リム程に可愛いと言えないし、髪の手入れも全くしていない。
だから、アルドから好意を持たれているわけでもないと思っていた。側には、自分より可愛い幼馴染みがいるのだから。
エル姉さんは一ヶ月一回に村へ帰っており、その度にアルドへ冒険の土産話を聞かせているが、いつもリムから嫉妬されていた。何故、エル姉さんは嫉妬されるのかわかっていなかった。
「今回はどんな話をしてくれるの!?」
「そうだね、詳しい話は家に帰ってから。タイトルにするなら、『ロックリトルドラゴンの使役』!」
「ロックリトルドラゴン!? 確か、危険度Bの魔物じゃないか!?」
名前にドラゴンが付いている魔物は、最低でも危険度がB以上。そんな魔物を使役をしたことは凄いことだ。因みに、危険度Bは帝国の騎士が5人で相手をして、互角。
「ロックリトルドラゴンは帝国に売ったから、手持ちにはいないから見せられないのは残念だけど。調教師のアゼルが一番残念がってたねー」
「え、何故、帝国に売ったの?」
「それはね、餌代とか飼う場所に困るからね。ドラゴンクラスは国に任せた方が一番なの」
「あー、なるほどね」
エル姉さんの家に着き、『ロックリトルドラゴンの使役』の話を聞かせてくれた。
エル姉さんはいつも組んでいるパーティの5人でロックリトルドラゴンに挑み、弱らせてからアゼルと言う男が使役に成功したのだ。
ロックリトルドラゴンを狙ったのは、稼ぎのためのもあるが、ロックリトルドラゴンに効きやすい水魔法を使える者がパーティに三人もいたのが一番の理由だ。
エル姉さんは槍と風魔法を得意にしており、水魔法を使う魔術師を守りきったのだ。水魔法で弱らせた後、アゼルと言う調教師が『テイム』のスキルを何回か掛けることで成功したという話。
他にも冒険話をしてくれたが、アルドにとってはドラゴンが一番印象が残った。
生きている内にドラゴンを一度だけは生で見てみたいと思った。
「僕もいつか、エル姉さんみたいにドラゴンとやってみたいな」
「あははっ、大きく出たわね。勇気と無謀は違うと理解していれば、生き残れるわ。これは冒険者の先輩からのアドバイスだからね」
「はい!」
「私もアルちゃんと一緒にやるの! ロックリトルドラゴンよりも大きいの倒して見せるの!」
「その時を楽しみにしているわ。私がドジってなければね」
冒険者は死に場所No. 1の職業であり、油断をすればあっという間に命を落としてしまう。
だが、この世界は冒険者の数は職業の中では一番多い。次に兵士や騎士となる。
魔物は繁殖が早く、魔物を減らし続けなければ、街や村に危険が迫るから冒険者や兵士に騎士の数が多いのだ。
「そういえば、エル姉さんはどうして冒険者になろうと思ったの?」
「あちゃー、それを聞くのね……」
「え、聞いちゃいけないことだったの?」
「いや、別に言ってもいいけど、恥ずかしいの。冒険者を目指そうと思った理由が」
エル姉さんはぽりぽりと頬を掻きながら話してくれた。
「アルドの年頃、私は結構やんちゃしていたの」
「大昔だけ? 今もそうでしょ……」
「そんなことを言う口はこれか~? って、大昔と言う程に歳を取ってないわよ!?」
「いたひ! ほはをうねらないでお!?」
今のはリムが悪いから放っておこうと思ったが、話の続きを聞きたいから止めてやる。
頬から手を離すと、リムはキッとエル姉さんを睨む。
「私を苛めていいのは、アルちゃんだけよ!!」
空気が固まった。エル姉さんはえっと~とリムにどう言えばいいかわからなかった。だから、代わりにアルドへ聞くことにした。
「…………アルド? 貴方はリムを調教でもしてるの?」
「んなわけないだろ!?」
「でも~、その言葉は……」
「わかってる。わかってるんだが……」
アルドもどう説明すればいいか、わからなかった。話に加われないことに頬を膨らませて、アルドの裾を引っ張っていた。
「アルちゃん~、私を無視しないで~」
「ウザッ」
「っ!? ハァ、ハァッハァッ……こ、この感触はーーーーーーーーイイ!!」
「勝手に新しい扉を開いてんじゃねぇよ!?」
またリムに新しい扉が開き、頬を赤くして息を荒くしていた。
なんだこれ? まだ8歳なのに、この残念さは…………。
「うわぁ、リムはもう戻れないみたいね。ご主人様? 調教を頑張るのよ?」
「もうご主人様と決められている!? こんな変態はお断りしたいんだが!?」
「もっと、もっと~~」
「ウゼェェェェェ!!」
このような雰囲気になり、エル姉さんが冒険者になった理由を聞くことが出来ず、この場を解散するのだった…………
感想と評価を待っていますねー。




