60.二度目の継承
はい、どうぞ!
ホタルの前には、水色の鎖で封印された扉。間違いなくその扉はホタルの目的である。
『なんで、階段の近くにあるんだよ!?』
「おそらく、鍵が必要な扉だからではありませんか? 鍵が無ければ、中に入れないので」
アルエルは封印された扉を見て、そんなことを言ってきた。その言葉でホタルは思い出す。
ホタルは鍵無しで封印を解除出来るが、他の人はそうではない。捕縛無効を持っていれば開けられるが、無効のスキルは珍しいとアルエルから聞いている。
「これが、封印ですか。高度で複雑な術式ですね……。意味がわからない内容が沢山あって、解読するよりは鍵を見つけた方が早いかな」
『そうか、行くぞ』
「はい、鍵を探すのですねーー」
パキッ、パキパキ!!
「えっ?」
ホタルは既に、扉へ前脚で触れており、鎖がボロボロになって崩れていく。
《ホタルは封印を解く条件を達してはいませんが、『捕縛無効』により、封印の破壊を成功致しました》
扉が開き、前のダンジョンと同じように吸い込まれる。ホタルだけではなく、側にいたアルエルも。
「えええぇぇぇぇーーーー!?」
ホタルはわかりきっていた展開に身を投ずるが、アルエルは理解が追いつかないまま、抵抗も出来ずに吸い込まれたのだった。
『起きろよ』
「う、うぅ?」
今回は気を失うこともなく、隣で倒れていたアルエルを起こす。
「こ、ここは……?」
『封印の間だ』
周りを見るが、台に何か浮いている物があるだけで、前と似た真っ白な部屋だった。
『あれが、封印されているスキルだ。アルエル、手に入れてこい』
「私がですか!?」
『そうだ。強くなってもらうには、継承者へなってもらうのが早い』
「いいのですか……?」
『構わない。俺は既に一つ持っているしな』
ホタルは戦力を強化させるために、今回はアルエルへ譲ることに決めた。渋るアルエルだったが、ホタルはお座りの形で頑と動こうとはしなかった。
「わかりましたよぅ……」
アルエルは諦めて、台座に向かっていく。台の上には、五本の棒が絡まっていて、人間の手の形みたいになっていた。
「これに触れればいいのかな……?」
アルエルはゆっくりと封印されていた物に触れようとするがーーーー
パチッ!!
「えっ!?」
もうすぐで触れるところだったが、電気が流れたような音を発して、弾かれたのだった。
そして、2人の頭に神のお言葉(笑)が流れる。
《封印を解除し者にしか、継承出来ない。そうでもない者は離れよ》
「は、はい」
アルエルは頭の中に流れてきた声に思わず、返事を返していた。先ほどの弾かれたのもあり、少々怖かったかもしれない。
「ホタル様~~」
『はぁ、わかったよ。次からは鍵を探さないと駄目だな』
涙目になりそうなアルエルを見て、溜息を吐くホタル。封印を解除した者にしか継承出来ないのは知らなかった。
もし、アルエルに継承させたいならホタルがやったようなズルではなく、鍵を探さないと駄目だろう。
『さて、どんな継承スキルを取得出来るんだろうか? 多分、俺は気を失うかもしれないが、放っておけ。わかったか?』
「え、大丈夫なんですか?」
『一度は経験済みだから、死ぬとかの心配はしなくても大丈夫だろう』
ホタルはそう言ってから、変な形をした物に触れる。
前は2本で出来ていたが、今回は5本か。何の意味があるかわからんが……
触れた瞬間に、前と同じように前脚から心臓へ熱を持った物が流れ込む。
うぐっ、やっぱり熱い!!
熱いが、前に経験したことがあるだけ、叫び声を上げなかった。アルエルに出来るだけ心配を掛けたくはなかったからだ。
《継承の儀を開始します》
《ホタルは継承の儀により、特殊進化致します。サイバディクスからサイバー・リトルヒューマへ特殊進化し、継承スキル『大天使の右手』を継承致しました》
は……?
リトルヒューマってーー、メタトロン!?
大天使の名前じゃなかったっけ!?
右手だけとか意味がわ、から……ん…………
《継承スキル『大天使の右手』により、『真・空間認識』を取得致しました。『魔力感知』、『危険察知』は『真・空間認識』へ統合されました》
まだ神のお言葉は続いたが、瞼が重くなり…………意識を失ったのだった。
ホタルは二つ目の継承スキルを手に入れました!!




