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49.皇女様③

本日二話目!

 


 第二皇女様は親衛隊を連れて、新しく見つけたダンジョンへ着いた所だった。馬車で一週間とは、凄さまじい距離だったが、たった今に着いたのだ。


「ふぅ、ここは帝国領ギリギリの所じゃない。他国が邪魔をする可能性もあるから、気を付けなさい」

「わかった~」

「だから、少しは敬語を使う努力ぐらいはして欲しいのですが」


 気楽に返事をするエムテムに呆れながら注意をするアーク。ダロムは馬車から荷物を取り出している所だ。アークは時空魔法で物を収納出来るが、食用を優先に収納して貰っているので、荷物を入れる余裕はないのだ。


「ティリア様! 長旅、お疲れ様です!!」

「あら、ここを監視している兵士達ね?」

「はっ! 今の所は異常なしであります!!」


 異常とは、他の国からこちらの領地に潜入してダンジョンを狙おうとする者もいる。それがないなら、僥倖ぎょうこうだ。


「よし、邪魔をされることもないわね…………あら?」


 マントに付けていた石が鳴り始めて、それを掴むと声が聞こえてくる。


「どうした?」

『異常が起こりました』


 石からはティリアの幼馴染であるメニアの声が聞こえてきた。

 この石は『双子通信石』と言って、始めはセットで見つかる。珍しい物であり、自然で生まれながらも通信機能が付いた希少な石だ。ティリアとメニアのセットになっており、遠くにいても会話が出来ているのだ。


「異常だと? 他の国が攻めてきたのか!?」

『いえ、国程の規模ではありません。異常は二つあり、放って置いたダンジョンにて、二人の兵士が殺されました』

「!? ダンジョンは!?」


 放って置いたダンジョンとは、クリア出来なかったダンジョンのことだ。そこを襲われたと。


『おそらく、大丈夫でしょう。兵士が殺されたのは、人間の仕業ではなく、魔物の仕業ですから。ただ、おかしな事が一つだけあります』

「おかしな事だと?」

『はい。その場に残っていた魂に聞いてみた通りでは、その魔物はダンジョンから現れたと』

「は? そんなことが……?」


 出来るわけがない、と言葉が続かなかった。メニアは魂と会話が出来る。ただ、記憶が所々と虫食いのように消えてしまっているから、正確な情報を手に入れるのは難しいが、魂が嘘を言うことはない。

 つまり、兵士をやった魔物はダンジョンから現れたということ…………


「チッ、まだ二つ目もあったな?」

『はい。学園が襲われました。学園の四分の一が放火により、崩壊して死者も多数出ています』

「なっ!? 犯人は誰かわかっているのか! それとも、もう捕まえているのか!!」


 ティリアの驚愕と怒りが、周りにいた兵士や親衛隊を驚かせる。


『犯人はわかっていますが、逃げられています。犯人はあの大犯罪者の妹であるアルエル・ゼリア』

「ゼリア…………、ヘラ・ゼリアか。妹のアルエルだと? 魔法の才能がなく、落ちこぼれだと覚えがあるんだが?」

『はい、そうでしたが…………、そのアルエルに手を貸した者がいて、普通の魔術師ではあり得ないぐらいに強い魔法を使っていたとか』

「ふむ……、魔人か?」


 ティリアが考えられることは、アルエルに力を渡して、帝国を襲わせることが出来るのは魔人しか思いつかない。帝国にいる物はほとんどがアルエルを嫌っているから、人間から手を貸すことはない。

 少数は嫌っていないかもしれないが、可能性は低い。

 だが、それは覆られてしまう。


『いえ。魔人ではなかったようです。二人の教師がアルエルと戦っていたので、証人として話を聞きました』

「それで?」

『アルエルは心臓を突き刺された後、現れた者がいたのです。それが…………サイバー系の魔物だったと』

「…………は? 魔物がぁ?」


 ティリアがそう言うのも仕方がないだろう。常識では、魔物は知性なきの獣と変わらないのだ。

 だが、その魔物がアルエルを助けに来て、逃げ去ったようで、ティリアはわけがわからなくなる。


「どういう事……? 魔物がアルエルを惑わして、学園を襲わせたというの?」

『はっきりと判断は出来ませんが、その可能性が高いでしょう』

「一体、何が起こっているのよ……?」

『あと、証人からの言葉ですが、サイバー系の魔物だったのに、周りに黒い霧を展開させて逃げ果せた。それに、ただの黒い霧ではなく、危険を感じたと』

「黒い霧に、危険を感じた? 確かに、サイバー系の魔物が使うような技ではないわね。つまり、その魔物は普通ではない……と言いたいよね?」

『はい。恐らく、知性があり画策を建てれる程に頭が良いと思います。目的はわかりませんが、連れ去ったアルエルは心臓を貫いたといっても、まだ生きていると考えたほうがよろしいかと』


 ホタルはそこまで考えてアルエルを街に帰したつもりはなかったが、メニアは普通の魔物ではないと考えていた。


「……そう。学園が襲われたなら一度はそっちに帰らないと駄目ね。皆も、ダンジョン探索は中止よ!! 兵士達は警戒と監視を続けよ!!」

「「「はっ!!」」」

「せっかく、ここまで来たのに帰るのかよ……」

「そうだねぇ」

「二人とも、帝国が襲われたのだから、一度は確認しておかなければならないだろう。さっさと、荷物を馬車に積みなさい!」


 アークが二人に指示を出して、さっさと出れるように準備を進めていく。


「今から帰るわ。あと一週間は留守を頼んだわよ?」

『はい、お任せください』


 通信が切れ、ティリア達は一度、帝国へ帰ることになった…………






次はホタル視点に戻ります!

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