44.ポンコツ
はい、お待たせ!!
今のアルエルは、キリッとした敬礼を見せていた。さらに、軍人ごとくに強い返事を返せるようになった。初めの気抜けた敬礼にふにゃふにゃしたような返事から想像出来ないぐらいだった。
『よし、まず体力を見たい。腹筋を20回やって見せよ!!』
「イエッサー!!」
ホタルに脚を抑えてもらい、腹筋をしようとする。まず、一回と起き上がろうとしたがーーーーーーーー
「ふふぬー、ふふん!!」
『少ししか上がってねぇぞ! 気合を入れやがれ!!』
「うにゅにゅ~~~~~~~~ごぶぇっ!?」
少しずつ上がって来たが、力の限界が来たのか、変な音を出して元に戻ってしまった。
『おいおい、一回も出来ないとか』
「し、しゅいません……」
もう起き上がれなく、力なく仰向けに倒れたままだ。それ以上、腹筋をさせても無駄だとわかったホタルは、別のことをやらせた。
『次は、腕立てだ!! 20……は無理か。なら、5回は達成してみせよ!!』
「い、イエッサーッ!!」
腹に力を込めない方法で起き上がりながら、腕立ての構えになる。
『さぁ、始めろ!!』
「ぬぬぬぬぬーーーーーーーーごぁっ!?」
『腕立てもかよ……』
同じく、腕が立たずに力無く伏せてしまった。その時に顎を打ち付けていた。痛みに涙が出そうになっているアルエルを見て、腕立ても中止にした。
『……次は走るぐらいならできるだろ?』
「い、イエッサー……」
走るだけなら、出来るだろうと森の中を一緒に走っていく。邪魔な魔物は疾風だけで排除していく。
『ちゃんと、俺にーーーー』
着いてこいと言うつもりだったが、アルエルが真っ青な顔でぜぇぜぇと荒い息を吐いていた。すぐに倒れそうな程に危ない状態だった。
『おいおい、まだ500メートルも走ってねぇぞ!? どんだけ、ポンコツなんだよ!?』
「はぁぜぇぜ…………(ポンコツ……)」
余りにも体力が無さすぎた。これでホタルに着いていこうと考えたなと呆れていた。アルエルは荒い息を吐きながらも、ポンコツと言われたことに落ち込んでいた。
まさか、ここまで駄目とは思わなかったぞ……。
どうする?
アルエルは魔法の才能がないと知り、前から図書館でずっと本に向き合っていた分だけ、体力が他の人よりも低いのだ。
『はぁ、少し休憩だ』
「イエッ、サー」
弱々しい声ながらも、きちんと返事を返す。ホタルは余りにも低すぎる体力に驚いたが、本来のアルエルは魔法を使った戦いに合ったステータスをしているのだ。
『息は整ったか?』
「イエッサー!」
『まだ座ったままでいい。体力に関することは後回しだ。今は、魔法のことだ』
「魔法ですか、でも術式が……」
『それはわかっている。だから、その原因を探すんだよ。流石に、勝手に壊れるのはおかしいだろ?』
「イエッサー、確かにそうですが……」
アルエルも今まで自分でなんとか出来ないか、調べたり試したりもした。だが、結果はゼロだ。
「鑑定を持っている教師に、鑑定をして貰いましたが、何もおかしな所はないと言っていましたが……」
『ふん、俺は鑑定の上位版、解析を持っているぞ。解析を使えば、鑑定でわからなかった所がわかるようになるかもしれんぞ?』
「あ、そうか!!」
ホタルが解析を持っているのを思い出したようだ。鑑定はステータスを見れるけど、そのステータスの詳細を見ることは出来ないのだ。解析ならば、二重鑑定のようにスキルの効果とかを知ることが出来る。
早速、ホタルはアルエルのステータスを確認してみた。
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アルエル・ゼリア
レベル3
HP:31/31
MP:21/21
SP:24/24
物攻 12
物守 10
魔攻 31
魔守 11
速度 18
スキル
〈上級〉
〈中級〉
『昇華』
〈下級〉
『危険察知Lv5』、『気配操作Lv1』、『火魔法Lv2』、『風魔法Lv3』、『土魔法Lv1』、『魔力操作Lv8』、『魔力感知Lv6』、『痛覚耐性Lv1』
称号
『大犯罪者の妹』、『大魔術師の素質』
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なんというか……、この前も見たが信じられねぇ。
なんだよ、この『大魔術師の素質』はよ?
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大魔術師の素質
大魔術師になる才能を持つ者に送られる称号。効果:『魔力操作Lv5』、『昇華』
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『おい、教師の鑑定で何処まで見れていたんだよ?』
「スキルまででした」
『なるほど。これを見ていたら放っておく理由が見当たらんしな……』
「え、何を?」
アルエルもこの称号は知らないようだ。それに、『昇華』のスキルも気になった。
スキルの詳細を調べてみたらーーーー
『これのせいだったのか』
ホタルはアルエルが上手く魔法を発動出来ない理由がわかったのだった。




