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38.ある少女の件

本日二話目!

今回はある少女の話になります。

 



 何処かの森、一人の少女は仰向けに倒れていた。怪我は擦り傷だけだが、息を荒くして空気を求めていた。

 その少女を狙うようにゆっくりと歩き出す熊の魔物。危険度はCで、兵士が三人ぐらいでようやく相手になる魔物だ。ベアーズは口から涎を垂らしながら近づいていく。

 少女はベアーズに会ってしまったことが、運の尽きだ。少女にはパーティと言う仲間がいたが、皆から一致で少女が囮として選ばれて、見捨てられた。

 少女はわかっていた。危険な魔物に出会ったら、囮にされて見捨てられると。


 少女は涙を流すが、ベアーズが止まってくれるわけでもない。少女は自分の人生に楽しい思い出はあまりない。

 人生が狂ったのは、ある事件が起きてからだ。それに少女は巻き込まれただけ。

 何故、こうなってしまったのか?

 少しの時間が巻き戻る…………





 ーーーーーーーーーーーーーーーー






 ダーヴィン帝国。


 他の国にはない世界一の魔法都市学園がある。

 未成年の学生が世界中の友好国から入学する程の巨大な学園、それが魔法都市学園。

 そこに通う少女の話となる。その少女はアルエル・ゼリアと呼ぶ。

 ある事情を持ち、嫌われ者となっていた。ある者は恨んでもいた。

 それは、ある事件が起因になる。




『魔女審判の事件』




 その事件を起こしたのは、アルエルの姉。惨たらしい事件で、事が起こった後はアルエル以外の家族は処刑され、姉であるヘラは行方不明になり、今は何処にいるかまだわかってなくて、指名手配となっている程の犯罪者だ。

 アルエルはその時、まだ小さかったから処刑から逃れて、親族である貴族に引き取られた。


 だが、その事件の悍ましさがアルエルへの人生を狂わせる。


 その事件を起こした妹だとわかると、石を投げられて酷い時は魔法で攻撃されたこともある。

 それから守ってくれた者はいない。引き取られた親族にさえもだ。祟るもの触りなしというように、深く関わることもなかった。


 規則として学園に入ったのはいいが、何処も同じだった。生徒からの虐め、悪戯、教師に頼っても相手にされない。

 一応、怒ってくれるが、表面的な謝罪だけで終わらせてしまう。その後も虐めは続いた。それどころか、酷くなる始末だった。


 ここには、アルエルの居場所はなかった。


 せめて、勉学や魔法学を努力して自分の居場所を勝ち取ろうと努力したが…………


 魔法が絶望的だった。何故か、術式を作ろうとしても、途中で壊れてしまうし、悪い時は暴発してしまうのだ。

 この世界では、勉学が出来ても生き残れない。勉学だけできる者と勉学、魔法学の両方ができる者でどっちを選ぶか聞かれたら、確実に後者だろう。


 少女はこんな人生が嫌になっていた。


 そんな心情になっていた時、実戦訓練がある日になった。それぞれがパーティになる仲間と組んでいる中、やはり少女は一人だけだった。

 それを見た教師が空いているパーティに無理矢理入れてくれたが、そのパーティはいつも虐めに加担していた者ばかりだった。


「チッ、お前は魔法を使えないんだろ? だったら、足手纏いにならないようにずっと荷物でも運んでいろ!!」


 パーティのリーダーは、戦力にならないアルエルは荷物持ちだと指名した。アルエルは虐めよりマシなので、大人しく従った。

 パーティを組んだ人達は、帝国領にある森の中へ進んでいく。

 アルエルが入っているパーティは学園の中でも20位以内に位置する者が一人だけいた。その人とあと二人の連携によって、現れた魔物を葬っていく。

 ここにいる魔物は危険度Cが最高で、森の奥に行かなければ、初心者に優しいレベルだったが…………




「なっ!? 浅い森にベアーズがいるとは聞いてねぇぞ!!」


 向こうには、危険度Cの魔物、ベアーズがこっちへ向かってくるように歩いていた。このパーティには危険度Cの魔物を倒す実力はない。

 危険度は強い順からSSSからFまであるが、このパーティはEまでの魔物にしか勝てない。


「お前! 囮になりやがれ!!」

「そうだ! 役に立ちたいなら、今に役に立ちやがれ!!」

「行きなさい。見届けてあげるわ」


 アルエルも怖かった。だが、反論しても無駄だと理解しているので、小さく頷いた。

 それを見た三人は笑顔になり、それぞれの荷物をアルエルから奪い、逃げ出した。

 残されたアルエルは、脚が震える程に怖かったが、動かないと殺されるのをわかっているので、石を投げて注意を引いた。


 グォォォォォーー!!

「ひぃっ」


 脚が竦むけど、無理矢理に脚を動かして、森の奥へと走り出した。それを追うベアーズ。

 必死に走った。アルエルは運動が得意ではないけど、生きるのに必死なのか、いつもより早く走れたような気がした。

 だが、それでもベアーズの方が早い。障害物を使って、姿を見失わせたり道の邪魔をするように走っていたが…………




 グォォォォォガァァァァァァーー!!





 咆哮により、衝撃波が障害物ごとアルエルに襲いかかった。障害物が飛んでくる中、アルエルは地面を転がって運良く避けられた。

 息が切れそうで苦しかったが、すぐに起き上がって脚を必死に動かした。


 生きるために。死にたくない。


 そんな思いで走り続けたが、終わりが来た。




 グォォォォォガァァァァァァーー!!




 また咆哮で吹き飛ばされて、地面に転がる。仰向けで、木々に囲まれた青空を映しながら、倒れていた。



 もぅ、動けない……。



 起きようとしても、身体が動いてくれない。ベアーズは仕留めたと思ったのか、ゆっくりと歩いている。


 少女はもう死ぬだと理解され、涙が出る。今までの人生は最低だった。だけど、死ぬのは怖かった。

 まだまだ生きたい、生きたいと願いながら、近づいてくるベアーズを瞳に映していた。



 死にたくない、死にたくないと眼を瞑っていたら、その願いが届いたのかーーーー




 ジャリッと小さな音が聞こえた。




 少女はまさか、教師に助けを求めて呼んでくれたかと希望が浮かんだ。だが、違った。

 そこにいたのは、ベアーズとは別の魔物。珍しい種族にして、サイバー系のサイバディクス。




 ホタルがそこに立っていたのだった…………






少女の話は終わり、次からはホタルの視点に戻ります。

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