35.勇者の誕生
本日二話目!
今回はホタルが休み中なので、別の話を挟んじゃいます!!
では、どうぞー。
ホタルが産まれた年から、十数年前。
帝国領内に一人の勇者が産まれた。
しかし、この世界では勇者の称号はそれ程に重要ではない。それは何故なのか?
その称号を持っている者よりも、継承者の方が強いからだ。
継承者とは、ダンジョンという危険へ身を投じて、経験を積んで死線を越えてーーーー継承スキルと言う最強のスキルを手に入るからだ。
そんな、『勇者』の称号を持って帝国領内に生まれたのだったーーーー
ジェムア村
勇者の称号を持つ男が産まれ、数週間後のこと。
その者はジェムア村のダイム領主の元で産まれ、アルド・ダイムと名付けられた。アルドは金髪青目の男の子である。
ジェムア村は領主が良いのか、何もトラブルがなくていい村だ。たまに魔物が襲ってくるが、兵士や警備隊は優秀で大きな被害は全く出ることはない。
そんな村にて、勇者として産まれたまだ赤ん坊はベッドで苦悩していた。
苦悩? どうして苦悩しているのか?
それが明かされることにーーーー
な、なんだよ!?
この状況はよ!!
赤ん坊らしくない思考で、今の状況を理解出来てはいなかった。
アルドにしたら、眼を覚ましたら赤ん坊になっていたのが不可解だったのだ。
つまり…………
待てよ、俺らはあの女に召喚され…………そこまで思い出せん!!
あの女が何かをしやがったのか!? また会ったら問い詰めてやらぁぁぁぁぁ!!
そう、アルドはホタルの様に前世の記憶を持っていた。それは、ティリアにも想像してなかったことだろう。二人も前世の記憶を持って、この世界に産まれたのだから。
このアルドは前世では、不良をやっていた男で所々と言葉が汚い。
殺されたまでは記憶がないようだが、何かされたのは理解しているようで、怒り狂っていた。
っと、今は赤ん坊か。
成長を待たないと駄目なのか……?
そこまで考えていたら、母親らしきの女性が入ってきた。
「はーい、アルドちゃん。起きているわね」
ゲッ……
「そろそろ、おっぱいの時間よ。一杯吸って、大きくなってね」
うおぉぉぉぉぉっ…………、こ、これは食事だっ!! 食事だ!!
「あん、くすぐったいわよ。ゆっくり吸ってね」
う、うむ……、慣れねえな……。
恥ずかしながらも、母親の女性に従って、おっぱいを吸っていく。母親は言葉が伝わったことから、頭が良いのねとアルドを疑わずに可愛がるのだった。
アルドは天国か地獄かわからない状況に耐えながら、成長のためにおっぱいを吸っていく。
母親の言葉が日本語だったことに疑問を持っていたが、元不良であったアルドは深く考えてもわからないので考えるのやめたのだった。そんなもんだから、そんなものだろうと…………
そして、五年が経った。
これだけの年月が経てば、この世界が異世界で剣や魔法がある世界だと理解している。
魔法が使えると聞いた時はワクワクしたものだ。不良であったが、その知識は全くないとはなかった。
中学生だった頃は魔法が使えるようになりたかった時もあった。それが、今になって使えるようになった。
「”水球”!」
庭にて、アルドは母親と一緒に魔術の修行をしていた。的に向かって水魔法を使う。
「うん、そうよ。術式は丁寧に練りこめば、魔力の消費も減って暴発しなくなるわ。アルドは凄いわねぇ」
「いえ、お母様に教えて貰えたので、出来ただけです」
「あらあら、謙虚ねぇ。普通はこの歳では、魔力が足りなくて魔術の修行は出来ないわよ。あと、術式への理解もなかなか出来ないからね」
その両方をクリアしているアルドは家族だけではなく、近所からも神童と呼ばれている。
アルドにしたら、魔力の量は勇者の称号のお陰で、術式への理解は、前世の記憶を持っていたから、大人と変わらない思考を持ったお陰であるため、素直に喜べなかった。
だけど、自分が頑張れば家族に喜んでくれるのが嬉しく思った。
もっと頑張らねぇとな。
さっき、スキルレベルが上がったし、確認しておくかーーーー
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アルド・ダイム
Lv1
HP 8/8
MP 86/86
SP 7/7
物攻 5
物防 3
魔攻 53
魔防 47
俊敏 7
スキル
〈上級〉
『輝光無効』
〈中級〉
『瞑想Lv8』
〈下級〉
『鑑定Lv8』、『魔力操作Lv7』、『魔力感知Lv8』、『光魔法Lv2』、『土魔法Lv1』、『水魔法Lv2』、『念話』
称号
『勇者』
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ふむ、確かに五歳でこのステータスはおかしいよな。アイツのステータスを見たんだが、魔攻と魔防のとこが離れてーーーー
アルドがそこまで考えていた時、門から声を上げて、こっちに向かってくる者がいた。
「ゲッ」
「こらっ、来てくれている女の子に言う言葉じゃないよね?」
「あ、はい。でも…………」
「アルちゃん!!」
アルドに抱きつくのは、同じ歳である近所の女の子。その女の子はリムと言って、何故かアルドに懐いている。
そのアルドはリムを苦手にしていた。何故なら…………
「私とけっこんして!」
「やだよ!? 何回、これを繰り返せばいいんだよ……」
いつも出会うと、必ず結婚を申し込んでくる変な女の子なのだ。いつもその調子で絡んでくるから、アルドは苦手になったのだ。
リムはエルフ族で容姿はとても良い。だが、アルドはロリコンではないので煩い女の子としか見てなかった。
「あらあら、焼けるわね。でも、結婚はまだ駄目よ? アルドちゃんに相応しい女性にならないと」
「ぶー、なるもん!」
「ふふっ、将来が楽しみね?」
「僕に聞かないでよ……」
疲れたような顔をするアルドだが、今は皆にまだ勇者だと知られずに、平和の日々を過ごしていたのだった…………
勇者の話でしたー。
どう成長していくか、ちょくちょくと挟んでいきたいと思いますー。




