32.3階層の主①
本日三話目!
フードに隠れていた顔が現れ、そこには黒い髑髏が浮いていて、目には炎のような光が灯っていた。だが、身体は顔と違って、黒い霧のようにゆらゆらと揺れていた。
手には高温の炎が灯ったカンテラ。
ホタルはすぐに悟った。3階層の中でも上位に入る化け物だと。
解析の結果はーーーー
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死霊ダクスエル
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っ!
名前しか見えない、キングスゴキアよりも格上だな……。
レベルが見えた分だけ、キングスゴキアの方が弱かったのだろう。とりあえず、ホタルは逃げたかった。だが、もう捕捉されていて、強制イベントのように逃げられない。
うぅっ、ボスっぽい奴が出てくるなんて、運がない。
ってか、ボスじゃないよね? 勝てるとは思えないんだが!?
死霊と出ていた辺りから、幽霊だから病気にならなそうだなーと思いながら、どうやって退けるか考えていた。だが、その時間を与えるつもりはないようで、カンテラの炎が激しく燃えだした。
アァァァァィアアァァーー!!
カンテラから炎の礫を撒き散らして攻撃してくる。ホタルは心の中で舌打ちをし、炎の礫をさける。ついでに、純回路も発動しておいた。
疾風は効かないだろうから、こっちの手札は雷獣のスキルと拾った銀の短剣だけ。
麻痺に出来るかわからんが、試すか!!
まず、炎の礫を避けながら雷脚で瞬発力を上げる。その効果は数秒しか続かないが、近付く分には数秒だけあれば充分。短剣を捨てて、鋭くなった牙を見せつけるように口を開く。
雷牙ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
パリッと噛み付いたが、それは空振りに終わる。身体を狙っていたが、やはり透けてしまうようだ。
今度は死霊ダクスエルの番だと言うように、術式を構築していた。構築に一秒は掛かってなかった。
影魔法、『影写』
影から死霊ダクスエルの偽物が何体も現れてきた。すぐに解析で偽物の死霊ダクスエルを調べたら、全員のステータスが1しかなかった。
攻撃のために作成したのではなく…………
全員がデタラメに動き回り、カンテラから炎の礫を撃ち出してくる。偽物が発動した炎の礫は当たっても、痛くはないが、どれか本物の発動した炎の礫が混じっている。
どれが本物かわからなくなっているので、全てを当てさせるにはいかない。
疾風でーー囲む!!
雷の迎撃に成功しているなら、炎の礫も迎撃出来ると考え、薄い膜のように黒い霧を自分の周りを回していく。 今の疾風はスキルレベルがまだ低くて、前へ放出しか出来なかった時と違って、僅かな時間なら操ることが出来るようになった。
ボッ、ボツ、ボッ…………ドォッ!!
偽物の炎の礫は疾風に弾かれ、本物のは疾風と相打ちしたようで、黒い霧の膜に穴が空いたような感じになっていた。
やっぱり、偽物の攻撃は弱い!
更に疾風!!
普通にダメージを与えられる疾風でHPも1しかない偽物を片付けていく。ついでに本物にも当たったが、状態異常にかかっている様子はなかった。
チッ、『病苦無効』を持っているのは確実だな!
死霊ダクスエルはカンテラを天へ向けて、炎の礫よりも強い炎の球がいくつも出てくる。叫び声と同時に炎の球が落ちてくる。
この威力では、普通にぶつけるならともかく、薄い膜のように張られている疾風では突き抜けてしまうのが見えていた。
スピードは礫程ではなかったので、迎撃するより動いて避けた方がいい。
雷砲!
唯一、本体がありそうな場所、黒い髑髏へ向けて雷砲を当てた。だが、その攻撃はカンテラで防御されていた。ホタルはよし! とカンテラは帯電し続け、隅にあった大きな岩に雷砲をぶつけた。
そしてーーーー
ァアァァアアィ!?
引っ張られるようにカンテラが磁力で岩の方へ向かう。引っ張ってなんとか戻そうとするが、力が弱いため磁力の方が勝っていた。
死霊ダクスエルはカンテラを持ったままだと不利だと悟り、すぐに離していた。
チャンスだ!!
今までの攻撃はほとんどカンテラに頼った炎による物だったから、カンテラを持ってない死霊ダクスエルの実力は半減したようなものだ。
そう思っていた。
グハァ、グゥッーー!?
な、何が!?
ホタルは腹から衝撃を受け、地面を転がった。何が起きたのか、すぐに理解は出来なかったが、死霊ダクスエルの手を見ると…………
手がない?
いや、手がないのは元からだが、黒い霧みたいな物が手の形をしていたが、今はない……?
おかしなとこを見つけたホタル。今の死霊ダクスエルは手の形をしていた何かがなかったのである…………
ストックが切れたので、これからは書いたら載せることになります。
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