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115.三つ目のダンジョン




 準備を終え、ホタル達はダンジョンの前にいた。街から一日掛かる距離だったが、ホタル達のメンバーは魔人が三人と獣人が一人。高いステータスを持っていたので、半日で着いていた。


「さて、昨日に説明したが、一階層は暗いから眼が効かない。それだけでも大変なのに、魔物の殆どは『迷彩』や気配を消すスキルを持っている」

「だから、お前なんだろ? 任せたぞ」


 一階層で戦うのは、全てダルグエアに任せる。そう、最初から決めていた。ダルグエアが前を歩き、ホタル達はカンテラを持って、後ろから着いていくだけ。


「二階層からは――――お前らがやるんだぞ?」

「わかっているさ。お前は二階層で待っているんだろ?」

「ああ、待つのは三日だけだ。三日過ぎても上がってこなかったら、死んだと判断して先に帰るぞ」


 ダルグエアとの協力は一階層だけで、帰りも一階層をとおる必要があるので、二階層でホタル達が攻略するまで待つ。だが、期限は三日間だけ。三日を過ぎたら、ダルグエアは皆が死んだと判断して、帰る。


「メルエダ隊長であっても、三階層でリタイアしたから攻略できるとは思えんが、三日は待ってやるよ」

「あぁ。一階層は真っ暗の迷路で二階層、三階層は一つの部屋だったな。あとは知らないと」

「そうだ。三階層にいる化物を倒さないと先に進めないからな。もし、勝てないとわかったら、すぐ二階層へ逃げろ。そうすれば、襲い掛かってこないとメルエダ隊長から聞いている」


 獣人達もダンジョン攻略に挑んでいたが、誰も三階層で行き詰っていた。あの強いメルエダ隊長であってもだ。クリア出来ないダンジョンだったが、魔物が外へ出てくることもなく、危険ではなかったので今まで放っておかれていた訳だ。

 ダルグエアとの協力は一階層だけなのは残念だったが、最下層に着いたことを考えれば、継承スキルのことを知られたくないホタルにとっては、都合のよいことだった。


「行くぞ」











 ダルグエアの後を着いて行き、『真・空間認識』を持っても、真っ暗で見えにくく歩きにくいのはストレスが溜まるかと思うホタルだったが、戦いに加わる必要が無かったのは助かった。

 ダルグエアによると、今まで出てきた魔物は、蝙蝠みたいな魔物、迷彩を使うトカゲ、全身が黒いべディゴキアなどもいたようだ。




……えっ、ベディゴキアもいたの? いたなら、くれよと言えば良かった……。ベディゴキアのことは残念だったが、気配を掴みにくい面倒な魔物は任せられるだけはマシか。


 ホタル達は一度も戦わずに、ダルグエアの後を着いていくだけで、三時間の時間で一階層をクリアした。階段を降りると、ポツポツと光る石が現れるようになり、視界はある程度良好になってきた。


「このドアを開けば、二階層だ。俺はこの階段で待っているぞ」

「おう、助かったぞ」


 『真・空間認識』を持っているホタルなら、『迷彩』を持つ面倒な魔物であっても、戦うことは出来たのだろう。だが、無傷でアルエルとエルメスを守りながら進むのは難しかっただろう。

 次は二階層になるが、一体だけの魔物しかおらず、門番のように勝たなければ進めないようになっているようだ。


「昨日に言ったが、二階層にいる魔物はバシリスクだ。石化の攻撃をしてくるから、気を付けろよ?」

「一応効いておくが、『石化』も状態異常になるのか?」

「そうだな。薬を飲めば、治るから状態異常になるな」


 『石化』も状態異常になるので、『状態異常無効』を持っているホタルとエルメスには効かないだろう。だが、攻撃力は高いのでまともに攻撃を受けないように気を付けなければならない。


「アルエル、攻撃をしてもいいが、石化のブレスを吐き出してきたら、離れろ。薬はあるといえ、石化した後に攻撃をされたら死んでしまうからな」

「イエッサー。私は少し距離を取って、魔法を放っています」


 ここからは、ダルグエアと別れて、ホタル達の出番になる。階段のすぐにある扉を開き、二階層になる部屋へ降り立つ。部屋の中心には石化のブレスを吐くバシリスクがいた。見た目はニワトリに似ていたが、喉にある袋が膨らんでおり、尻尾が長く伸びていた。



―――――――――――――――


バシリスク

 Lv22


 HP1168/1168


―――――――――――――――



 強さは戦ったキングスゴキアよりレベルが低いと言え、HPは結構多い方だ。『解析』でこれしか見えなかったことから、強者であることは間違いないようだ。


「喰らいやがれ!」


 先手必勝と言う様に、『黒死点』をバシリスクに放ったが、石化ブレスで迎撃をされ、攻撃は通らなかった。


「そう簡単に終わらないか!」

「“火炎獅子”! 両端から攻めろ!!」


 石化ブレスは連射出来ないと考え、アルエルは“火炎獅子”をバシリスクの両端から襲うようにと指示を出していた。だが、バシリスクは石化ブレスだけの魔物ではない。


「コケェェェェェェ!!」

「風魔法か!?」


 羽をはばたくと、両端から襲ってきた“火炎獅子”を一度の攻撃だけで切り裂かれていた。


「あ、それは旋風魔法の“連空斬”だよ~」


 旋風魔法を持っているエルメスが教えてくれた。風魔法だと思っていたが、その上位の旋風魔法を持っていたようだ。バシリスクが使った魔法は、Lv1の魔法だが、まだ他を使える可能性もあるので、見極める必要もある。

 まだ二階層なのに、旋風魔法を使える強い魔物が出てくることに難易度が前にクリアしたダンジョンと違うなと思うホタルであった――――









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