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105.懐かしきのアレ

はい、続きをどうぞ!

 





「嫌です!!」






 アルエルからそんな言葉が放たれる。主であるホタルを差し置いてだ。


「やはり、女性には厳しい要件だったか」

「当たり前です! そんなお手伝いなんて、絶対にやりたくはありません!!」


 アルエルはどうしてもやりたくはないようだ。

 ほとんどの女性が嫌がると言う、お手伝いの内容はなんなのか?

 ちなみに、ホタルはヤル気満々である。


「俺はいいぞ。というか、やらせろよ」

「正気なんですか!? アレを自分から…………」

「ワシも同じ感想だな。男性でも自らやりたがる奴なんて、珍しいぞ」


 男性であっても、嫌がる人もいるようだ。だが、ホタルは頼まれなくてもやり遂げるつもりだ。

 そのお手伝いの内容とはーーーー






「どうか、お前達の力を貸してくれ。繁殖期にあるーーーーーーーーベディゴキア討伐を!!」

「嫌です!! 二度と言いますが、絶ッッッッッ対に嫌ですーーーー!!」


 アルエルが嫌がる理由がわかっただろう。そう、今回の討伐対象が懐かしきの黒いGである。

 前例から言えば、ベディゴキアが多いらしい。三つ頭を持つでかい黒いGが森全体を黒く染めてしまう程の数で攻めてくるのだ。

 ベディゴキア達の上にいる魔物、キングスゴキアに……ホタルは出会ったことはないが、クイーンゴキアが現れる可能性があるという。

 ベディゴキアは一対一なら負けることはないが、数がとても多くて危険度BランクとAランクであるキングスゴキアやクイーンゴキアまでも現れるなら、相手が魔人でも手を借りたいぐらいだ。

 その嘆願に、ホタルは当然と言うようにーーーー




「参加すると言っているんだから、参加するんだ!!」

「なんでですか!?」

「美味いからだ!!」


 ホタルはベディゴキアを食べたことがあり、とても甘くてクリーミーな味わいがあった。ぜひ、また食べたいのでベディゴキア討伐に参加するつもりだ。

 アルエルは顔を青くしていて、食べる所を想像していたのか、咄嗟に口を抑えていた。


「美味しいの~?」

「あぁ、甘くて美味しいぞ。倒してみたら、食べてみるといいぞ」

「んー、うん!」


 エルメスは、回帰で記憶がなくなっていて、ベディゴキアがどんなのかも忘れている。だから、あっさりとホタルの言葉に頷く。


「…………魔人は虫系だろうが、何でも食べる習慣でもあるのか?」

「い、いえ、わかりませんが…………虫系の魔物は食べないと思います。普通なら」


 どうやら、虫系の魔物という理由で口にしない者が圧倒的に多いようだ。ホタルもあの時に一口でも食べてなかったら、また食べたいとは思わなかっただろう。

 今すぐにお手伝いとはいかないだろうと思い、宿を紹介して貰おうと考えていた所に、伝令役の獣人が慌てた様子で王の間へ入ってきた。


「何事だッ! 今は客が訪問しているのだぞ!?」

「き、緊急時です!!」

「む?」


 大臣が勝手に王の間へ入っていたことに怒鳴っていたが、緊急時だと聞き、まだ客がいるといえ聞き逃すことは出来なかった。続きを促してみると…………




「ベディゴキア達が動き、此方へ向かっています!!」

「何だと、予想していたよりも早い! 兵士達に準備をしろと伝えよ!!」

「はっ!」


 伝令役はすぐに王の間から出て行き、兵士の駐屯地へ向かって行った。大臣はタイガルド王へ礼をして、会議のために兵士達を連れて抜け出す。

 王の間に残ったのは、タイガルド王と少数の兵士達にホタルらだけ。




「すまないが早速、討伐の手伝いをして貰うぞ」

「構わんぞ。一番前で奴らを弱らせてやるから、お前達が後から倒せばいい。だが、死体は残せよ?」

「弱らせるだと? 何をするかわからんが、好きなのように動いてくれても構わない。ワシは最終防衛として、門の近くで待ち構えておる。何かあれば、そこへ来てくれ」

「了解した。アルエル、エルメス行くぞ!」

「い、イエッサー……」

「はーい」


 アルエルは嫌そうだが、ホタルの命令には断れない。戦いたくないが、断ってホタルに嫌われるのも嫌だ。覚悟を決め、ホタルへ着いて行く。エルメスはどんな味か想像しながらヨダレを垂らしていた。

 ずっとエルメスと一緒にいて、わかったことがある。エルメスはとてもなくグルメに興味を持っていたことだ。

 知らない食べ物やホタルが美味しいと言う食べ物を食べてみたいと思うことが増えていた。今回は虫系だけはわかっているが、ホタルがあれだけ美味いというから、ワクワクしていた。


 城から戦いの場になる森へ近道をするために、城の頂上へ向かっていく。




「ほぅ……」

「うぐっ!?」

「わぁー、沢山だー」


 頂上まで上がると、見晴らしの良い場所に出て、街の向こうが見えた。

 黒く染まった森に草原が動いているように見えていて、これはちょっとキモいなーとホタルもそう思うのだった。




「嫌ぁ、キモすぎる……」

「あ、火魔法は禁止な」

「なんでですか!?」


 得意魔法である火魔法を禁止にされて、涙目で問い詰める。少し考えればわかるのだが、アルエルは目に映る景色に冷静になれていないようだ。


「死体が残るわけないだろ。お前の魔法は他よりも強いんだから、消し炭か何も残らないのどちらかだろう。それに、土魔法は便利そうだからスキルレベルを上げておけよ」

「むむぅ、土魔法は確かに便利ですが、あれだけの虫は火魔法で消しとばしたいなぁ…………ダメですよねぇ。わかりましたよぅ!!」

「よし、アルエルならそう言ってくれると思ったぜ。エルメスは、アルエルと一緒に魔法のスキルレベルを上げるために魔法を使いまくりな。ただ、死体が残るようにな」

「はーい。お兄ちゃんはー?」


 2人はホタルの後ろから魔法で倒していくようにと指示を出し、ホタル本人は沢山いる黒いGを弱らせるために、考えていた技を使う。




 ふふっ、待っておれよ。デザートぉぉぉぉぉ!!








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