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101.続く波乱

遅くなりすいませんでした。

では、続きをどうぞ!

 



 あー、あー、なんでこんなことになってんだ?

 いや、理由はわかっているんだけどよ。しかし、この俺が知らない奴を助けるために動くとはな…………。




 気合十分に戦いが始まろうとするが、ホタルの頭の中では、自分がしたことに疑問が生まれていた。

 助けたいと思って動いたわけではないのは確実。だが、咄嗟に助けるように動いたのは自分でも驚いた。

 アルエルに言った理由付けは本心からだが、リスクが高くてこの騒ぎで目的の人物に出会えるかはわからないのに?

 とにかく、戦いは始まってしまったので考えるより動くと決め、構えるホタル。

 敵であるバドムが言っていたのは、魔法禁止で武器だけで戦うというルール。つまり、周りに被害を出さなければ、スキルを使ってもいいということだ。


 ホタルはそう捉えて、開始一番に黒死点を発動していた。




「なっ、何を!?」




 避けやがった。ダルグエアの程ではないが、いい脚を持っていやがるな。

 しかし、なんで驚いているんだ……?


「魔法は禁止と決めていたのではありませんか!?」

「あ? これは魔法じゃねぇよ。ただのスキルだ」

「え、えっ? スキルでも観客まで被害を出したら、魔法を禁止にした意味がないのではありませんか!?」

「問題ない。これが一番使い慣れたスキルであり、俺の武器だ。だから、周りに被害を出すヘマはせん。……で、お前は素手のままで戦うとつもりかな?」


 バドムはホタルが出した黒死点に脅威を感じたのか、舌打ちをしながら戻していた短剣を抜いた。

 その間も待たせることなく、黒死点がバドムへ襲う。バドムは上手く避けていくが、ホタルへなかなか近付けないでいた。それに焦れたのか、観客に混じった豚が声を上げる。


「何をしている! さっさとやれぇぇぇ!!」


 その豚であるイグルは黒死点の脅威を理解しておらず、そんな黒い霧みたいな物などは無理矢理に突破しろとか、ほざいていた。

 バドムは無茶なことを言うなと思いつつ、このままでは追い付かれてやられてしまうのは理解している。


「くっ! こうなったら、本気でやらせて貰います!! 来い、私の精霊剣よ!!」

「む? 精霊剣?」


 ホタルは精霊剣と言う言葉を初めて聞いた。アルエルからそんな言葉は聞かなかったから、アルエルも知らないのだろう。

 疑問に思いつつ、黒死点をバドムの全方位から囲むように行き渡らせる。このままなら、バドムは黒死点によって朽ちていくだろうがーーーー




「『双風剣』!!」




 バドムを中心に風が吹き荒れ、黒死点が散らされてしまう。ホタルはあっさりと黒死点が散らされてしまったことに驚いたが、それよりも目に付いたのがバドムの手にある。

 ただの短剣だった物が、双剣という形に変えて紋章みたいな模様が緑色に浮き出ていた。


「……珍しいですか?」

「あぁ、見たことも聞いたことがないからな」


 まだホタルの目はバドムの持つ精霊剣へ釘付けだった。それに気を良くしたのか、バドムは教えてくれた。


「これは獣人にとっては、切り札みたいな物です。武器に自分の精霊を宿らせて、強化させるのですよ。精霊を宿らせれば…………こういうことも出来ますよ!!」


 まだ距離もあるのに、双剣を振り抜いたと思ったら風の刃が現れてホタルへ向かっていた。

 ホタルは距離があったから、余裕で避けていた。だが、そのまま後ろまで届くなら観客を巻き込むことになるが…………そんなことにならなかった。

 観客へ向かう途中に、フッと消えていたからだ。


「心配はいりませんよ。この力は使い慣れているので、周りに被害を出すことはありません」

「成る程。……あいつも持っているなら簡単にやれそうはないな」

「何か?」

「いや、なんでもねぇよ。さぁ、精霊剣って奴の力を増分と見せてもらおうじゃないか!」


 またダルグエアと戦うことがあれば、精霊剣のことも頭に入れておかなければ勝てないだろう。ダルグエアと戦う前に、知れて良かったと思う。

 ホタルは『万象』で黒死点を固めて、バドムと同じ双剣を作り出して、手に持つ。


「おらよ!」

「はぁっ!!」


 ホタルには剣の技術などは持たない。剣道を少しだけやったことはあるが、実戦では使い物にならないので、力のある限りを叩きつけるだけ。

 それを受けるバドムにしたら、下手な技術を使った剣の捌きを受けるよりも、力を込めて剣速がある攻撃の方が厄介だった。細かい剣の動きなら大きく避ければいいが、力任せに振るわれた攻撃だと、固めた黒死点をそのまま雪崩のように広がってしまったら、避ける範囲を限定されてしまう。風で振り払うのはいいが、風で振り払った黒死点がホタルの制御から離れて、周りの観客へ行くのは望ましくない。

 そう考えて、バドムは上から風で圧し潰すように、黒死点から逃れていく。


「逃げるだけか!?」

「まさか。もう準備は出来ていますよ」


 バドムはそう言って、上空に作っておいた風の弾が大量に落ちていく。見えない攻撃に、ホタルは黒死点を覆って防ごうとしたが、穴を空けられて突破されてしまう。


「ぐぅっ!?」

「まだまだ続きますよ!!」


 最後の一発に、さっきのよりも大きい風の弾がホタルを押し潰そうとするが…………




「ウザってぇよ!」




『メテオインパクト』を上に向けて撃ち出して、風の弾を全て吹き飛ばした。周りへ凄さまじい風が吹き荒れるが、被害はない。そのまま、ホタルは反対の手でバドムへ向けて持っていた黒い剣を投げていた。


「甘いですよーー」

「そっちがな!!」

「なっ!?」


 投げられた黒い剣はあっさりとバドムの横を通り過ぎるが、形を崩して黒い霧でバドムの手に纏わり付く。


「ぐぅぅぅ!?」


 被害は手だけだが、少しずつ侵食していくように身体の中心へ向かっていく。それに危険を感じたのか、咄嗟に侵食された左手を斬り落としていた。

 その判断は正解だったようで、黒死点の侵食から逃れたが…………




「終わりだ」




 既にホタルはバドムの懐へ入っていた。バドムは侵食されて、脚を止めずに動き回りながら左手を斬り落とすべきだった。

 侵食された左手に気にかかって脚を止めてしまったのが、隙となったのだ。

 ホタルはそのまま『メテオインパクト』で腹へ打ち込んだ。ちょいと方向を考えてだ。吹き飛ばされる方向には…………




「な、ちょっ、来るなーーゴブッぁッ!?」




 豚のイグルがいる場所、そこへ向けてバドムを殴り飛ばしていたのだ。丸々と太った身体では、避けることも出来ず、口から白い泡を吐き出しながら気絶した。

 ホタルは豚が気に入らなかったので、倒せたことに気が済んだのだった。












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