何時ものように黙るだろうか
革靴がスニーカーがサンダルが
カバンとバッグとビニール袋が
スマホとスマホとパソコンが
ただわが家へと、わが家へと
混み合う函の中に
流れるのは倦怠の空気
カラスの声だけがはっきりと
停車するたびに軋んでいる
地の底に吹く風は
煌びやかさを否定する
鉄の忍耐だけを讃えながら
暗い穴を吹き抜けていく
波紋となって広がるざわめき
石の床を区切る人 人 人
大粒の涙など似合わない沈滞
オーロラの帳を忘れてしまった
貫かれた山脈の痛み
繰り返された肉体の軋み
闇を行く連なる光点の
照らし出す人工の闇
思い出しているわたしの本当
火照った纏まらない思考
運ばれるだけでいいわけはない
それでも明日もある日常
明滅する信号の素直さで
置いてきたあいつが待っている
改札口まで迎えに来ている
今日の嘘を食べさせたら
何時ものように黙るだろうか
お読み頂いてありがとうございます。