第一章⑨
氷が揺れるコーラで乾杯。
パーティが始まった。
ヒロミは終始よくしゃべっていた。ナオミコも最初はぎこちなかったが、幼馴染の二人はすぐにいつもみたいに戻った。ナオミコは天然なので、たまに突拍子もないことを言う。それがとても可愛い。ナオミコは天然が許されるキャラクタだ。ヒロミはその天然に慣れていて鋭く突っ込みを入れる。その二人のやり取りは見ていて愉快だ。ヒロミもつまらない冗談ばかり言って笑わせる。ヒロミの脳ミソの回転は速い。昔からヒロミは賢かった。賢さを表面には出すことはしないが、観察しているとそれがよく見える。ヒロミは料理を食べ終え、アイスをかじっていた。
「ちょ、兄貴ってば、さっきから私のこと見てるでしょ?」ヒロミはなぜか上目で船場を見る。「なぁに、言いたいことがあるなら早く言ってよ」
「二人で風呂入ってこい、」これも船場が計画していたことだった。小さい頃は二人で一緒によくお風呂に入っていたが、十六歳になった今ではそんなこともなくなった。それゆえ、二人の距離を縮めるのに効果的だと船場は考える。「もう沸かしてある、パジャマも用意してある」
「用意がいいね、」ヒロミは船場を褒めてナオミコの方を見た。「二人でお風呂なんて久しぶりだね、……って、ナオミコどうしたの? 顔がピンク色だよ」
「う、うるさいなぁ」ナオミコは頬を手で包んでヒロミを深刻な目で睨んでいた。
「熱でもあるんじゃないの?」ヒロミはナオミコの額を触る。
ナオミコは感電したみたいにビクッと震える。
ソファから落ちる。
「あ、ごめん、」ヒロミは手を引っ込めて、微笑みながらもナオミコの反応に少し戸惑っている様子だった。「……今日のナオミコ、ちょっと変」
「変じゃない」ナオミコは短く言って、立ち上がってヒロミを置いて先に風呂に向かった。
「やっぱり変だ、」ヒロミは船場に笑いかける。「ね、兄貴もそう思うでしょ?」
「そう?」船場はとぼけてテーブルの上を片づけ始める。「いいから、風呂入ってこい」
「はーい」ヒロミは可愛い声を出して、風呂場に向かった。
船場は食器を片づけながら、ナオミコの健闘を祈った。




