お友達とイカズチ
「え、えっと。こう!ですか?」
カゼノちゃんから投げられたボウルは勢いよく床にたたきつけられた
「あー、あんま、力いれなくていいよ、えっとね、最初は一旦バレーボールみたいに前に叩くイメージでやってみて。」
「は、はい。」
「カゼノちゃーーーん !頑張ってくださーい!」
ユウ君がぎこちない動きのカゼノちゃんへアドバイスをして、それをイカズチが励ますように大声を出している。
彼女らが少年少女を謳歌していることに僕は胸が温かくなる。
あれから彼女たちは一通り涙を流した後、気分を切り替えるために、ボールを手に取って、運動場のグラウンドにかけていった。
僕はそんな彼女たちを定位置で僕は微笑む。
カゼノちゃんの問題だとか、心の話、友達の話が解決したわけではないが、彼女が自分自身をルールに動かしてもらう存在から一つ前進して、誰かと一緒に動ける存在になった。
それは、彼女にとって、すごく大きい一歩だと思う。
それに少しでも関われて、彼女に関われて、話をしてくれて、話をして、思っていることを伝えられてよかったと心から思う。
そんな感想をつぶやき一人で感傷に浸っていると、「えいっ!」という、わんぱくさに慣れていないぎこちなさの残るはしゃぎ声が聞こえそちらの方を見る。
空におにぎりのような気道を描いたボールがはなたれていた。
パスッ
「スゲーじゃん!雷ちゃんのところまでまで届いた!」
「や、やりました!」
カゼノちゃんはまるで、花丸をもらった少女のように目を輝かせ、二人の方を見ていた。
「カゼノちゃん凄いよ!じゃあ、次私のボール取ってみてよ!」
「えぇ!え、ぅうー!わかりましたー!」
カゼノちゃんはキョロキョロとちゃんととれるのか不安そうに、されど、挑戦に胸躍らせる少女として返事を返していた。
つたないラリーが始まり、二人は楽しそうにキャッチボールをしていく、それがある程度、形になってきたあたりでユウ君が参加して三人で楽しそうにキャッチボールをしている。
僕はそれをただ見守っているだけ、だけど、たまにこっちを見て微笑む三人に微笑み返すと喜んでくれる彼女達を見ると見守って居るだけの僕もそこに参加できているんだなぁ、と感慨深くなる。
そんな感情を勝手に覚えていると彼女たちの近くに、複数人のクラスメイトが駆け寄ってくる。
僕は、また嫌な目にあってしまうかもしれないと思い彼女たちに駆け寄る。
駆け寄ると、複数人のクラスメイトの声が聞こえてくる。
「え、委員ちょもドッチボールとかするんだ―!」
「うちたちも!やらせてぇ!」
「あたしもやっていいぃ?」
「僕も、僕もぉ!」
その声々は青くきらびやかとしていた。
「え、えぇ、ちょっと、あのぉ、えっと」
「ちょっと待てよおまえら、雷ちゃん困ってんだろ、落ち着け。」
「えっと、太一君に紅芽ちゃん羽隠さん?」
委員長が名前を呼ぶとイカヅチのクラスメイトであろう少年少女たちは、「あ!」と大振りにリアクションをしたのちに、恥ずかしそうにこっちを向き、初めましてをしてくれた。
「あー、ごっめんねぇ!あたしあんま周り見えなくてサァ!よく委員ちょに怒られてんだよねぇ、っと、挨拶、遅れちゃったね雷ちゃん。あたし紅芽茜気軽にアカネちゃんって呼んでねぇ。」
「うぇ、あ、はい、あかねちゃん。」
「次はうちやね、うちは葉隠三留親はどっちも標準語やし、うちも関西済んだことはないから、この喋り方は趣味やね、うちの近くに関西の人がおらんからやっとるんよ。まあ、ちょっと変なやつやけど、これからよろしゅうね。」
「よろしゅ、えはい、三留ちゃん。ヨロシク?」
「うん宜しく、じゃあ、次はたいちくんやね」
「僕の名前は片呉太一、サッカー部キャプテン……の近くで、お茶を汲んでる運動バカだ!よろしく。」
「運動を抜いたらただのバカだ。この前もテストで驚異の一桁台をたたき出していた。」
もともとユウ君と知り合いなのか、タイチくんが名乗った後にそんな悪態をついていた。
イカヅチはあまりの急スピードの彼らに動揺をしていた。
あとから追いついた僕にも丁寧に挨拶をしてくれた彼女たちは、いきなり押し掛けた理由を話してくれた。
三人が言うには、かなめ君がイカヅチに暴言を吐きいじめのターゲットを確定させたあの時、その場で、何もできない自分に辟易したと語り、思いが同じだと確認した三人はイカヅチに話しかけようと、話せるタイミングを探していたらしい。
だが、ユウ君と二人での修行やカゼノちゃんの事があり、僕たちは、あまり新しい人との接触に適した場面にいなかった。
だから、今日は、下校時間をこっそり破って、学校中を探そうと張り切ってくれていたらしい。
その後、イカヅチだけでなくカゼノちゃんとユウ君が居たことが彼女たちの思考を、好奇心で埋め尽くしたらしい……とても可愛らしい話だ。
「いやぁ、謝ろうって、思ってたのに、軽く話しかけてごめんね。」
彼女たちは、改めて深刻な顔になり、膝をつく。
「「「本当に、ごめんなさい!」」」
「どんなにかなめ君が怖くても、それが間違っているんなら、声をかけて、君の、雷ちゃんの味方になるべきだった。」
「うちらは、ただ見てるだけやった。何もできんと、雷ちゃんを傷つけた。」
「雷ちゃんは、そのカミナリで、誰を傷つけたわけでもなかった。なのに、まるで凶器を見るような目をクラスのみんながしていた。それを、僕は止めるべきだった。止めれなくてもすぐに、君と話すべきだった。君の味方だって、言うべきだった。」
「「「本当に、すみませんでした。」」」
手をついて頭をグラウンドに付けた。彼女たちは、元気に遊ぶ子なんだろうなっていうのが、赤く傷つき土を付けた足がものがっていた。
「……ありがとうございます。」
イカヅチはすこし立ち止まった後、三人の手をつかんで、彼女たちを起き上がらせた。
「話してくれて、話そうとしてくれて、思ってくれて、考えてくれて、後悔、してくれて、ありがとうございます。だから、顔をあげてください、謝罪を受け入れます。だから私にも謝らせてください、怖がらせてごめんなさい。
私は、罪の許しをもらうためにあなたたちが傷ついてもうれしくありません。だから、私と一緒に、キャッチボールをしましょう!
だから、私のことも、許してくれますか?」
三人は顔を見合わせて、そのあと、笑った。
「……ええ、うん、もちろん、そんなことでいいなら、やりたい、やらせてほしいよ。」
「許すだなんて、何で僕が、雷ちゃんから許してほしいなんて言われてるんだろう。」
「うち、雷ちゃんとキャッチボールやりたいわ、そんで、もっと、雷ちゃんと友達になってくれる子さがしたい。そんでみんなで今度こそ、楽しいドッチボールしよや。
雷ちゃんはてんしやなぁ」
「ふふっ違いますよ……あなたたちの友達です!」
その言葉に、朗らかな気持ちを覚えその場にいた全員が笑っていた。
そうして、毎日放課後のグラウンドでイカヅチと、ユウ君、カゼノちゃん、タイチくん、ミツルちゃん、アカメちゃんの六人でボール回しをしていた。
たまに僕も混ぜてもらったり、僕対みんなでドッチボールをやってコテンパンにされたり、そんな毎日を過ごしている間に、一緒にドッチボールをやろうと声をかけてくれる、同級生がぽつぽつと表れ始めた。最初は一人だったのが二人、三人四人、六人とどんどん数が多くなっていった。
声をかけてくれたクラスメイトは、もれなく、イカヅチに謝罪をしてくれた。イカヅチは、謝罪を遠慮するのではなく、受け入れて、一緒にドッチボールをしようと毎回誘っていた。
それが彼女のコミュニケーションの仕方で、彼女の道の歩き方なのだ。
そうして一ヶ月が過ぎ、イカヅチは、クラスの大半のクラスメイトと、友達になっていた。
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っは!俺に隠れてこそこそと、あの災害兄妹は人を操る魔法が得意な魔女だこって、ふざけんなよ!
それに、ドッチボールやってる奴らもだ、災害に話しかけんな、慰めんな、近づくなって、俺が言ったんだぞ!約束もまもれねぇゴミどもが、嘘つきは犯罪者の始まりなんだ。犯罪をしたらどうなるか、それを、俺が、教えてやる。クソガキども




