学校とイカヅチ(2)
朝、いつものように起きるとなんだか朝日が心地よく思えた。
「眩しいな」
そう言った口角は上がっていた。
決意をしたということが僕にとって、ふらふらとそこら辺を這いずっていた僕にとって、とても大切なものだったのだろう。
ふわっと甘い香りがしてそれに遅れて僕と同じシャンプーの匂いが鼻に触れる。
「おはよう。」
「おはよぅございます」
まだ寝ぼけているのかほわほわと挨拶を返してくれた。
僕もイカズチも朝は胃が起きておらずアイスで済ますことが多い。今日はスーパーカップだった。僕はふたを開けぺりぺりともう一つの蓋を剥す
スプーンでスッとと掬い舌に触れる。甘く心地がいい糖分が脳に染み渡る
「「おいしい」」
それは彼女も同じだったようで、二つの声が重なる。それがどうにもおかしくって僕は思わず笑みがこぼれる。
それにつられて彼女も微笑む。
その目は昨日のことをすこしは忘れてくれているようだった。
きがえを済ませて、僕と彼女は、きつい虫よけスプレーをしかめっ面で振りかけあって、
人が多い道の苦労を共有しあい、電車に腰掛け、揺られながら複数形の景色を楽しんでいた。
学校に近づくにつれて彼女の顔がこわばる。
「大丈夫、僕がついてる。だから、自分のやりたいことをすればいい、わかったかい?」
「うん」
教室までついていくか聞いたが廊下まででいいといわれた。確かに兄が急に教室に来るのは恥ずかしいかもしれないな。と思ったため見送ることにした。そして、僕は自分の教室へと向かうことにした。
そのあと、昼休みまで連絡はなかった。
僕は給食を食べ終わったためふらふらと徘徊をしていた。
ふと声が聞こえる
「 だよ んやなか じ」
ところどころしか聞こえないがイカズチのクラスにこんな声の子がいた気がする
僕は声を聴くために近づいていく
「あいつもあんなこと言わないでいいのに」
僕は声が聞こえるまで進みその内容を聞いた。
「災害なんて、確かにあのバチバチってやつは怖かったけど、災害って呼ぶなんて、なんかいやだよ」
何の話だ。いや、それ自体はわかる。なぜそんなことになる。いや、考えが早計かもしれない、話を聞かないと。
さっき二人いた少年はちょうど一人が席を外したのか、暇そうにしていた。
「ちょっといい?」
「あ、雷さんのお兄さん。あ、今の話、聞いてました?」
バツが悪そうにその少年は僕を気づかうように声をかけてくれた。
「あー盗み聞きになっちゃてごめんね、その話聞かせてもらってもいい?」
「んー、いい、んですけど、かなめ君には言わないでもらってもいいですか?」
「かなめ君って?」
「あー、かなめ君は、クラスの人気者的なやつで僕はあんまり好きじゃないんですけど、目を付けられると標的にされるんでみんなかなめ君だけには逆らえないんですよ。」
「そんな子がいるんだね、わかった。君の事は言わないから、教えてもらえるかい?」
その子は、周りを見回し人がいないことを確認してからこう語る
「どこまで知ってるかわかんないですけど、雷さん転校してきて最初の挨拶から、おどおどしてたっていうか、クラスの連中に気おされてた感じで、何も答えれてなかったんですよ。
あいつそれを面白がってか『なんで転校してきたの?』とか『友達何人いるの』とか挙句には『親の不倫でこっちきたの?』とか、答えられてないからって好き勝手言ってたんですよ。
その場は教師の介入でどうにかなったんですけど、問題はドッチボールのほうで、あいつ、いじわるするときのスイッチが入ったのか、ドッチボールでボールを受けることを薦めたんです。
そしたら雷さんも受けようってなったらしくて、ボールをとれるように構えたんです。
そしたらあいつ、剛速球投げやがって、相手はおくてな女の子だっていうのに、俺が受けても多分手が腫れるようなやつ、
そしたらカミナリが急に雷さんから出てきて、それからは雷さん完全に浮いちゃって
まぁカミナリ出たのは正直怖かったです。
でも、それより俺はかなめ君のほうが怖く見えました。
あの球が俺に投げられてたら、俺すらもカミナリが出せるかもって思えるぐらいです。」
途中、憎しみが募っていったのか、彼は声を怒りに震わせ始めた。それをなだめるように僕は彼の方に手を置いた。
「話してくれてありがとう、そして、気持ちはわかるしイカズチを気にかけてくれるのは嬉しいけれど、自分を怒りで沈めすぎないで、僕は君の優しい表情が見えたから僕は声をかけれたんだ。」
彼を落ち着かせられるか分からないが僕は本心から彼へ言葉をかけた。
「あ、すみません。ありがとうございます。えっと、だから雷さん大丈夫かなって。」
彼は落ち付いてくれたのか怒りの表情を心配へと変えていた。
「イカズチはどこにいるかってわかるかい?」
「ちょっと待っててください。あー、教室にはいないですね。
あ、かなめ君もいないです。
てことは、まずいかもです。お兄さん雷さんが何処に行きそうかって分かりますか?」
「何かあったら保健室に行くよう言ってあるからもしかすると、保健室かもしれない。」
「それなら向かってください。
あいつと話すといつ嫌なことを言われるか、分かったもんじゃない。」
彼はそれがどれだけ嫌なことかよくわかっているのだろう、僕をせかしてくれた。
「ありがとう、これからもイカズチを宜しく頼むよ。」
今すぐ駆けだそうとしたところで僕は大事なことに気付き彼に声をかける。
「そうだ。名前を聞いてもいいかな?」
「篠瓶ユウです。」
「ユウ君か、いい名前だ。これはお願いなんだけどさ、
今後もイカズチと仲良くしもらってもいいかな?」
「もちろんです。」




