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僕と雷  作者: ギプス


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学校とイカヅチ(1)

「華山イカヅチです。雷と書いてイカヅチです。よろしくお願いします。」

給食後の昼休みにイカヅチはたどたどしく挨拶をした。教師は淡々と席決めをし、イカヅチはいくつもの転校生よろしくたくさんの人に注目されており、教室内はイカヅチへの好奇心と異物感でいっぱいになる。

僕は日常に混ざったイカヅチにほっこりとして教室を後にする。イカヅチは「どこから来たの?」「好きなものある?」「ねぇねぇどこに住んでいるの?」などと聞かれているのだろうと妄想をするそしてつまらない学校に戻る。

「トロッコ問題や臓器くじなどは教科書にものっている通り有名だが、私としてはスワンプマンなどの―」

 つまらない授業はたんたんと紡がれ決して僕のもとに届くことなく学校が終わる。

僕は家への帰り支度をしてクラスに挨拶をして帰る。

ふと帰り道夕暮れに照らされたガラスにいる自分が、みんなと太陽と同じ位置にいることに気付き歩く足がなんだかとても軽く感じてキャラになくスキップをして帰ることにした。


たとえ荘厳で豪華な花でも例え一滴でも泥水がついたらそれを疎ましく思ってしまうのが愚かな人間という種族だ。

「イカヅチはやっぱり人を傷つけるみたいです」

彼女から聞いたのは、彼女に泥水がかかっているといわれたと言う報告だった。

信じられなかった。僕は思考がマイナス面にぐるぐる回る。彼女を傷つけてしまった。

何も考えずに僕はひどいことをしたのかもしれないと思考が安定しないまま言葉が出ないでいた。

そして今日のことを彼女は話しだした。


「私はいっぱい話しかけてくれたクラスメイトにおどおどとして言葉を返せずにいました、少しだけみんなの視線が痛かったんです。」

「どこから来たの?」「好きなものある?」「ねぇねぇどこに住んでいるの?」という質問に答えられなかった時のあの視線が。

それは普通なんだと思います。ただ私にはそれがわからなくて、すごく怖かったんです

それから授業が始まりました。理科の授業でした、雷や火山などの自然現象を扱いました。その授業で、先生はこう教えてくれました。

「雷というのは入道雲に電気がたまり漏れ出てしまったのが雷です。電気は非常に強いエネルギーなので人間を死に至らしめる可能性があり、あまりにも危険だということで、災害と認定されています。」

私は顔を机に伏せていました。それはやらなければいけない内容だとわかっていましたが、あまりにも辛かったんです。この名前も、この教育も、自分の能力も、みんなの視線も、すべて怖かったんです。


授業が終わり、休憩がありました。私に話しかけ人は誰もいませんでした。空は私をあざ笑うように晴天が笑いかけてきました。

次の授業は体育でした。体育服はお姉ちゃんが(そう呼べと教育されたので)用意してくれました運動場は広々としておりさっきまで険悪に近かった雰囲気はすこし晴れみんな縦横無尽に駆け回る。先生はパンと手をたたき生徒を集めました。「みんなにやってもらうのはドッチボールだ。雷さんとのアイスブレイクだと思ってください。」

私はすこしびくっとしましたが他のみんなは「わーい」と喜びをあらわにしていて少し安心しました。

私は運動は施設では、淡々と歩かされただけだったので、楽しく運動するというのが新鮮でした

しゅんしゅんとボールが飛び交い私は避けるのに必死で、そのうち同級生の一人が

「キャッチしてみて」と声をかけてくれたので勇気を振り絞ってキャッチをしようとボールを真正面に捉えました。

一切の放物線を描かず。まるで自分に落ちる稲妻みたいな、かつてのアレみたいな、そう思った私は、おびえてしまい目の前のボールに防衛反応が漏れ出てしまいました。

バチバチと放電される音が聞こえました。

青天の霹靂でした。青々とした空似つかわしくない騒然とした雰囲気は徐々に曇りだし、果てにはぽつぽつ雨が降り出しているように思えました。

「え、今の何?」「カミナリ?」「いまの、雷ちゃんが?」

次々と声が紡がれ、そしてそれは一つの大きい結論に皆がたどり着きます。

「こわ。」


じくじくと僕の心が痛みだす。彼女の特性を分かっていながら放っておいてしまったこと、子供たちの純粋な悪意に、甘い考えを恥じ、彼女の事を見てあげるべきだ。

とても、おびえている。

「防衛反応として雷が出てしまうことを考慮していなかった。本当にごめん」

これは僕の責任だ。あまりにも楽観的にとらえすぎていた。

ただ、だからと言って彼女のあこがれた学校に彼女のせいで行けなくなるのはあまりにも胸糞が悪かった。彼女はただ生きているだけで危害を加える可能性があるそれはただの事実だ。でもそれは僕ら人間もそうじゃないか、なのになぜどうして、思考は悪い方向ばかり向く

ふいに彼女を見ると、バツが悪そうに震えていた。僕がうだうだ考えている間も彼女はとてもつらい時間を過ごしている。


「学校、いきたい?」

たどたどしくされど優しく

「みんなを、傷つけたくない」

それは答えではなく彼女の思いだった。

優しいやさしい彼女の痛みだった。

「ねぇ、イカヅチ、みんな、人を傷つけない方法を日々模索している。僕だってそうだ、みんなだって、それがただ。ただ目に見えるだけなんだ。」

それだけじゃなくても、この言葉は今の彼女には必要だろ!

「辛かったら逃げていい!怖かったら避けていい、僕だって姉さんだって頼っていい。君が、イカヅチがどうしたいかを教えてくれないか?」

君を助けてもいいと

君と傷ついていいと

君の本心を

「教えて、くれないか。」


「学校に、行きたいです。友達になりたいです、怖くても、辛くても、なんにもなくても」

沈黙を破るのは初めて言ってくれた我儘だ。

「傷つけたくないです。傷つきたくないです。

じゅぎょうを受けたいです。学びたいです。

私は、人間でありたいんです!」

それは、心からの叫びだった。悲痛ともいえるような叫びが僕の心にゆっくり滴る。

彼女が叫んだ人間らしい叫びに答えたい。

彼女は人間だと気付かせたのは僕だろう、それなら人間として過ごせるまでサポートをしよう。彼女は人間として過ごすのは初心者なんだから、サポートしなければいけないだろ。

「わかった。言ってくれてありがとう。

明日教室までついていこう。嫌なことがあったら保健室に行けばいい。保健室の先生は優しいんだ保健室の先生に僕の名前を伝えてくれたら、保護者ってことで僕が話を聞きに行けるはずだから、だから、学校に行こう!」

決意、僕は決意した。彼女を人間にすると、彼女が自分を制御でき自分が好きになれるように、僕がサポートしよう。

彼女も僕のサポートに安心してくれたのか目の輝きが戻っているように見えた。

「今日はもう遅くなっちゃたね、お風呂に入って寝ようか」

「はいっ!」

月明かりがカーテンの隙間から照らされ彼女のほうに吸い込まれる。

ベットの中にいる彼女を愛おしそうに見つめ僕は、明日からのことを考えていた。

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