姉とイカヅチ
僕は急遽学校を休んでも小言で終わるぐらいには良好な関係だ。それの主な理由は、僕の義姉さんのお陰である。義姉さんは僕がフラフラと闇を漂った時期に、いったんの居場所として、学校に招待してくれた。
僕が家族はいなくなったと言えば「なら、家族になってやろう」と、姉になってくれた。
それが今の僕を認めてくれ、僕の人格を整えてくれた大切な家族だ。
「そんな大事な姉さんにお願いがあるんだ」
僕はイカヅチを部屋で待っているように言って姉に電話をした。
「御託はいいから結論を話しな」
電話をかけるなり姉さんは圧のある声でそう言った
「ははっ、姉さんは変わらないな
少女を拾ったんだ。身寄りがなくてね。姉さんの学校に入学させてくれないかな?」
「はぁ、あんたは厄介事ばかり持ってくるね。まったく誰に似たんだか
さすがにあんたと違ってあったことも無い奴だ。面接ぐらいはさせてもらうよ。」
僕の姉さんはなんて優しいんだろう。 身内の優しさを身に染みたところで、僕は自分の部屋にいるイカヅチの方へ向かった。
「学校、ですか?本の中で見たことがあるぐらいです。」
いくら孤児と言えど、さすがに酷い境遇だ。
僕は話を続けるために、感情をなるべく平坦にしながら言う。
「そうか、その本の学校を思ってくれればいい。僕はそこに行ってるんだけど、良ければ君もどうだい?」
少女はあまりに現実味がなかったのか少し戸惑ったあと、目をキラキラと光らせて「行きたいです!」といった
正直、驚いた、自己肯定感が低くあまり積極的に物事を動かさない彼女がやりたいと言ってくれたのは、すごく嬉しかった。
「それじゃあ、急なんだけど、明日から学校に行こうか。」
「はい!わかりました!」
次の日僕たちは学校に向かい、校長室へ赴いた。
やけに狭苦しい部屋に煌々としたトロフィーそれが黄金なせいなのか、少し下品に感じる。
姉はそんな部屋にいながらそれを凌駕するような、上品な雰囲気放っている。
「その子が例の子かい?」
「そうそう、登校中に街灯が残業をしていたから、好奇心に負け見に行ったらこの子がボロボロで倒れてたんだ。」
目の前の姉は、僕の家族の姉さんではなく、学園長「華山ルナ」として一切の忖度なく、されど決して慈悲の心を無くさず話を聞いている。
「アンタ名前は」
「あぁ、えっとイカヅチです。」
「本名かい?」
「本名はありません。施設ではそう育ってきました。」
無い、か、彼女の悪辣な環境にもう怒りすらわかなくなった僕はもはや感心すらしていた。
「そうかい、とんだ厄ネタを持ってきたねぇ、まぁ私だって弟の性格ぐらいわかってるさ、いいよこの学校への入学を許可する。ただ、あまり贔屓はできない、たとえかわいい弟の頼みであってもね。だから、そのこの面倒はちゃんと見るんだよ。何かあってもあたしはあたし達は、事後処理しかできないからね。」
つまり、学校は責任は負うが特別処置や優遇はしないという話だった。見ず知らずの子供を入学させてくれるだけですでに優しく慈悲深いというのに忠告までとは、さすが自慢の姉だった。
雷は大変うれしそうに「ありがとうございます」と何度もお礼をしていた。
「僕も感謝するよ、本当にありがとう姉さん。」
「困ってる子供がいたら助けるもんだ。学校で習わなかったかい?あたしは習ったね。だからあんま気負わずにな。」
「あぁ後苗字はあたしらのを使え、華山だ書類もろもろはやっといてやるから書く練習しとけ。」
やっぱり僕の姉さんは凄いと心から思った。




