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宇宙と傭兵と日日是好日 ~ハードボイルドな日常譚~  作者: 相沢 藍
星辰の裁き(ジャッジメント)
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第五話『断ち切られた鎖』

 制御中枢内に銃声が響き渡った。


 ルカとマクスウェルは至近距離で銃を構え合っていたが、放たれた銃弾は互いを掠めることなく背後の壁を貫いた。両者は同時に素早く身をかわし、再び互いを睨みつける。


「諦めろ、ヴァレンタイン! お前に勝ち目はない!」


 マクスウェルは激しい口調で言い放つが、ルカは冷静に応じた。


「まだ分からないぞ。お前の計画は既に破綻し始めている」


「それはどうかな?」


 マクスウェルは不敵に笑い、端末を取り出して操作を始めた。その瞬間、旗艦全体が微かに揺れ始める。


「何をした!?」


「この艦に自爆システムを仕掛けてある。お前たちと共に、すべての証拠を消し去る!」


「狂ってる!」


「銀河の覇権を握るためには、この程度の犠牲は避けられない!」


 マクスウェルは狂気じみた笑みを浮かべると、護衛兵に指示を出して出口を塞がせた。


「もう逃げ道はないぞ、ヴァレンタイン!」


 絶体絶命の状況の中、ルカは仲間たちに鋭く指示を出した。


「アイラ、急いで無人機の制御システムを止めろ!」


「あと少しよ!」


 アイラは必死でコンソールを操作し、ロック解除を試みている。ディランとカイルは制御室入口付近で敵兵と激しい銃撃戦を続けていた。


「ルカ、このままじゃ自爆に巻き込まれるぞ!」


 ディランが怒鳴ると、ルカは再びマクスウェルに銃を向け、鋭く言った。


「自爆を止めろ、マクスウェル! まだ間に合う!」


「無駄だ!これは私の最後の切り札だ!」


 マクスウェルは引き金を引くが、ルカは巧みに避け、銃撃を返した。銃弾がマクスウェルの腕をかすめ、彼は痛みに呻きながら端末を落とした。


「今だ!」


 ルカは素早く駆け寄り、マクスウェルを押さえつけた。床に落ちた端末を拾い上げ、急いで自爆システムの停止を試みる。


「くそっ、パスワードが掛かっている!」


「どけ、私がやる!」


 アイラが駆け寄り、素早く端末を受け取ると、素早く操作を始めた。


「頼んだぞ、アイラ!」


「任せて!」


 一方、入口のディランたちは敵兵を押し返し始めていた。


「早くしろ、こっちも限界だ!」


 カイルが痛みに耐えながら応戦し、敵兵の侵入を辛うじて防いでいる。


 その時、アイラが叫んだ。


「パスワード解除成功!自爆システム停止したわ!」


「よし、無人機も停止させろ!」


「今やってるわ!」


 再びコンソールに戻ったアイラが操作を続ける。画面にアクセス成功の文字が現れ、制御中枢内の表示が次々と停止していった。


「超光速無人機、停止確認!」


 フィズの報告が入り、ルカたちは一瞬だけ安堵した。しかし、その隙をついてマクスウェルが再び銃を拾い、ルカに狙いを定めた。


「終わりだ、ヴァレンタイン!」


「ルカ、危ない!」


 アイラが叫ぶが、今度はディランが素早くマクスウェルを撃ち抜き、その動きを止めた。


 マクスウェルは胸を押さえながらよろめき、床に崩れ落ちた。


「なぜだ……私は完璧な計画を……」


「お前の野望は終わったんだ、マクスウェル」


 ルカは静かに言い放つと、倒れたマクスウェルを冷ややかに見下ろした。


 その時、旗艦内部に激しい爆発が起こり、船体が大きく揺れ始めた。


「くそ、艦が崩壊し始めている!」


「急いで脱出するぞ!」


 ルカは仲間たちを促し、出口へと走り出した。アイラが証拠データを抱え、ディランが負傷したカイルを支えながら通路を駆け抜ける。


 再びスカベンジャーに辿り着いた彼らは、即座に船を起動させた。ドックから離脱した直後、マクスウェルの旗艦が次々と爆発を起こし、巨大な炎に包まれていった。


「ギリギリだったな……」


 ディランが息を切らしながら呟くと、アイラが安心したように頷いた。


「証拠データも無事よ。これで終わりね」


「いや、まだ完全に終わりじゃない。証拠を調停機構に届けるまではな」


 ルカが操縦桿を握り直したその瞬間、フィズが鋭く報告を入れた。


『連邦軍の特務艦隊が後退を始めた。安全保障局が宙域を制圧した模様だ』


「よし、エリュシオンへ戻るぞ」


 スカベンジャーは急いでエリュシオンに向かって加速を始める。戦闘宙域には安全保障局の艦隊が展開し、残存する連邦軍艦隊を牽制していた。


 エリュシオンのドックに着艦したルカたちを、クレイン調停官が出迎えた。


「無事でしたか……よく戻ってきてくれました」


「ああ、証拠データも無事だ」


 ルカはアイラに目配せし、アイラは調停官にデータを手渡した。


「ありがとう。これでついに銀河の陰謀が明るみに出ます」


「長い戦いだったが、これでやっと終わりか……」


 ルカが呟くと、ディランが笑みを浮かべて肩を叩いた。


「いや、まだ始まったばかりかもしれないぞ」


「どういう意味だ?」


「陰謀が暴かれた後、銀河のバランスは大きく変わる。俺たちは新たな時代の始まりに立ち会っているんだ」


 ルカは微かに笑い、仲間たちを見渡した。


「それでも、今日だけはゆっくり休ませてもらおうか」


「賛成だな」


 ディランの言葉に全員が笑い、長く続いた緊張がようやく解けた。


 銀河を揺るがした巨大な陰謀との戦いは、今ここに幕を閉じた――。

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