ミミズ
ああ、ヘマをした。
明るい世界を見たいなどと、身に余る欲を掻いた、その結果がこの様だ。
我々は、土を掘り進んで空気を通し、硬い木の根や落葉を喰らい、
糞を落として回るだけで、己が生を全うできたというのに。
ジメジメした暗い地下にいても、豊かな土壌を生み出し、命の輪廻を支える、
その役割を担えたというのに。
どうしてこんなことになったのか。
地上に夢など見なければ、皆と一緒に土の下に潜ったままでいれば、
今ごろ、こんなふうに日に灼かれて、錆果てた釘みたいに干からびて、
愚にもつかない残骸になって、道端にへばりつく、
こんな無様を晒さずに済んだのに…
読了ありがとうございました。